31.男爵領の魔獣狩り
次の日からマリーは父や兄とともに、領内の魔獣狩りに参加した。参加者は父と兄それに男爵家の従士5人だ。これにマリーが加わることになった。
いまは北の領地境からここジゲンハルト町までの間の魔獣を狩っているそうだ。そうしないとここに誰も来てくれなくなる。商人が来なくなるとこの領地の生活が成り立たなくなるそうである。
今日は街道から東の村々を回るそうである。移動は早く動けるように馬だそうだ。マリーも学院で乗馬を選択している関係上うまくはないが馬に乗ることが出来る。しかし、今回はなぜか不思議とすんなりと手綱を握ることが出来た。馬も嫌がっていない。不思議である。父親が「マリーは馬の才能もあるのか」と驚いている。よくわからない。しかし、出来るものは出来るので、それでよいことにした。朝早く家を出て先ず集落に行った。
村の長から魔獣被害の状況を聞く。魔獣は村の東の森をねぐらにして、そこに来る村人を襲っているそうである。村人が森に近付けなくなったので、村の生活が苦しくなっているそうだ。
マリーたち一行が森に近付くと、森から嫌な臭いが漂ってくる。「これビッグベアだ」マリーは直感でそう思った。
森に近付くと藪になっているところがある。「居るとしたらたぶんこのあたり」適当に狙いをつけて氷の矢を放った。連続して順番に藪に氷の矢を放っていく。
少しずつ場所を変えて矢を放っていくと、1つの藪が大きく揺らいだ。そして大きなビッグベアが出てきた。
マリーは「当たりだ」と思って、槍を構えて駆けだした。ビッグベアに近付くと、大きい。このビッグベア先日街道沿いで倒したビッグベアの2倍ぐらいある。だから氷の矢で倒れなかったのだ。しかし、氷の矢で傷は付けられた。後はとどめを刺すだけ。
ビッグベアがマリーを攻撃しようとして、大きく腕を振り上げところを、空いた懐の急所を槍で一突きした。
ビッグベアは、もんどりを打ってあおむけに倒れた。これでビッグベアの討伐完了。
遅れて駆けつけた父と兄が「俺たちが駆けつける前に倒してしまうなんて」と驚いている。
倒したビッグベアはマリーのマジックバッグに収納した。その後新たな魔獣を求めて森の奥に進んだ。すると鹿の魔獣がいた。大きさは前世のトラックぐらいある。これだけ大きいと堂々としている。私たちの姿を見ても逃げようとしない。
「逃げないのならちょうどいい」と思って、マリーは1歩ずつ鹿に近付いた。槍を構えて駆け出そうとした瞬間に、鹿から強烈な魔力波が来た。マリーの後ろにいた父や兄や男爵家の従士たちは、すぐに吹き飛ばされて森の木に打ち付けられて気絶した。
マリーは吹き飛ばされなかった。何とか耐えた。魔力波が弱まった時これは好機と、マリーは地面を蹴った。
そして槍で体を突きさすと見せて、数十の氷の矢を魔獣の顔に放った。氷の矢は魔獣の目や鼻や口に突き刺さった。一番効いたのは、魔獣の口からのどに突き刺さった氷の矢だった。魔獣は氷の矢が邪魔になって口を閉じることが出来ない。そこに今度は槍を突き刺した。
槍は魔獣の口から喉を貫通し、魔獣がもがきだした。マリーは剣を鞘から抜き去ると魔獣の首をはねた。
その後、倒した魔獣をマジックバッグに収納し、異空間から取り出したポーションを倒れている父や兄それに男爵家の従士に飲ませていった。
父や兄は気が付くと
「さっきの魔獣は」
「私が倒してマジックバッグに入れた」
「さっきの魔獣をか、すごいな。私たちはマリーのお荷物だな」
「そんなことはない」
そんなことを言っていると、血の臭いに狼たちが集まってきた。マリーは氷の矢を集まって来る狼に順次放っていった。狼は全部で20匹いた。倒した狼もマリーのマジックバッグに入れていった。
しかし、この狼の血の臭いがさらに魔獣をおびき寄せた。今度はゴブリンやオークそれにさらにビッグベアやビッグボアまで、もう訳が分からない。
それらの魔獣をマリーはすべて氷の矢で狩っていった。父親が「マリー、魔力はもつのか」と聞いてきたが、「まだ大丈夫」と答えた。それでも夕方までにはやってくる魔獣はいなくなった。これでこの村は安泰だろう。そう思った。




