51 因縁のある、とまでは言えない相手
あたりは騒然としていた。
無理もない。
いきなり魔王討伐とか言われても理解できるはずがないのだから。
(魔王、討伐。)
あれは無意味なことだった。
俺が、自分が『封印』を解放しない限り。
(勇気って、なんだよ。全力を尽くして、これかよ。)
何をやっても駄目だな。
懐かしい顔ぶれだ。
ついさっきまで魔王城で倒れていたんだけどな。
「とりあえず君たちにはクラスが割り振られているはずだ。確認してくれ。指で空をなぞれば見れる。」
(俺のスキルはどうなっているんだ。)
『クラス』
『ノーマル:使えるスキルが1つしかない。
固有の能力を有していない。 』
『使用可能のスキル』
『封印』
『繧シ繝ュ』
『髑大ョ�』
(魂も、時間を超えるのか。)
魂には人のスキルや記憶が刻まれている、って言っていたな。
ただ不完全だったみたいだな。
(使えるのか、このスキルは。)
わからない。
物は試し、イケメン野郎に『鑑定』を使ってみるか。
スキル発動:『鑑定』
名前:隘ソ蝨貞ッコ 優作
状態:正常
クラス:詐欺蟶ォ
スキル:『マニピュレイト』
「目!、目が。」
右目に激痛が走った。
幸いすぐに収まったが。
(なるほど、本来持っていないはずのスキルを使うと、不完全に発動するのか。)
Q なぜ痛みが伴うのか。
A 不完全だから。
理解するしかない。
『ゼロ』使ったらどうなるんだ?
中途半端に終わりそう。
それより、あいつのクラス、詐欺。
多分詐欺師。
(今まで騙していたのか。)
どおりでクラスの統率がうまく取れているはずだ。
あのバラバラのクラスメート達をどうやってまとめるか気になっていたがこれが答えだったか。
(言うべきか。)
いや、必要ないな。
俺が、この二度目で為すべきことは勇気を見つけることだろ。
「き、君大丈夫?」
「え、あ、なに?」
隣にやってきたのは、俺と同じクラス『ノーマル』の奴だった。
でもこいつも野郎に操られて俺に冷たくするんだよな。
「ああ、大丈夫。ありがとう。」
「そっか、よかった。それより君のクラス、どうだった?」
「俺は、『ノーマル』残念なことにスキルは一個しか使えないんだ。」
まぁ実質3個だけど。
そう言うと同士は顔を明るくしていった。
「僕も同じなんだ。仲間同士がんばろうね。」
「ああ、そうだな。」
(もう、言うことなどない。)
ここにいる意味はない。
さっさと行かないと。
「とりあえず7日ほど自由時間にする。好きにしてくれ。」
王が俺らに通達した。
7日wね。
「とりあえずみんなのクラスを教えてくれ。魔王討伐に役立てたい。」
イケメン野郎がみんなに声をかけた。
そして自身は聖騎士と名乗り他の者に自分はどんなスキル、クラスか聞いて回っていった。
(あったな、こんなイベント。)
忘れていた。
この後俺が迫害されるんだっけ?
ひどいったりゃありゃしない。
「君のクラスは何だい?」
「俺は、『ノーマル』」
「『ノーマル』そうか。じゃあスキル次第だな。」
(スキル次第ってことは、同士の子は強かったのかな。)
『鑑定』で見ておけばよかった。
「俺のスキルは『封印』この中のスキルで最も最弱。」
「そ、そうか。」
自虐をしてくることを予想していなかったのか、ちょっと引いていた。
ひどいね。
「つ、つまりゴミクラス&ゴミスキルってわけか。」
「ああ、そうだな。」
このセリフも二回目か。
慣れたもんだな。
「おまえは魔王討伐の足手まといになる。ここから出て行ってくれ。」
そういった束の間、一人の女性が前に出てきた。
「私はそうは思わない。そこまで言わなくてもいいのに。」
意外だったのか、周りは呆気にとられていた。
おどろっき~
「静かにしていろヒナ。魔王討伐は命懸けだ。足手まといは必要ない。」
「ちょっと!言い方に問題があるよ。それにいてもいいじゃない。私が、私が守れるから!」
イケメン野郎の瞳孔がかすかに大きくなった。
(おそらくスキルで操れなくて、動揺していたんだろうな。)
聖女にもスキルによる干渉が効かないのか。
強いね~。
「チッ、ヒナ分かってくれ。」
(キレているな。それもそうか。)
「ヒナ、俺はどうでもいい。」
「えっと、■■。どうしたの、いきなり。」
(あ、そういえば。まだ心が少年だったころだったな。)
他人に対して敬意を払いまくっていた時期か。
「俺は、俺は為すべきことがある。」
「為すべきことって?」
「おいおい、異世界に来て早々何言ってんだ?」
黙れ、魔王に一瞬で倒された野郎が。
俺は粘ったぞ。
舐めプされていたような気がしたが。
「まぁ、いいだろ。」
「そう。」
「そうか、都合がいいな。さっさとどっかへ行け!」
「ああ、そうする。」
クラス中もその決断に納得したのか誰も声を上げなかった。
(これは単に俺が陰キャすぎて誰も守る理由がないからでは?)
あれ?この時まだ操っていなかった説あるな。
俺の人望の無さが露呈したぞ。
「みんながみんなどうして、かわいそうだとは思わない?」
「ヒナ、優作の言う通りなんだよ。これは命懸け。」
別のクラスメイトが止めに入った。
(やめろよ。人望も無さがさらに露呈したって。)
「いや、待てよ。弾除けとしては使えるかもしれん。おい!魔王討伐の時には呼ぶから来いよ。」
「弾除けねw了解了解。」
(無意味な気がするが。)
「なんだとおまえ!」
いきなり豹変してこっちに距離を詰めてきた。
胸ぐらをつかまれ壁にたたきつけられた。
「い、ったいな。」
「おい!俺を馬鹿にしてんのか。」
想定外だ。
一週目には無かったぞ。
「めんどいな。どうしよう。」
「おい、舐めてんのかって言ってんだよ。」
そのまま床に投げつけられた。
体に衝撃が走るが、もう痛みに対してはあまり感情が動かなかった。
「だ、大丈夫?えっとこれを使えばいいのかな。」
ヒナが近くによってきて、スキルを発動した。
スキル発動:『ヒール』
体が癒されていくのを感じる。
『ヒール』便利だな。
「おいヒナ。そんな奴構うな。」
「ひどい、優作。」
「黙れ。クソ、どうして効かない。」
(うん、仕方がないね。)
言葉で頑張ればいいものを。
得た力ですぐにやるのはよくない。
「私、こんなところにいられない。」
「あ?」
「あの、俺、もう出て行っていいですかね?」
「クソが!どっか行けよ。おい、ヒナ待てよ。」
(寒暖差すごいな。)
よっぽどヒナに気にかけているんだろうな。
愛ってすばらしいね。
俺は気にせず王に金を媚びた。
微妙な顔でくれた。
あざっす。
「じゃ、俺行くんで。」
「待って!私もいく。」
(え?)
どうしよう。
「おい、ヒナ!待てよ!」
「無理、私は決めたから。」
そういってヒナがついてきた。
「さぁ、行こ!」
(?)
俺の手を引いてきた。
思考が停止!
は?
(ますます一週目とかけ離れている気がする。)
「まぁ、いいのか。」
「何がなの?」
「いや、なんでも。」
そういって二人で城を後にした。




