東方地底秘話36話
「偽体か……」
「そうよ。それより覚故、新しい話があるの。持子は………妖怪よ」
「突然を何を言うんだ。そんなこと関係ないだろ」
「そうかしら。かなり重要なことだと思うけど」
「じゃあ、持子が妖怪であるという証拠は」
「私が偽体を使えたこと。偽体は、人間には使えないから。本人には言ってないけどね」
………そうだ、持子がいる。持子なら全てを話してくれる。気付かれてはいけない。
今はタイミングを狙って……
「何のタイミングを狙っているのかな?」
そうだった。つい…………
「ごめんなさい。私の言うことが信じられないんでしょ?
ごめんなさい。こんな私から逃げたいんでしょ?
ごめんなさい。あなたに辛い思いをさせたくなかったの。
ごめんなさい。それが間違いだと気付くのが遅すぎたの。
ごめんなさい。罪を償わないといけないのは私なの。
ごめんなさい。どうすれば信じてくれるのか分からないの……。
ごめんなさい。こんな私なんて必要ないよね……。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい………」
謝るな。謝るな。謝るな。心が痛む。謝るな。
「…………さよなら」
その言葉が聞こえた時、体は動き出していた。
それはこいしも同様。2人の手は、銃口を自分に向ける覚無へ……
「覚無!」
「サナねぇ!」
まだ間に合う。
俺の手は覚無の右手を…………………………
「どうして…………通り抜けたの?」
俺の手は確かに覚無の右手に届いていた。
こいしも同じだったのなら、俺が死んでいたことは関係ない。
その時、背後で…………
ガチャ。バタン。
部屋のドアが閉じた。
誰かが入ってきた様子はない。
こいしは俺の隣にいる。
…………覚無だ。覚無しかいない。
すぐさま覚無を追いかけようと後ろを振り向き、部屋から出ようとした。
だが…………1歩目が踏み出せなかった。
なぜなら……………
さっきまで覚無がいた場所からドアへ向かって、点々と地面に血が付いていた。
ドアノブは紅く染まり、垂れる血の生々しさが自分の心を壊していく。
それでも…………覚無を追わなければ……。
一刻も早く、覚無を見つけ出さなければ……
覚無が死ぬ。1000回目の時、致死量ぎりぎりの血を俺に与えたのなら、こんなに出血していると死ぬ。
今まで覚無が血を流すところは見たことごない。つまり、今は実体で行動しているということだ。
血痕を頼りに覚無を追いかける。すると、
1階のキッチンにあるダンボール箱へとたどり着いた。血の手形が付いている。中に何かがあるのだろうか。
箱の中を覗いたが、箱の中身は空だった。
きっと覚無が持ち出したのだろう。
血痕はまだ続いていた。そして、玄関を出ようとした時、さとりに呼び止められた。
「私も手伝うわ」
「いや、その必要はない。1人で十分だ」
「でも、2人で探したほうが早いわ」
「確かにその通りだ。2人のほうが早い。
だが、俺が探して一緒に帰らなければならない。
だから、地霊殿をきれいにしておいてくれ」
「でも………」
「大丈夫だ。すぐに戻るから。頼むぞ」
俺は血痕を追って行った。
「待っ……………」
「(行ってしまった……。
早くこれを渡さないと……。
自分も危険なことに気付いてないから……)」
「こいし、早く来て!」
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「これを持って、サコを追いかけて!」
「え?何これ?というかどうして?
ここ(地霊殿)をきれいにするんじゃなかったの?」
「いいから早く!」
「………分かったよ。すぐに行くね」
「(最悪の事態だけは避けないと……)」




