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孤独な元少年兵は、隔離地区の吸血鬼に恋をした  作者: tukinami


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20/22

第20話 付き合う日

 休日の日課になっていた買い出しの帰り道だった。カエと並んで歩いていると、

 

「あれぇ?千鶴?」

 

 デカい声で呼び止められる。

 振り向くと、同僚の澪が立っていた。

 

「おー。澪」


 俺が軽く返事すると、澪はジロジロとカエを観察していた。裏表のない奴だが、少し無神経だ。


「やめろ。」

 俺が澪の視界を遮るようにカエとの間に入る。

 

 澪は驚いたようにまばたきを繰り返す。


「千鶴が、女の子と歩いてるなんて珍しいと思って。彼女?」

「そう。俺の彼女」

「へぇ?」


 澪はそう言うと、楽しそうに俺の後ろのカエを覗き込む。


「同僚の澪です」

「あ、どうも……」 


 カエは動揺しながらも、ペコリと頭を下げた。

 ニヤニヤしている澪に、余計なことは言われたくねぇな。

 

「もういいだろ。またな」


 俺はカエの手を引き、澪を押しのけるようにして足早にその場をあとにした。


 後ろから、

「今度ちゃんと紹介しろよー!」

 澪が叫んでいるのが聞こえた。

 


 ◇◇◇ 



 帰宅すると、おずおずとカエは口を開いた。


「ねぇ、私、千鶴の彼女なの?」


 その言葉に、思考が停止する。

 

 え、告白してなかったっけ?でもほぼ同棲と言っても過言では…いや、確かに、ちゃんと言ったことはなかったかもしれない…!

 

 俺は焦って、思ったままを叫んでいた。


「え!?彼女だと思ってるよ!?カエはなんだと思ってたの!?」

「何って…?恋人…かなって思ったことはあるけど、言われたことなかったし……」


「はぁ?ずっとここにいるって言ってくれたし、キスだって……」

「…そっか、そうだね…。あ、でも!家族とは思ってたよ?」


 カエは顔を隠すように俯いた。


「家族!?そっち!?え、もしかしてキスとか嫌だった!?」


 俺が青ざめていく横で、カエの頬が少し赤みを帯びていくのが見えた。

 

「…いやじゃ、ない。」

「そう、か…なら良かった…」

 

 ホッと胸をなでおろした。そして、絞り出すようにカエが言った言葉の意味に、思い至る。

 

(嫌じゃない。嫌じゃないってさ。)

 

 俺はつい、鼻歌を歌い、カエは不思議そうに首を傾げていた。

 



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