43.学院祭3
今日からは剣術大会が始まる。今日は予選である。トーナメント方式では強い人に当たった人は不利である。リーグ方式では試合数が多すぎて時間がない。その結果考えだされたのが、あらかじめ運動神経の悪い人や剣の扱いがうまくない人を排除するためのボール当てである。
ボール当ての方法は、ある一定の範囲に選手を集めて、そこにボールを投げてボールに当たった人は失格。なおボールは手にした木剣で防いでもいいのである。また、その範囲から出ると失格である。この方式だと本当に弱い人だけが排除される。
目の前でボール当てが行われている。最初は20人いたがもう半分以下の7人しかいない。これが2人になったら、その2人は予選通過、明日の本選に進めるらしい。また、20分耐えたグループは人数が2人にならなくても、残った人はすべて本選に進めるらしい。要は20分耐えるか最後の2人になるかすれば本選に進めるらしい。今日はこのボール当てが20回行われるらしい。
これなら、剣術大会でもよかったかなと思った。しかし、マリーの実力ならこのボールは余裕で避けられる。やはり魔術大会でよかったと思うマリーであった。
それにしても、遅い。こんなボールも避けられないようでは魔獣の攻撃は避けられない。たぶんこのまま卒業しても、即戦力にはならないだろう。若し、このまま魔獣退治に駆り出されたら一体どれだけの人が死ぬのだろう。
しかし、最近の魔獣氾濫で、どこの騎士団も人員不足らしい。特に王都の騎士団は最近再建されたばかりで、その実力は最低と聞いている。クラスの同級生ももし騎士団に採用されても地方勤務を望むと言っていた。とにかく王都の騎士団は実力が最低である。死ぬ確率が一番高いそうだ。
予選を見るとはなしに見ていたら今日の予選が終わっていた。本選に進むのは50人らしい。
次の日は朝から本選である。本選はトーナメント方式で行われる。昨日の予選が終わった段階でくじを引いていたようで朝その対戦表が張り出された。本選に進んだ生徒は3年生が一番多い。2年生でも本選に進んだ男子もいる。さすがに1年生は少ない。
試合は会場を4つに区切って行われる。試合時間は5分らしいが、勝負が決まらないと延長されるが、大抵はすぐに決まる。特に実力差があると試合開始と同時に決まる。
今日はクラスの男子を応援することにした。しかし他のクラスの生徒をあまり知らないマリーはクラスで本選に進んだ3人を応援することにした。しかしその3人もすぐに敗れて午後からは暇になった。3年生の試合をただ眺めている。
昨日も思ったが、選手の剣の動きが遅い。昨日の予選を通過してきているので、それなりの実力があるはずなのに剣の動きが遅い。これだと素早く動く魔獣には対応できない。また、群れで襲ってくるような狼などには対処できない。それに試合時間の5分を過ぎて延長になると途端に動きが悪くなる。こんなことでは複数の魔獣を相手にしたら対応できない。
そうやって眺めていたら決勝戦である。相手は3年同士なので名前は知らない。それに実力が似たり寄ったりであまり興味がわかない。女生徒の中には黄色い声を上げている者もいるがそういう目で見ていないのでマリーには興味がない。
隣に座っている女子は先ほどから3年生の男子を盛んに応援している。何でも生徒会長だとのこと、おまけに公爵家の嫡子だとのこと。よくそんな事調べたと思ってしまう。
「マリーは興味ないの。だって、顔はいいし、公爵家の嫡子。将来安定、勝馬よ」
「私そういうのは興味ない。それに私男爵家だから無理」
「そんな冷めたこと言わない。夢は必要よ」
「夢はね」
何故、他の男子に興味がわかないのか考えたら、広の存在が大きいと思う。他の男子と比べるといつもマリーの頭に広が出てくる。それにマリーの精神年齢は今の同級生よりずっと高い。それもあるのだと思う。
それにしても広はどうしているのだろう。あれから祠にも会えないし、広のことは何も進んでいない、この世界に転生しているのかさえも分からない。広のことを考えたら少し寂しくなった。
そうやって、剣術大会は終わった。




