10.相部屋のメンバー
寮の部屋に戻ると部屋には残りの住民がいた。
「私は、ディアナ、平民です。港湾都市ハーゲンダム市の商人の娘です。1年Bクラス。よろしく」
「私はエルザ・フェルゲスト男爵令嬢、王都から北西に行ったフェルゲスト市の男爵家の娘です。1年Cクラス。よろしく」
これで4人全員そろった。Aクラスがマリー、Bクラスがアンナとディアナ、Cクラスがエルザである。
そのあと食堂へ行って、みんなで夕食を食べた。夕食はジゲンハルト町の男爵家の食事と変わらないものだった。この国のどこにでもあるような、ジャガイモを主体とした料理、それにライムギパン、小麦粉のパンと違ってライムギパンは固い。しかし栄養価がある。このような食事は下級貴族や平民の一般的な食事である。
しかし、上級貴族や裕福な商人は、お気に召さないようでディアナが
「マリーやエルザは何も思わないの。このパン少し硬いと思うけど」
「別に何とも思わないわよ。私の家でもいつもこのパンだったから」
「ええー、そうなの、貴方たち貴族でしょう」
「貴族といっても男爵家、吹けば飛ぶようなものよ」
「そうなの」
「そうよ。男爵家は貧しいから」
食事の後は部屋に戻って、どんな勉強をしたのかという話になった。特に私がAクラスということで私の話を聞きたがったようだ。
「私は、従姉から借りた受験参考書を読んで勉強した。剣術は父に教わった」
「家庭教師には習わなかったの」
「うちは貧乏だからそんな余裕はない。それから、どこか働けるようなところはないかしら。父にあまり迷惑を掛けたくないから」
「貴族も男爵家ともなると大変なのね。私は家庭教師の人に教えてもらった」
「私も家庭教師の人に教わった」
「うちも男爵家だから、家庭教師はいなかった。参考書を見て勉強した」
「そうなんだ、貴族というともっとお金を持っていると思っていた」
するとエルザが
「私も何か働きたい。ねえー、マリー、冒険者にならない。冒険者になれば収入が得られると思うし」
「危なくないかな」
すると、アンナが
「働くのだったら商業ギルドへ行くと仕事を紹介してくれるわよ」
「そうなの」
「そうよ」
それじゃ明日みんなで商業ギルドへ行ってみる。
次の日、みんなで商業ギルドへ行った。商業ギルドは市の中心部、大通りの中央にあった。アンナを先頭に扉を開けて中に入ると、そこのいた人たちの目が全員こちらを見る。私たち女子4人全員学院の制服を着ている。そりゃ目立つと改めて思った。
アンナは慣れているようで、そのまま受付嬢のところへ行くと
「私たち学院の1年生、私たちでできる仕事ないかしら」
すると受付嬢が、求人票のページをめくりながら
「どのような仕事をお望みですか」
「私たち全員寮にいるの。平日は寮の門限もあり、仕事ができないから休日だけの仕事ってないかしら」
「休日だけとなると、限られてきます」
「もし平日でもよければ家庭教師の仕事もあるのですが」
「みんな、平日は難しいよね」
「難しい」
「他には」
「後、工房の手伝い、商店の売り子、帳簿の整理そんな所ですね」
私が
「工房の手伝いというとどんな工房があるのですか」
「工房としてはポーション工房と服飾工房の2つがあります」
「私はポーション工房の手伝いをしたい」
するとエルザが
「私は服飾工房の手伝いにするわ」
これで決まりのようである。あとの、アンナとディアナは気に入った仕事がないようで
「私たちは次の機会にするわ。別にお金に困っているわけじゃないから」
その後、私たちは商業ギルドの紹介状を持って、それぞれの工房を訪ねることになった。
なお、学院の生徒がアルバイトをするときは学校に書類を提出する必要があるとのことで、これについては正式に仕事が決まってからとのことなので、1度工房を訪ねて、それからすることにした。




