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39 何もない

太陽が真上に上るころ、俺たちは馬車で雪道を走っていた。


(昼になったから多少はマシになったが、それでも寒い。)


やはり雪とは無縁だったせいで、雪のつらさがわからない。

たまに帰省した時、雪が積もっていて雪合戦をしていたような。


最近はあんまり降っていないみたい。


(いとこ、強かったな。)


「ラプシカって、そのまま入れるんですか?」

「入れると思うわよ。賄賂を渡せば。」

「なるほど?」


(どこの国の守衛も腐っているんだな。)


「それも込みで3倍。」

「いろいろ考えていたんですね。」

「もっと褒めてもいいよ。」

「遠慮しときます。」


(さて、どうするか。)


反抗組織となんて早々に接触なんてできないだろうし、まずは情報収集かな。

あとはどうやってパラスを殺すか。


おそらく国中奴隷だらけだと思う。

そんな中、勝手な行動はできない。

だからこそ反抗組織と接触し計画を企てる必要がある。


(『ゼロ』とフレンをうまく使わないと。)


フレンが制御から外れるとめんどくさいことになりそうだ。


「見えてきたよ。」


懐かしむような反面、嫌悪感を抱いているようにも思えた。

しかし彼女の瞳は覚悟が決まっていた。


「私は、どんな結果でも受け入れる。どうなっていようと私は。」

「行きましょう。」


馬車はより一層スピードを上げ、ラプシカへ駆ける。

すべてを振り切る、いや受け入れるためなのかもしれない。


その横顔はすがすがしかった。


「ちょっと君たち。」

「わ、私たちですか?」

「そうだよ、君たち以外にだれがいる。」


あきれたような目で守衛がこちらを見る。


「それで?誰の招待?」

「あの、えっと。」

「俺がやる。」


(こういうのは時だからな。)


人に頭を下げるのは。


馬車から降り懐に手を入れる。


「お兄さん、ちょっとばかし通してくれません?」


そっと数枚渡す。


「うーん。」

「もう3枚。」

「おっし、君たちでしたか、ぜひどうぞ!」

「あざます!」


(やはり守衛なんていらないかもしれない。)


ついにラプシカへと足を踏み入れた。

娯楽街というのをまさに体現したような感じだった。


馬車を置き場に預け町に降り立った。


(なんだここ。)


ネオンサインっていうのかな。

魔石をつなげて、光らせている。


べんり~魔石。


「なに、ここ?私の知っている場所じゃない。」

「と、とりあえず情報収集でもしましょうか。」

「え、ええ。そうね。」


さすがの代わりぶりに驚きを隠せなかったのか、しばらく茫然としていた。


(まぁ故郷がこんな風になっていたらいやかも。)


「えっと、どこいく?」

「ちょっと~、そこのお兄さん、お姉さん。ちょっとこの店入らない?」

「は?」


は?はよくない。


いつの間にか女性が俺の腕を引っ張っていた。

腕を絡めとるように。


(え、ちょっとw)


しかし隣にいたフレンは顔をゆがませている。


「ちょ、ちょっとやめなさいよ!」

「え~どうして?」

「どうしてって、それは。」


声を上げその女性を非難した。

いや、そこまで?


「しょうがないな~。で、入ってくれます?」

「いや、どうしようか。」

「いいえ、ルーズ、ほかの場所に行こう。」

「え?」


何を焦っているのか、今度はフレンが俺の腕をとってくる。

どこか怒っているようにも思える。


(いてぇよ。)


力、強いんだよ。


「ど、どうして?」

「いいから!」

「は、はい。」


(怖い。)


「ばいばい~」

「二度々来るものか。」


(行儀わり、そこまで躍起にならなくても。)


人の心は無限大である。

ゆえに理解ができない。


「あの、情報収集。」

「別に、ほかの場所でもできるでしょ。だったらいいでしょ。」


(了解です。)


あなたに従います。


しかし、さっきから視線を感じる。

まさか、気づかれているのか?


いやそんなはずは?


