東方地底秘話30話
「(覚無ちゃんがいなかったら……私のものになっているかな……。私と一緒にいたかな……)」
「冗談は程々にしろよな?」
「はーい」
聞き流された……。
「覚無。聞き流すなよ……。聞かないなら…」
「言わせない。その言葉は言わせない」
「なんでだ?」
「言ってもいいことがないから」
「………………」
夕食後のことだった。
「覚故、2人で何かしない?」
「何をするんだ?」
「鬼ごっこよ」
「またか」
「30秒後にスタートで、30秒間逃げきれたらあなたの勝ち。場所は幻想郷全て」
「たった30秒でいいのか?」
「じゃあ20秒にする?」
「お前に任せる」
「じゃあ、20秒間逃げきれたら勝ちね。
はい、逃げていいよー」
全力で逃げる。とりあえず遠い場所に。
覚無が追いかける時間は20秒しかないんだ。
紅魔館ぐらいまで行ければ……
「(どこに逃げるのか知っているんだから…。
だって、私が仕向けたことだからね)」
着いた……。門の前は止めて裏側にいよう。
一応門番がいるからな。
30秒が経っただろうか…。今から20秒間待っていればいい。
…………………覚無は来なかった。
流石に無理だよな。幻想郷全ての範囲で20秒で見つけ出そうなんてな。いくら覚無であっても無理だろう。
地霊殿に帰るか。覚無を待たせるのは嫌だしな。
その時だった。
「20秒って長いねー」
後ろから、声が聞こえた。その声の主は言うまでもなく……
「見ーつけたー」
覚無だった。後ろを向く必要などなかった。
「いつからそこにいた」
後ろを振り向かずに言う。冷静にいるためだ。
振り向けば動揺を隠せない。振り向いていない今でさえ、全く冷静ではないのに……。
「始まって5秒だけど?」
「………………」
「え?何か問題でもあったの?」
問題しかない。まず1つ目、覚無は既にここへ来ていたのか。2つ目、5秒でここに来れるのか。3つ目、どうしてこの場所に俺がいることを知っているのか。
落ち着け、これはゲームだ。遊びだ。
ゲームに異常能力が起こっているだけだ。
自分にそう言い聞かせる。
しかし……
「3秒で見つける予定だったのに、2秒も遅くなってしまったわ。流石私の永遠の人だよ。
普通なら、ここまで30秒で来ることもないのに。覚故は、ここへ来るだけでなく、紅魔館の裏側に回り込むなんてね。嬉しいな……」
「……………」
「覚故、もしかして動揺してる?」
「…………」
「え?私?本当に始まってから5秒でここに来たよ?私は、地形を把握していればすぐに移動できるよ?視界内じゃないの。意識の中なの」




