34.王都の魔獣の氾濫
王都の東の森のダンジョンで魔獣の大量発生が報告された。王都の警護は昨年の魔獣討伐実習の責任を取る形で地方配属となったが、そこでも役に立たずスタンピードを発生させたことからに廃止となっている。
今王都の警護は近衛師団が当たっているが、近衛騎士は本来王族の警護が主な責務のため、プライドだけ高くて実際はほとんど役に立たない。
今回も魔獣の発生を抑えるべくすぐにその魔獣の発生しているダンジョンに派遣されたが、魔獣にあっさり押し切られて、その大量発生を防げなかった。そして、そのダンジョンからは魔獣が大量発生して、森の周辺部にあふれ出してきた。
王宮はすぐに大量の冒険者を雇用して王都の守りを固めた。また、地方に派遣している騎士団を王都に呼び戻そうとしたが、これには地方の領主が反対した。今ここで騎士団に去られるとそこの領地は危機的状況に陥る。あの手この手の引き留め合戦である。
さらに地方から王都まで行こうとすると時間がかかる。最低でも1か月ぐらいは見る必要がある。それに騎士団が派遣されているところの領主が移動の妨害をしているとなると2か月ぐらいはかかると考えられる。
王宮は頭を抱えてしまった。一番悪いのはプライドだけ高くて役に立たない近衛師団である。しかし、いまさらそんなことを言ってもどうにもならない。とにかく近衛師団には「再度ダンジョンに行って死ぬ気でがんばってこい」と言う命令が出された。そうでもしないと、寄せられる市民の苦情に対応できなかったのである。これを無視すると王都を守る冒険者もいなくなる。
結局近衛師団はダンジョンで押し寄せる魔獣にあっけなく敗北し、全滅した。そして、あふれ出した魔獣が王都の城壁に押し寄せた。スタンピードの発生である。
王宮は、この事態にどう対処するのか、とりあえず冒険者を城壁のところに配備しているが、冒険者は個人で活動している。組織立っての行動は不向きである。
とりあえず冒険者の指揮はギルド長にさせることにしたが、冒険者は国とは独立した機関である。国王がギルド長に頭を下げる形で今回限りと言うことで何とか了解を得た。
そして、依頼料として冒険者1人に付き最低1日金貨1枚という報酬を約束させられた。そうでもしないと依頼を受ける冒険者がいないそうである。そして、1人1日最低金貨1枚という依頼が冒険者ギルドに張り出された。
しかし王都の城壁は長い。そこをすべて一様に守るのは無理である。とりあえず、魔獣が集中して押し寄せている王都の東側を中心にして冒険者を配置した。
それ以外のところはまた王宮預かりとなった。そこで王宮は、王宮の文官にも動員をかけて城壁の守りに就かせた。また市民にも参加を依頼したが武器を取ったことない市民では足手まといになる。そこで王宮は学院の生徒にも依頼をかけた。
今マリーは講堂にいる。これから学長の説明が行われる。
「今、王都の東のダンジョンで発生したスタンピードで魔獣が王都に押し寄せている。王都を守る近衛師団は魔獣との戦いで全滅した。
王都は南北にフロデント川が流れているので、その東側を防衛するというのが王宮の考えである。
現在冒険者ギルドが組織した冒険者が王都の東側の城壁を守っている。それ以外の区域は王都の市民で守る必要がある。
王都の北側の城壁は王宮の文官が守っている。
そこで、今回我々学院生は市民の有志とともに王都の南側を守ることになった。学院の教師は全員参加する。指揮は私が取る。
学院生もこの防衛に参加してほしい。この防衛に参加した生徒には卒業の資格を与える。また、冒険者に支払った金額と同じ1人1日最低金貨1枚を支給する。また倒した魔獣は倒したものの成果として素材の代金を受け取るものとする」
王都を守るはずの近衛師団には言いたいこともあるが、ここで何もしないと王都が魔獣に蹂躙されて国が滅んでしまう。
クラスの多くの生徒がこれに参加するようである。マリーもこれに参加することにした。




