38.武器の開発
マリーがまた春になって王都に行くようになると、このジゲンハルト領の魔獣討伐が父と兄だけでは大変である。そのため有効な武器を作ることにした。武器といえば前世の銃が思い出される。
しかし、銃を作るには火薬が必要である。火薬は一番簡単な黒色火薬だと硫黄と木炭と硝石が必要だが、ここジゲンハルト領には硫黄も硝石もない。そのため、火薬を作るのはあきらめた。
そこで今度は弓を作ることにした。弓だと前世の記憶ではクロスボウとロングボウが思い出される。
クロスボウは一旦セットしてしまえば、誰でも矢を放つことが出来て狙いも付けやすい。しかし、射程が短いことと、セットに手間がかかる。それで連射が効かない。
一方ロングボウは弓を引きしぼって狙いをつけるため操作が難しい。しかし射程が長いし、連射が効く。
どちらも一長一短がある。ちなみに〇ン〇ルの軽騎兵は揺れる馬の上から引き絞った弓矢を多数打ち込んだそうである。そのため多数の矢を連続して放つために弓の引手に矢を何本も持っていたそうである。これだと当時の兵の何倍もの速さで矢を射ることができたそうである。
結局、弓についてもうまくいかなかった。そこで、今度は矢に水を入れた容器をつけてそこに火の魔法陣を組み込む。矢が魔獣に当たると火の魔法陣が発動してその容器を激しく熱して水蒸気爆発を起こす。
このようないわゆる爆弾を作ってみた。これで実験してみたが発動までの時間がかかる。前世の記憶にあるような爆弾とは違っている。しかし、矢尻だけの矢よりは魔獣に対する効果がありそうである。
それに火薬だと、知らない人が触ると爆発の危険があるが、これだと水と魔法陣だけなので魔石さえ抜いておけば爆発の危険がない。
容器の強度と水の量それに魔石の大きさを変えて色々試して、一度に注ぐ最適の魔力量を検証していく。最終的には爆発の力を小中大の3つに区分けした。これで、弱い魔物には爆発力小の矢を用いる。中ぐらいの魔物には爆発力中の矢を用いる。そして、強力な魔物には爆発力大の矢を用いるように区分けした。
しかし、爆発力大の矢は重たい。当然射程も短くなるし、命中率も落ちる。そこで、バリスタのように大型の発射装置を作ることにした。
バリスタに設置する弓は3つとした。これを滑車で糸を連結して矢を飛ばすようにした。これだと弓を3つ用いているので飛ばす力は3倍である。連射は効かないが、狙いは付けやすくなる。
連射が効かないのでバリスタは5つ作った。5つあればどれか1つぐらい魔獣に当てられるだろう。ただ、バリスタは当然大きくて重たい。森の中を持って移動するには不向きである。これはジゲンハルト町に備え付けて防御専用にした方がいいようである。
なかなか難しい。1つ問題を解決すると新たな問題が生じる。前世の銃を作れればいいのだが、その知識はない。それにもし作ったらそれを扱える人間を養成しないといけない。
男爵邸の庭で、父や兄に作った矢を披露した。
まず、爆発力小の矢である。木製の木の板の的に向けて、マリーが矢を射た。矢は的に突き刺さった。するとしばらくして「ボン」と言う音がして、的が壊れた。
次は爆発力中の矢である。木製の木の板の的に向けて、マリーが矢を射た。矢は的に突き刺さった。するとしばらくして「ドカン」と言う音がして、的が粉々に吹き飛んだ。
次は爆発力大の矢である。的は太い丸太にした。爆発力大の矢は重たいのでバリスタを用いることにした。バリスタを設置して地面に固定した。
そこに矢をセットした。矢のセットには糸をドラムを回転させて引っ張っていかないといけないので時間がかかる。やっと矢のセットが終わった。
狙いをつけて、糸を固定している留め金を外すと矢が勢いよく的に向けて飛んでいった。そして的の丸太に突き刺さった。
しばらくすると丸太が吹き飛んだ。近寄ってみると丸太に穴は開いているが、その穴の深さは最初に矢が貫通した深さと同じであった。
これから分かることは、爆発力大の矢は、矢のセットに時間がかかることと、その矢が最初に貫通した深さ以上には深くならないということである。
やはり銃の代替品にはならないようである。しかし、固い表皮を持つ地竜以外だと効果は絶大のように思う。
そこまで披露して、順番に父や兄にも試してもらって感想を聞いていった。
父や兄からは、これまでの武器と違って、これだけで魔獣を倒すことが出来るだろうと好評だった。
その後、これらの武器を量産することにした。なお、武器の量産はマリーの異空間でコピーして行った。爆発力小の矢は1万本、爆発力中の矢は5000本、爆発力大の矢は1000本、バリスタは20台作った。
そして、春になったので王都に戻ることにした。




