第21話 残念なプロポーズ
月日は流れ、2人でいるのが当たり前になった。
カエも俺も仕事が忙しくなり、前ほどは休みも被らなくなってしまった。
でも、明日は久しぶりの2人揃っての休日。
帰り道は自然と足が速くなる。
「明日の休み、何する?」
食後の時間。俺は隣に座るカエに尋ねた。
「うーん、食料が減ってきたから、買い物に行かないと。それと、ちづは靴を買いたいって言ってなかった?」
最近のカエはとてもよく喋るし、ハッキリものをいうようになった。
職場でもそうなのか気になって、一度迎えに行ったら、同僚には昔のままの、無口で無表情なカエだった。
そして迎えに行ったことを怒られた。恥ずかしかったらしい。
兎にも角にも、俺だけは心を許されてると思うと、それだけで嬉しい。そんなことを思い出していたら。
「そろそろ、籍いれるかー」
思わず、心の声が口から出てしまっていた。
「…籍?」
カエは驚いて硬直してる。いや、俺も驚いてるが。もっとかっこよく、プロポーズすればよかった…!
だが、もう出てしまった言葉は取り消せない。
「…嫌だった?」
「…嫌じゃ、ない」
カエは顔を真っ赤にして俯いて、そう呟いた。
「!!」
こんな情緒も何もないようなプロポーズに、そんなに照れてくれるのか。ちゃんとプロポーズしなかったことが悔やまれるが、善は急げである。
「じゃ、近いうちに籍入れに行こう。よろしくな、俺の奥さん」
浮かれた俺は、カエの頬に唇を寄せた。




