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マリーの思い家族の思いそして祠がつなぐもの  作者: @000ーooo


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39/54

39.新学期

 新学期になった。また新しい学期である。普通だと履修科目を決めて眠たい授業を受けるのだが。今年は違う。昨年の王都のスタンピードの影響もあり、校舎はまだ、壊れたままのところも多い。とにかく早く復旧できる部分だけをとりあえず補修した形だ。


 春だからいいけど、これが冬だったら、隙間風で大変なことになる。穴の開いた壁を横に見ながら授業を受ける。でも春はいい、入り込んでくる風がさわやかだ。教師の声も眠り歌に聞こえるときもある。


 そうなのである。夜眠れないので昼間は眠いのである。寮もひどい有様である。穴の開いた壁に板を打ち付けてふさいだだけ、ベッドも布団や毛布もない。そんな物は魔獣が寮に侵入した時点でくちゃくちゃになった。だから夜は眠れないのだ。


 でもそんなことを言っていて授業に遅れるわけにはいかない。教師の声を聞いて、内容を理解して、とにかく強くならないと、再度魔獣に襲われたとき対応できない。そうなれば死ぬだけである。


 昨年の王都の魔獣の氾濫は、多くの人が死んだ。東側と南側の城壁を破って魔獣が王都に侵入したことから、逃げ遅れた市民の多くが犠牲になった。学院生でも討伐に参加した生徒の中には南側の城壁で魔獣に殺された生徒も多い。また、魔獣討伐に参加しなかった生徒でも寮に残っていた生徒はかなりの生徒が逃げ遅れて魔獣に殺されたようである。


 とにかく常在戦場、今はどこに居ても戦時下である。その戦時下でも人は生きて行かなければならない。普通の生活をして食事をして眠る。何処に食料を配給して、どこに人と金を回すかは国のえらいさんが決めること、私たちは決められた計画に基づき、与えられた役割を果たす。そうしないと国が回らない。私たちは生徒、学院で勉強して強くなること、これが私たちに求められる内容。そして、与えられた役割。今はそれを果たすだけ。


 マリーの2年生のカリュキラムは次のようである。

必須科目:国語、数学、魔法理論、薬学、魔法陣、魔法実技、剣術実技、魔獣学

選択科目:外国語、法律、貴族の常識、商業取引、乗馬


 このうち、実戦に関係のないと考えられる科目は授業時間が減った。増えたのは魔法理論と薬学、魔法陣、魔法実技、剣術実技、魔獣学、乗馬である。


 それから戦術論という学科が新たに創設された。これは騎士団の中で新たに士官クラスの養成用に開発された学問だそうだ。学院生は将来騎士団に入って多くの騎士や徴用された兵士を指揮することが多いので、学院にいる間にこの知識を身に着けさせて、騎士団に入ったら即戦力として使うそうである。


 1兵士のつもりで騎士団入ったら、いきなり徴用された市民兵を部下にして魔獣を討伐しろと言われる。こんなの全滅が見えている。誰も受講しないのかなと思ったら、かなりの生徒が受講している。そうなのである。領地貴族の場合、領地に戻ると従士や農民を指揮して魔獣討伐をしないといけないのである。この知識があるとないとでは生き残れる確率も違ってくるのである。


 この科目は強制でないが将来領地に戻った時に役に立つと思いマリーも受講することにした。


 寮生も戻ってきている。領地もひどい状態だが王都よりはましである。心配して領地に居る生徒も多いのかなと思ったが、そんな事を言っていたら取り残される。今は早く強くならなければならない。


 穴の開いた建物の中で食事をして眠る。女子寮の部屋はほとんどの壁がふさがれているが、男子寮は穴の開いた部分も多い。そんな寮で懸命に生活している。


 このような中で生活していると連帯感のようなものが芽生えてくる。これまであった貴族の階級みたいな意識はかなり薄れている。魔獣の前では貴族も平民も変わらない。とにかく強い者だけが生き残れるのである。


 マリーの王都での生活が再開された。ただ、今回はひたすら強くなることを求められた学院生活である。

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