東方地底秘話34話
「え………い、いや、気付いたら寝ていたから起こすのも悪いかなーって」
「そう…………。食後30分に効果が出始めて、10時間後に切れる睡眠薬を使用した。だから今は大丈夫………って、何してるの」
「……………」
「入念すぎるよー。どうせ教えることなのにー」
「流石に私があんな風になると言えば、覚故が平常心ではいられなくなるからね」
「ここにいつも普通じゃない人がいまーす」
「こら、持子」
「あーごめんってばー冗談だよ〜」
「とっ捕まえてやるわ……」
「追い回さないでー!」
5月16日水曜日
「覚故、起きて」
「るよ」
「あれ、起きてたの?」
「いや、今起きた」
「(午前6時0分10秒……。10秒経ったわけね……)」
「何が10秒経ったんだ?」
「え?今何を………」
「10秒経ったことが問題か?」
「(そのことは話していない……。なんで……)」
「なんでだと?それは分からないふりか?」
「瞳を………開いたわね……」
「閉じた覚えはないが」
「心を読まないための帽子じゃなかったの?」
「お前以外のな」
「(………それなら)」
「さとりのように、意識を創って心を読ませなくするなんて無理だ。無意識を読む能力がある限りな」
「無意識を埋めてしまえばいいだけの話よ」
「そうする前に意識へ転換しておくさ。お前の能力は、意識と無意識を同時に創れないからな」
「そんなことは1度も……」
「心を読んだら好かれないのがよく分かるな。何もかも知れてしまうから」
「嘘………」
「嘘じゃない。本当だ」
「私のことを知ったつもり?嘘でしょ?」
「嘘をついているのはお前だろ」
「え?何を言っているの?嘘なんかついてないよ?」
「昨日、持子を殺しただろ?」
「そんな悲しい話しないでよ。持子は生きているからね?会いに行ってもいいんだよ?」
「撃つ時間に偽体を使っただけだろ」
「な………」
「そんな話、俺にはしなかったよな。なんでだ?」
「それは………」
「俺がお前から離れたら、ここに縛りつけるつもりなんだろ?自分が離れたのに」
「いや………」
「何かしら、隠しているか嘘をついていることは知っている。そうだろ?」
「嘘じゃない!」
「昨日、自分で言ったよな?どこにでも一瞬で行けると。偽体がなければ、お前は建物と地面を貫通していることになる。自分で偽体を使っていることを証明したな」
「…………」
「罪を償え……か。お前もだな。自分も罪を償うから、罪を償ってだとか。こんな感じで言えば、今は変わっていただろうな」
「違う……違うの……」
「違いはない。いくら偽体だとしても、親友を殺してまで俺を利用したかったのか」
「それは……持子があなたを取ろうとしたから……それが嫌で……」
「持子は、俺に本当のことを伝えようとしただけだ」
「どうして……そう言えるの?」
「37年前の、俺がお前と出会った時だ。俺を殺しただろ?」
「そんなこと………するわけが……」
「先代博麗の巫女の封印も、嘘だろ?」
「いや………いや………違っ………」
「………とりあえず、外で話そうか。
少しは落ち着くだろうから」
覚無は何も言わずに頷いた。
あまりにも話が暗すぎて朝ということを忘れていた。
「覚無、単刀直入に言う。俺を何度殺した?」
「ごめんね。今は言えないの」
「そうか。正直にそう言ってくれるのなら、
そのほうがいい。話の続きは、学園が終わってからでいいな?」
「うん」
これほどにも、暗い気持ちで学園に向かうのは初めてだった。何事にも気が向かなかった。覚無のこと以外は。
今日は、覚無ちょっかいを出してくることもなかった。
なんで、覚無は俺に嘘をつくのだろうか。
学園が終わり、地霊殿に帰った。




