9.入寮手続
その後、私が学院の入学試験に合格したことと兄が騎士団の試験に合格したことを故郷の家族に伝える手紙の配送を冒険者ギルドによって依頼した。
学院の入学の書類は宿に戻って記載した。次の日宿を引き払い、寮に入るために学院に向かった。妹の通う学院の寮を見てみたいということで兄もついてきてくれた。
正門を入って、受付で学院の提出書類を提出し、入寮手続をした。そして、寮に向かった。寮は一番安い部屋を希望した。学院の入学金やその後の毎月の学費それに寮費である。かなりの金額になる。これ以上親に迷惑はかけられない。
寮は男女別棟となっている。私が入るのは女子寮、兄は入り口の管理人室で
「そこから先は男子禁制」
と言われがっかりしていた。
「甘い雰囲気の女子寮の部屋を見てみたかった」
「何言っているのよ。つべこべ言わずに荷物をちょうだい。荷物を部屋に下ろしたら、今度はお兄ちゃんの入る寮を見に行こう」
不満そうな兄から荷物を受け取ると、寮の私の部屋に行った。私の入る部屋は一番安い部屋、4人部屋、部屋に入ると、すでに1人、部屋にいた。
「私は、今度この部屋に入ることになった、マリアンヌ・ジゲンハルト、マリーと呼んでね。ジゲンハルト町の男爵家の娘です。1年Aクラス。よろしく」
「私はアンナ、平民です。王都の北にあるバートダッハ市の商人の娘です。1年Bクラスです。こちらこそよろしくお願いします」
「そんなに堅苦しくしないでいいわよ。貴族と言っても貧乏男爵家、暮らしは裕福な平民より悪いと思うわよ」
「そんなことはない、貴族は貴族だから」
「それじゃ好きにして。私悪いのだけど、入り口のところで兄を待たせているので、今から出かけるわ。兄は今度王都の騎士団に入ることになったので、今日騎士団の寮に入るの。私もお兄ちゃんの寮を見てみたいから付いて行くの」
「わかりました」
その後、管理人室のところに行くと、兄が管理人と話をしている。
「何話していたの」
「何って、妹がお世話になるのだ。管理人に挨拶するのは当然のことだ」
「そうですね。てっきりここを通る女生徒に目移りしていたのかと思った」
「そんなことはないぞ。俺は真面目な兄だ。両親からもお前のことを頼まれている」
「そうですかそれはよかった」
すると横から、
「仲の良いご兄妹で」
いけない管理人がそばにいるのを忘れていた。
「きょうからお世話になるマリアンヌ・ジゲンハルトです。よろしくお願いします」
「私は管理人の、ベルタ、寮のことで困ったことがあたら言ってね」
「はい、よろしくお願いします。これから兄の寮へ行くのでしばらく出かけます。夕方には戻ります」
「寮の門限は7時、夕食は8時までに終えてね。それではお気をつけて」
そうやって学院の寮を後にした。
兄の入る騎士団は王宮の近くにある。寮もその近くである。近くまで行くと貴族街である。貴族の移動は馬車が主流のようで、歩いている人が少なくなる。しかし、貴族の使用人やそこに用事ある人は歩いて行くようである。私たちのような人も見かける。
それと貴族街は綺麗である。通りもそうなら、そこの建物も綺麗である。ジゲンハルト町のように古い壊れかけた家は見かけない。道行く人もこざっぱりした服装で、さすが王都裕福な人が多いのだと実感させられる。
兄の騎士団に行って、兄が入団手続と入寮の手続をしている。今度は私の番、そこにいる人に
「今度私の兄がお世話になります。私は妹のマリアンヌ、兄をよろしくお願いします」
目いっぱい媚を売っておく、先ほどの仕返しである。するとそこにいる人が
「おっ、美人のお嬢ちゃん。よろしく」
「まあ、美人だなんて、貴方も素敵よ、ハンサムなイケメンさん」
すると書類を記入していた兄が
「こら、マリアンヌ。それ以上しゃべるな。気になって、書類が書けないじゃないか」
やり過ぎたようで兄に怒られた。
やっと書類が書けたようで、兄の部屋へ行くことになった。さっきのイケメンさんも付いてくると言っている。ここは女子禁制ではないようだ。これで兄の部屋も見られる。
兄の部屋に行くと寮は4人部屋だった。でも汚い。鼻をつまんで
「兄ちゃん。こんな汚いところに住むの。ちゃんと掃除しないと」
すると付いてきたイケメンさんが
「騎士団の男子寮なんてこんなものさ。なんなら嬢ちゃんが掃除してくれるか」
「そうね、私、生活魔法だから、掃除は得意よ」
そう言って、
「クリーン」
と唱えた。すると部屋が一瞬で綺麗になった。
「ざっと、こんなものよ」
すると、イケメンさんが
「すごい、俺の部屋も掃除してくれる」
「兄の面倒を見てくれるなら、してあげてもいいわよ」
「わかった。お兄さんが困ったときは力になる」
ということでそのイケメンさんの部屋に案内されて部屋を生活魔法で綺麗にした。
その後夕方までに学院の寮に戻った。




