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孤独な元少年兵は、隔離地区の吸血鬼に恋をした  作者: tukinami


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22/22

最終話 小さな結婚式

 晴れ渡る空。門出にはふさわしい天気になった。

 結婚衣装に身を包み、カエと二人で控室で待機していると、ドアが開いた。

 

「やあ」


 ドアの隙間から、浅見が顔を出し、片手を軽く上げて、挨拶をした。


「浅見!来てくれたのか!?」


 俺は浅見に駆け寄った。遠いので、来れるかどうか分からないと思っていた。驚く俺の様子を見た浅見は、満足そうにしている。


「もちろん。二人の結婚式なんだから、当然だろう?服、似合っているよ」


 浅見は俺の肩を軽く叩き、俺の隣で無表情で立っているカエにも声をかける。


「カエも久しぶりだね。中央の暮らしには馴染めてる?」

 浅見の質問に、カエはピクリとも表情を動かさずに答える。


「それなりに」

「問題なさそうだね」


 断定的に言う浅見が珍しくて、思わず二度見する。隣でカエもフンと鼻を鳴らしている。こちらも俺以外に不快感を表す態度が珍しくて驚く。 


「二人は親しいんだな?」

「ちがう」


 俺が思ったままを述べると、やや被せるようにカエが否定した。花嫁姿なのを忘れて、忌々しいと顔をゆがめている。


 浅見も予想してたかのように鼻で笑う。


「安心して。俺も君が嫌いだからね」


 迫力のある爽やかな笑みをたたえていた。カエも浅見も否定はしているけど、普段感情を表に出さない二人がこうしているのは、やはり仲が良いからのように見えた。

 俺が関われなかった時間が、確かにあるのだと実感する。

 

 少し面白くない。


 そんな俺の顔を見た浅見は苦笑した。


「ちづ」

「何?」

「結婚、おめでとう。良かったな」


 浅見の目には、少し涙が浮かんでいるように見えた。

 

 

 ◇◇◇

 

「浅見と仲がよかったんだな」


 浅見が部屋を出ていったあと、カエに尋ねた。カエは一瞬こちらを見て、ちがう、とため息をついた。


「あの人、いけ好かなくて嫌い。だけど…あの人しか、ちづのこと教えてくれなかったから。仕方なく」

「へぇ?」


 にしては、遠慮のない関係のようだったけど。

 俺が納得できずにいると、


「…まぁ、恩はあると思ってる」


 カエは口元を緩めた。


「私は、あそこから出るのは無理だって思ってた。でも、あの人が、千鶴のために、お前が頑張れって言いに来たの」

「そっか…」


  浅見は初めて会ったときから、兄貴のように俺の面倒をみてくれていた。変わらない浅見に、くだらない嫉妬をした自分が恥ずかしい。そしてうれしい。

 

「これからは、ずっと一緒に過ごせる」

 

 カエはそう言って微笑んだ。


お読みいただき、ありがとうございました!

隔離地区がどうなるか、いつか書けたらいいなと思っています。

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