22.学院生活
冒険者登録したら「すぐにクエストを受注したい」というので、仕方がないので薬草採取に連れて行った。王都近郊の森、ここは前回魔獣討伐実習が行われた森よりずっと浅い。魔獣の出てくる心配は少ない。
森に行くとすでに学院の生徒が何人も来ている。アンナが
「あんなに人がいるともう薬草は取りつくされているんじゃない」
「だったらやめる?」
「そんな冷たいこと言わないでよ。もう少し森の奥に行ったらどうなの」
「アンナ、剣術の腕は?魔術の腕は?」
「わかりました。ここで我慢します」
「よろしい」
今度はディアナが
「それでどんな薬草を探すの」
「あなた薬草ぐらいわかるでしょう。薬学で何学んでいるのよ」
「一応薬草は習ったけど、こんな広い場所で探すは初めてだからどこにあるか分からない」
「たとえば、この薬草は、根が薬になる。根を取るときは慎重に傷つけないようにしないと納品しても金にならない」
「そうなのマリーって剣術だけでなく頭もいいんだ」
「ああ、世話が焼ける」
思わず愚痴が出る。
すると、今度はエルザが
「用を足すときはどうするの」
「そんなの草陰でするしかないわよ」
「トイレはないの」
「ない」
「もういや、1人で来た方がよっぽどいい」
昼になったので、石を適当に積み上げて竈を作って、持ってきた鍋をかけた。そして魔法で水を出して同じく魔法で温めた。中に持ってきた干し肉を入れてスープを作った。
スープが出来上がるとアンナとディアナとエルザがやってきて
「本当にマリーの魔法は便利ね。雑魚魔法って言われているけど、こんな時は生活魔法って便利よね」
「その言い方、私をけなしているの、それとも褒めているの」
「もちろん褒めているのよ。大丈夫魔獣が出てきたら私が魔法で倒してあげるから」
「アンナあなた無詠唱で魔法が放てる?」
「無詠唱、無理」
「なら、魔獣が出てきたときは逃げた方がいいわよ。詠唱している間に襲われるから」
「そうなの」
「そうよ」
「詠唱している間は、マリーが私を守ってくれるのじゃないの」
「アンナを守るより魔獣に1撃を加える方が有効」
「そうなの」
「そう」
「それで、貴方達薬草どれくらいとれたの」
すると、アンナ、ディアナ、エルザの3人がこれまでにとった薬草をみせてくれたが、少ない。
「それだけ、いったい何をしていたのよ」
「私はこれだけとれたわよ」
マリーが取った薬草を見せると3人は驚いていた。
このようにして同室のメンバーとの最初の冒険者活動は終わった。その後ギルドに戻って換金したが3人は小銀貨3枚ずつ、対してマリーは1人で銀2枚だった。
次の日はまた学院の授業である。教師が変わらない教科はこれまで通りであるが、教師が変わった教科は正直言ってチグハグ、これまでと内容が重複していたり、教師によっては自分が得意とする分野とそうでない分野があるみたいで、適当に教科書を読むだけだったりする。
そのような中、劇的に変わったのが魔術実技と剣術実技である。これは実習での教訓を踏まえ、先ず魔獣の探知が授業の内容に加わった。
と言っても学院の敷地内に魔獣がいるわけはないので、魔獣の特徴を実際に魔獣を狩っている冒険者に講義してもらうものである。これで、魔獣の生息場所や魔獣がいそうな場所へ行った時は、より早く魔獣を発見できる。また、魔獣の特徴を知ることにより魔獣と対峙した時により有効な攻撃が加えられるようになる。
また剣術はより実践重視、これまでは授業では主に剣が用いられてきたが、リーチの長い魔獣と対峙した時は剣ではリスクがあり過ぎるということで長槍の講義が追加された。
また、魔術は原則無詠唱となった。流暢に詠唱していたのでは魔獣に対処できなかったという経験を踏まえてのことである。それまでは、詠唱することにより強力な魔法を放っていた生徒が軒並み中級以下の実力になった。
この生徒たちの実力を見てマリーは「やはり私の実力は隠さざるを得ない」と思った。
このように学院の授業は戦闘モード一色に切り替わった。とにかく実力のある者が優位に立つ、そんな風潮が生まれようとしていた。そしてこれにより今までの貴族優位の常識が崩れようとしていた。




