42.学院祭2
4日目は魔術大会である。参加者が多いので今日は予選だけである。参加者には女子が多い、私は午前中の昼前に魔術を披露した。
10人ほどが横一線に並んで、的に向かって魔術を行使する。当然攻撃魔法である。無詠唱が推奨されているとはいえ無詠唱は威力が小さい。それで、最初は無詠唱で魔術を行使する。その次に詠唱して魔術を行使する。その2段階の審査が行われた。
マリーは無詠唱で2本の杖を持って的の前に立った。右手に銅をつけた杖、左手にカルシウムをつけた杖である。そして、審判の開始の声とともに、右手の杖から緑色の炎を出した。同時に左手の杖から橙色の炎を出した。
そして2つの炎は的に向かって飛んで行って、同時に的に当たった。すると色が変わった。なんか黄色に見えたようだったが一瞬だったのでよくわからない。とにかく魔力弱めでやっているので、効果も薄い、隣の女子たちの放つ攻撃魔法と同じくらいである。
次は、詠唱してする番であるが、私の場合いつも無詠唱でしているので詠唱しても変わらない。審判の初めの声とともに、魔法を行使した。最初の魔法と変わらない。審判が
「詠唱しないのですか」
と聞いてきたが、
「私は生活魔法なので無詠唱でも詠唱しても効果は変わりません」
と答えた。
その後他の生徒の攻撃魔法が放たれた。さすが、詠唱すると効果が大きい。最初の魔法とは比べ物にならない。大きく的が焦げている。
こうして私の魔術大会は終わった。予選落ちである。これで私の学院祭は終わった。もう私の参加する競技はない。後は他の生徒の様子を見るだけである。
クラスの友達のいるところに戻ると
「マリーは生活魔法しかできないのに、なぜ、魔術大会に出たの。剣術大会に出ればよかったのに」
「だって、私の家は男爵家だし。若し対戦相手が上位貴族だと、本気で戦えないと思ったから」
「そうよね、剣術大会といえ、もし下級貴族や平民が上位になると注目されるものね。家の人にすれば何故息子が負けたのだと、後で言う人もいるかもしれないものね」
こんな話をしていると、そばで聞いていたクラスの公爵令息が
「そんな事はないぞ、剣術大会は正々堂々と戦うものだ。負けたのはその人の剣術が未熟だったからだ。家柄を気にする必要はない。そんな事をしていたから、昨年のように近衛騎士団が何の役にも立たずに王都を危機に陥れたのだ」
なんか難しい話になってきた。公爵令息は本当に真正直な人のようだ。でも少し面倒くさい。マリーそうは思った。
次の日は魔術大会の本選。今日は対戦形式のようだ。よかった予選で落ちてと思った。こんな所で上位貴族の令息に怪我でもさせると問題である。今日も小言を言われるのが嫌で、昨日の公爵令息とは距離を置いて座った。
さすがに対戦形式となると詠唱している生徒はいない。詠唱などしているとその間に接近されて体のすぐ近くで魔法を放たれる。無詠唱で効果が小さとはいえ、体のすぐ近く、例えば腹に手を当てられて魔法を放たれれば腹に穴が開く。
無詠唱で動きながらの魔法合戦である。見ていると見ごたえがある。魔法士の体力勝負である。動きが鈍ってくると接近されて魔法を放たれる。審判が慎重に生徒の動きを見ている。
とにかく怪我がないようにしないといけない。どちらか一方の生徒が相手の腹に手を当て状態で「そこまで」の声がかかることもある。
本選が進んでいくと体力のない女子はほとんどが負けていく。最後は男子二人の決勝戦であった。3年生なので名前は知らない。勝ったのは伯爵令息とのことであった。隣に居た生徒が話していた。
しかし、マリーはたぶん彼らの魔法では上位の魔獣には勝てないと思った。それは、魔獣が1匹でないということだ。彼らは魔獣を複数相手にできるだけの体力も魔力量もない。試合が終わるとぐったりしている。こんな状態で複数の魔獣と対峙したら、最初の魔獣は倒しても次の魔獣にはやられる。
でもそれは言わないことにした。私の実力を知られるわけには行かない。とにかく私は学院では生活魔法しか出来ないか弱い令嬢となっている。少なくとも自分ではそうふるまっている。
そして、明日からは剣術大会である。




