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第8話 孤独な吸血鬼
いつものように見回りをしていると、彼女は柵のすぐそばの木陰に立っていた。後ろ姿に、少し元気がない気がする。そもそも、こんなに柵の近くにいるのは珍しい。
俺は周りに誰もいないことを確認してから声をかけた。
「どうした?」
「!」
驚いたように振り向いた彼女は泣いていた。
「!?」
こちらも驚く。
「ど、どうした?」
オロオロと声をかけると、彼女は涙を拭い、小さく呟いた。
「私、吸血鬼の中ではちょっと変わってるの」
「えっ?」
彼女はふぅ、と一息ついた。
「私はあなたにお礼を言ったでしょ。私たちを閉じ込めている人なのに」
「…」
「家族に、外の人に礼を言うなんて変だって、言われただけ」
少し話を聞いただけだが、彼女は吸血鬼の中で浮いているらしい。
「いつか、外に行ってみたいなぁ」
彼女は言う。
俺はどう答えればいいか、わからなかった。ただ、そう話す横顔がきれいだと思った。
遠くから、浅見が歩いてくる姿が見える。
返事もしないまま、俺はその場を離れるしかなかった。




