30.家族との再会
昼に両親と兄夫婦の住むジゲンハルト町に着いた。ここは小さい町、これまで通って来たニーゲンブルグ市のように都市を囲う城壁はない。それでも魔獣に備えて町の周囲には堀と塀が設けられている。入り口には門番もいる。
門番に
「久しぶり」
と挨拶すると門番は私を見て
「マリーお嬢さん?」
と聞いてきた。
「そう、マリー、学院に行っているけど、長期休暇で帰って来た」
そう言うと、
「お帰りなさい」
やはりジゲンハルト町はいい。みんなが知り合い、そして家族。胸にグッとくるものがある。目じりが緩くなる。涙をこらえて、そのまま家族の住む男爵邸に向かって歩いた。すれ違う人が
「マリーお嬢さん、お帰りなさい」
と言ってくれる。
男爵邸はすぐについた。玄関をくぐって
「マリー帰ってきました」
そう言うと、奥から兄が飛び出してきた。続いて両親と幼い子供を抱えた兄嫁が出てきた。
みんなが揃ったので、
「学院が長期休暇になったので帰ってきました」
「お帰りなさい。マリー、元気そうで何よりだ」
「私、お昼まだなので、何か食べさせて」
そう言うと、食堂に案内された。家族は今食事中だったみたい。母がその場で適当に見繕って食事を用意してくれた。
その食事を食べながら、マリーの近況を話した。
「私はAクラス、入学時の成績は学年で20位だった。1年の学期末と年度末の試験ともに学年5位だった」
「学年5位、マリーはすごいな」
「座学はほぼ満点。剣術も満点。魔術実技は生活魔法なので点数が低いけど、無詠唱なのでかなり評価されている」
「無詠唱」
「そう無詠唱、学院では無詠唱が推奨されている。魔獣戦うには無詠唱のほうがいいから」
「それはそうと帰ってくるとき、魔獣が出なったかい。最近隣の領地で魔獣が出て旅人が死んだそうだから」
「あの魔獣。来るときにビッグベアが襲ってきたから返り討ちにした」
「ビッグベア」
と言って母が絶句した。
「後で見せましょうか。私マジックバッグ買ったからそれに入れてきた」
「マジックバッグ、そんな高い物よく買えたね」
「私、冒険者登録している。ランクはDランクだけど。それで稼いでいる。それにポーション工房でアルバイトをしているからそれでもお金もらっている。手紙でも知らせたと思うけど、学院の授業料は要らないから」
「ほんとに要らないのか」
「要らない」
「そうしてもらえると助かる。最近はこの男爵領でも魔獣が出て被害が出ているので領地も大変なのだ」
「そうなの、私も少しぐらいならお金出せるわよ」
「そこまではいい」
「じゃ明日から私、領内の魔獣狩りするね」
「魔獣と言っても強いぞ、どんな魔獣を倒せるのか」
「私、オーガ1体だと剣だけで瞬殺で倒せる。2体だと、剣と槍でなんとか倒せる。3体だと剣だけでは難しい。魔法も併用しないと無理」
「マリーは生活魔法だろう。オーガを倒せるのか」
「倒せる、けどこれは内緒。学院でも秘密にしている」
食後、マリーの実力を知りたいというので、兄と木剣で模擬戦をすることになった。審判は父親がすることになった。
兄と向かい合って剣を構える。父親の「始め」の声と同時にマリーは地面を蹴った。素早く兄の懐に潜り込もうとするが、兄も懐を抑えて、マリーに隙を見せない。
マリーの剣と兄の剣がぶつかったとき、素早くマリーは剣を滑らせた。そして、素早く兄の腹に剣を当てた。
「そこまで勝者、マリー」
父親の声がする。
その後も、兄とマリーは剣を構えたがすべてマリーの勝であった。その後は兄と父親が変わったが結果は同じであった。
「マリーどうして、そんなに強くなったのだ。学院で習ったからか」
「学院では実力は見せていない。冒険者になって魔獣と対峙した時に覚えた」
「そうなのか」
「そう」
今度は魔法の腕を見たいというので、的を氷の矢で貫いたら、家族がびっくりしていた。
「この魔法の威力は生活魔法じゃないな」
「これも冒険者になって取得した業か」
「そう」
その後ここへ来る途中に狩ったベックベアを見せると家族が驚いていた。




