5.魔法の練習2
教会から帰ると真っ先に祠のところに行って不満をぶちまけた。いつもように、手を合わせる仕草(二礼二拍手一礼)、そして
「祠さん聞いて。今日は魔力を感じる練習だったのだけど、神父さんが私の手を掴んだと思ったらピュッと魔力が入ってきた。
そうしたら、神父さんがニッコリして『もう魔力を感じられたのですね』と言われたの。それでおしまい。半日も教会にいたのに神父さんが相手してくれたのはこれだけ。他の子は何度も何度も神父さんが相手してくれたのに、不公平じゃない」
「それは仕方ないよ、マリーが優秀で1度で魔力を感じることができたのだから。その日はもう教えることはない訳だし」
「それはそうだけど。なんかしっくりいかない」
「それだけマリーが優秀とうことだよ。いいことじゃない」
「そうかな」
「そう」
祠に言われると納得せざるを得なかった。
「明日は、『魔力を動かす練習』と言っていたけど、どんなことをするの」
「お腹の魔力を全身にいきわたらせたり、手とか足とかある特定の場所に集めたりする練習さ。やってみる。マリーなら今でもできると思うよ」
それを聞いて、マリーはまず初めに手に魔力を集めてみた。体のお腹のあたりに感じる魔力を手の先に動くようなイメージをしてみた。すると、魔力が手の先に集まるように感じた。
「こんな感じ」
そう言って、先ほどの作業をもう一度してみた。
「さすが、マリー、もう魔力を動かせるようになったのだね。マリーの場合、魔力量が多いから魔力を感じるのも楽だし、動かすのもイメージしやすいのだと思うよ。
普通の子はこんなに早く魔力を感じられないし動かすこともできないよ。体の中にあるかすかな物を精一杯探して、それを動かすのだよ。感じるだけでも大変なうえに、それを動かすのだよ、相当神経を研ぎ澄まさないと出来なと思うよ」
「そうなの」
「そうさ」
「ところで、これが出来たらということは、明日の練習は何もすることないよね」
「そんあー」
次の日、教会に行った。今日は予定通り魔力を動かす練習である。他の子はなかなか難しいようである。今日も神父さんは近くにきて、
「さあ、動かしてみて」
と言っただけ。私が魔力を少し動かすと
「さすが御領主様の娘さん。もうできるようになったのですね」
それだけだった。
今日もフラストレーションが溜まるだけの教会の魔法指導であった。
当然、マリーは教会から帰ると祠に不満をぶちまけた。そして、祠の説得になだめられるのであった。
その後、
「ところで、明日からは魔法の練習だよね。マリーの場合、魔力量が多いから、これは注意してね。前にも言ったと思うけど、『生活魔法でも、込める魔力量によっては普通の火魔法や水魔法と変わらない威力になる』から。注意しないとマリーの能力がほかの人にばれて、下手すると『研究対象』とか言われると、もうここにはいられなくなるよ」
それを聞いてマリーは不安になった。
「どうすればいいの」
「込める魔力量を小さくすればいいのさ。少しやってみる」
「する」
「それじゃ、手の先にちょっとだけ魔力を集めて、そこから水が出るイメージをして。たくさん魔力を集めると水の威力が増すから注意してね」
マリーは祠に言われたように手の先に魔力を集めた。そして、手の先から水が出るイメージをした。すると手の先から水が勢いよく出てきた。
すると、
「マリー。集める魔力をもっと小さくして」
祠の声が聞こえた。
そこで、今度は魔力を先ほどの1/4ぐらいにしてみた。そして水が手の先から出るイメージをした。すると、今度は水の勢いが弱くなった。
「こんな感じ」
「たぶんこれでも、生活魔法だと十分威力あり過ぎだと思うので、もう少し集める魔力を少なくして」
その後も祠の指導は続いた。そして集める魔力量を最小限にして、やっと祠の了解が得られた。




