11.ポーション工房
私は依頼のあったポーション工房に向かった。エルザは服飾工房に向かった。アンナとディアナは「服飾に興味がある」と言って、エルザと一緒に服飾工房に向かった。
最初は大きな通りだったのだが、歩いて行くと通りはだんだん細くなっていった。何となく不安を覚えたが、今は昼間だし、たぶん大丈夫と思ってそのまま進んだ。
求人のあった工房はその通りの角にあった。工房の扉を開けて中に入ると、中にはおばあさんが1人いた。
「あのう、商業ギルドから紹介されていたのですが、ここの工房でいいのですよね」
「いいよ、お嬢さん。求人の依頼を出したのは私だ。名前はクララ、この工房は私の工房だ。そして、この工房には私1人しかいない。だから手伝いが欲しかったのだ」
「私はマリー、学院生なので平日はこられません。休みの日だけしか来られませんが、それでいいですか」
「いいよ、どうせお客はあまり来ない。私は作ったポーションを冒険者ギルドに下ろしているのさ。だから作ったポーションを冒険者ギルドに持って行ってくれるだけでもいい」
「依頼書にはポーション作成の手伝いとありましたが、私にも手伝えることがあるのですか」
「お嬢ちゃん、ポーションを作ったことはあるかい」
「ありますが、私資格なんて持っていませんよ」
「資格は要らない。私が作ったことになるのだから、お嬢ちゃんは手伝いをしただけ、建前はね。1度腕を見てみたいから、奥へ来てもらえるかい」
そう言われて、マリーは奥の部屋へ案内された。そこには、ポーション作成の道具がそろっていた。薬草も積んである。
「どんなポーションを作るのですか」
「そうさな、最初は傷用ポーションを作ってもらおうか」
マリーはそこに置いてある薬草から傷用ポーションの薬草を鑑定で選び出した。一部鮮度の悪い物やあまり効果のない薬草は除外した。
そして選んだ薬草をすりつぶし、鍋に入れた。水は魔法で出した水を用いた。その後魔力を注ぎながらかきまぜた。そして色が変わったので火を止めて瓶に入れた。鑑定してみると「傷用ポーション:効果大」と出た。品質的には問題ない。
「出来ました」
渡されたポーションをクララはじっと見つめて
「たいしたものだね、立派な傷用ポーションになっている。ポーションを作るときも鮮度の悪い薬草は除外していたし、嬢ちゃんほんとに資格がないのかね。これだけ出来ればポーション師の資格が十分とれるよ」
「そうなのですか、私今まで自分で使うポーションしか作ったことなかった。それに今学院の1年生これから薬草の勉強するのです」
「そうかい。もう少し腕を見てみたいから、今度は回復ポーションを作ってみてくれ」
そう言われて、マリーは回復ポーションを作り始めた。しかし、薬草が足らない。
「あのう薬草が足らないのですが」
「薬草も見分けがつくようだね。正解さ、ここにある薬草では回復ポーションは作れない」
「それじゃ、問題、ここにある薬草でできるポーションは」
マリーはじっと薬草を眺めて鑑定をかけた。すると「毒消しポーション」とでた。それで、「毒消しポーションなら作れると思います」
「それじゃ、作ってみてくれ」
そう言われて毒消しポーションを作り始めた。そして作ったポーションをクララに渡すと、
「これだけ作れれば十分さ。ところでお嬢ちゃん魔力は問題ないのかい」
「はい、これくらいなら何ともないです」
「そうか、腕も確かなら、魔力量も問題ないか。採用決定だな。嬢ちゃんの場合魔力量が多いからポーションは出来高制とするか。ポーションの値段は材料代が1/3、手間賃が1/3、工房の経費が1/3そんな所さ。だからポーション1本につき冒険者ギルドで売れたお金の1/3をお嬢ちゃんに渡す。それでいいか」
「そんなにもらっていいのですか」
「いい、お嬢ちゃんの腕は確かだ」
このようにして、マリーのポーション工房でのアルバイトが決まった。その後学院に出す書類におばあさんのサインをもらって工房を後にした。つぎは今度の休みの日となった。




