東方地底秘話28話
「臓器を交換したら、変わるかな?」
「…………………は?」
「私ねー、はさみをいーーーーっぱい持ってるからー、臓器取れるかなーって」
「それは止めてくれ…………」
「大丈夫だって。手術と思えばいいよー。
麻酔もしてあげるからさー」
これだけは避けなければならない。
「という冗談だよー?」
「だからお前の冗談は通じないんだよ!」
「えー?なんでー?別に通じるでしょー?」
「いやいやいやいや…….通じない通じない」
「そこまで言うなら、明日持子に試してみる?」
「そうだな」
とは言ってみたものの、どうせ覚無が冗談と分かりきったことを言って
『ほら〜、通じるでしょ〜?』とか言うんだろ。
あの時の対応を変えておけば良かったかな。
でも、思ったことを言っただけだから、嘘をつくよりはいい。
5月15日火曜日 午後
「いらっしゃーい、また来たんだねー!
今日は営業してるよー」
それほどでもないが、運命の時!
「ねぇ、持子。私、眠い」
絶対に眠くない。こんな質問なら冗談が通じるさ……。
「5月の中旬はとっても暖かいからねー。ぼーっとしてると眠くなっちゃうよ」
通じなかった……のか?
「そ、そそ……そうよね…。春だからね……」
予想外の返答に戸惑う覚無。
「通じな………かったね」
「通じな………かったな」
「あ、私たち、用事が残っているから帰るわね」
「そーなんだー?用事ってなーにー?」
「え?」
「だーかーら、用事ってことは何かするんでしょー?その何かをー、私は知りたいんだよー?」
「もしかして、私たちに付いていくつもり?」
「私はここにいるよー。ただ内容を知りたいだけなんだよー」
「なんで?」
「はっきりとした答えはないよー。なんとなくー」
「そ、そうなのね……」
覚無は持子に弱いのか?
それとも…………用事があるというのは嘘で、
ただ店から出たかっただけ………?
勝ち気な覚無にとって、持子のような性格だと、相性が悪い。
突拍子もないことを言う持子は読めない。
自分自身でも不明だろう。無意識のようで無意識じゃない。無意識ならば読める。
持子は本当に人間なのだろうか。
人間だとしても普通ではない。
1度は戦いたいものだ。
外見は戦いに向いていなさそうだが、外見だけで判断するわけにはいかない。
種族が不明なのだから、恐ろしく強いかもしれない。
いや、一応人間か。いつの日か確かめよう。
「本当は、用事なんてないんでしょー?」
「いや………」
「私に冗談が通じるか試したんでしょー?」
「!?」
「知ってたよ。今日覚無ちゃんたちがここに来ること」
「なんで…….」
「それは、持子が『未来を見る・見せる』
ことが出来るからだ」
「覚故………知ってるの?」
「お前は知らないのか?」
「知らない」
「その能力は、俺たちがいない間に出来たものと考えていいみたいだな」
「おー、よく分かったねー。その通りだよ」
「何がきっかけだ?」
「2人がいなくなってすぐのことかな。夢を見て、次の日に、夢と同じことが起こったの。
で、それが何度も続いたんだけど、いつからか夢じゃなくても未来が知れるようになったーということだよ」




