19.不思議な夢
寮の部屋に戻ったマリーは崩れ落ちるようにベッドに横たわった。そしてそのまま眠りに落ちた。
「おい、起きろ、敵襲だ」
「敵襲?どういうことだ。痛い、頭が痛い」
俺は急に頭を抱えてうずくまった。
すると俺の頭の上を何本もの矢が通り過ぎていく。
「どうした、早く剣を取れ。迎え撃つぞ」
俺は横を見ると、鞘に入った剣がある。その剣を取るやいなや、黒ずくめの男がいきなり剣を振り下ろしてきた。
その剣を手に持った剣で受け止めると、俺は刺客の腹を思い切りけった。刺客が俺から離れると、俺は鞘から剣を抜いて、刺客に切りかかった。
刺客は手に持った剣で俺の剣を受けた。とっさに俺は再度刺客の腹を足でけった。そして刺客が俺から離れる瞬間に刺客と合わせた刀を滑らすように動かして刺客の腹を切り裂いた。
「ふう、危なかった」
「どうした。勝人。いつものお前ならそんな相手にてこずったりしないだろう」
「わからぬ。急に頭が痛くなった。しかし、もう大丈夫だ。しかし、ここが襲われたというと閣下のところも襲われたのではないか」
「そうだな、すぐに参内しよう」
どうした。私は誰の夢を見ているのだろう。「勝人」とは誰なの。分からない。幸い「勝人」は私の存在に気付いていないみたいで私の存在を無視して話が進んで行く。
するとまた場面が切り替わった。どうも喫茶店の中のようだ。私の向かいには1人の男がいる。
すると私が急に叫んだ。
「いやー、捨てないで。私、健に捨てられたら生きていけない」
「そんなこと言われても、俺お前のこと好きじゃないし」
「いまさらそんなこと言うの。だったら、今ここで死んでやる」
「冗談はよせ」
「冗談じゃないわよ」
「ちょっと待て」
健がスマホを取り出して誰かに電話している。しばらくして、喫茶店の扉がチリンという音と供に開かれた。
「明美、どうしてあなたがここに来るのよ」
「どうしてって、私が健の彼女なの」
「そんなー、………」
「これで分かった。健は私のもの。博美は要らない女。そういうこと」
「明美は私をだましていたの」
どうも私(博美)は健のことが好きで、健と付き合っていたつもりだったけど、実際は明美と健が付き合っていたということみたい。こういうのはよくわかる。さっきの夢?は全く状況が分からなかった。
でも私いつまでこの博美の中にいるのだろう。
「マリー、朝よ」
私を呼ぶ声がする。ようやく私はこの不思議な夢から解放されるようだ。
目覚めると心配そうな顔で私を見つめるエルザの顔があった。
「どうしたのよ、だいぶんうなされていたようだけど」
「大丈夫、変な夢を見たの」
「そうよね、悪夢も見るわよね、昨日は大変だったものね。聞いたわよ、マリーが最初に剣を取って襲ってきた魔獣と戦ったて。怪我もしたらしいけど、けがは大丈夫なの」
「怪我はすぐにポーションをかけたからなんともない。私、ポーション工房で仕事しているから、いつもポーションは持っているの」
「そうね、マリーがポーション工房で仕事しているのは正解だったみたいね」
「アンナとディアナは?」
「まだ寝ている。昨日は中々寝付けなかったみたい」
「エルザは大丈夫なの」
「私は領地にいるとき魔獣狩りに同行することもあったし、その場合死者が出ることもあったから。でもアンナとディアナは違うみたい。いきなり近くで人が襲われる場面なんて遭遇したことないみたい。かなりショックを受けていたみたい」
「そうね、商人だと魔獣と戦うことはないかもしれないわね。まして彼女たちはお嬢さんだし」
「これからどうなるのかしら」
「さあー、上の人が決めることだけど、事前に森の安全確認をした騎士団は大変でしょうね」
「そうね」
「騎士団」と聞いて兄のことが頭に浮かんだが、心配してもどうにもならないので、なるようにしかならないと諦めた。