「気を付けて、だれか私たちを見張っている。」

「やっぱりそうでしたか。」

「気づいていたのね。あまり派手には行動できない。」

「とりあえず適当な店に入りましょう。」

「ええ、そうね。」


監視の目を遠ざけるためとりあえず適当な店に入った。


どうやらギャンブルができそうな場所だ。

ポーカーに、ブラックジャック、ルーレット。

知っている限りではこれが配置されてあった。。


「う、気色が悪いね。」

「そう、ですね。」


おそらく奴隷、の女性が壁に括り付けられている。

奴らにとってはオブジェクト感覚なのだろうか。


ただもう彼女らは気力がないのか、ただ下を向いている。


「許せない。」


(制御を外れると、めんどい。)


「落ち着いてください。」

「そうね。」


(店員に目をつけられたらいよいよだぞ。)


幸いなことに店員なんていなかった。

みんなギャンブルに夢中だった。


「どうする?」

「おい、そこの二人組!何してんだこんなところで?」


(まずいな。)


ガタイの良い男に目をつけられた。


「僕たちは__」

「遊ばないのか?おいおい、こっちにこいよ!」

「あ、そうですね。」


手を取って引き込まれた先はルーレットだった。


「えっと、私ルールわからないんだけど。」

「任せてください。」

「あと、ため口でいいよ。」


(このタイミングか?)


もっとあっただろ。

一応年上だったからやっていたけど。

年齢は聞いていないけど。


周りにはいかにも金持ち、ていう人たちがずらりと並んでいた。

その中に俺たちが縮こまりながら座っている。


「兄ちゃん、ルール分かるか?」

「ええ、でもチップが。」

「ほら、やるよ。」


少しばかりだがチップをくれた。


(さて、稼ぐか。)


「さて、どうぞ。」


ディーラーが言うと周りはチップを置き始めた。


(赤か、黒か。)


枚数が少ないので確実に狙っていきたい。


「フレン、赤か黒か、選んでくれ。」

「え、じゃあ__黒。」

「わかった。」


俺は黒のマスに置いた。


「保身に走ったな、兄ちゃん。」


(うるせぇ、こういうのは安牌を選ぶんだよ。)


「行きますよ。」


ディーラーが珠を転がした。


「入れ!」「イケー!」「ちょ、ちょっとそこはだめ!」


みんながみんな叫んでいる。

これも娯楽の一環、なのか?


(マジで、黒に全ベットしたから。)


外したらヤバイ。


「結果は15。」


(よっし。)


まずは2倍。

勝負はここからだぜ___






(うーん。)


初期のチップの5倍ぐらいになっていたが、これでは大した金にはならなそうだ。


(微妙だな。)


「すみません、いったん休憩で。」


ディーラーがどこかへいってしまった。


「チッ、兄ちゃんはどうだ?よかったか?」

「ええ、まぁ。」


(ないよりはましかな。)


あまりつまらない結果だけど。


「あの、ルーズ、この人から聞けばいいんじゃない?」

「え、ああ。」


小声でフレンが言ってきた。

多分こいつから情報を聞けっていうことだろう。


(しょうがないな。)


「あの。」

「なんだ?」

「ここ楽しい場所ですね。」

「そうだろ!ここを作ったパラスには感謝しているぜ。」


(安心した。)


ここにいる人間はやはり腐っていると。

この体制を許していいのか。


俺に決める権利はないけど。


「小耳に挟んだんですが、どうやら反抗組織がいると。」

「ん?ああ、その話か。どうやら俺も耳に挟んだんだが今日だか明日だかには潰すらしいぞ。」

「え?」


(あ、もうそんなギリギリ?)


『放つもの』の言っていた通りか。

まずいな。

彼らに死なれられると、イグサの両親の生死がわからない。


「えっと、場所はわかっているですか?」

「大体の場所はわかっているぞ。もしあるんだったら俺もその掃討に参加しようと思っているぞ。」

「はは、そうですか。」


フレンが浮かない顔をしている。

無理もない。

自分の最後の希望が失われかけているようなものだから。


「ちなみに場所って?」

「ん?サラン通りのどこかに潜んでいるとか。」


サラン通りと聞くと突然フレンが顔を上げた。


「サラン、通り。」

「どうした姉ちゃん。心当たりでもあるのか。」

「いや、特に。」


(クソが、怪しまれるような仕草をしやがって。)


何かしらの思い出はあるのだろうか。

今は関係ないけど。


「おっと、悪い。俺はいかないといけないところがあるんだ。」

「そうですか。」

「じゃあな、兄ちゃん。気をつけろよ。」

「は、はい?」


(なにに?破産?)


まぁ借金はしたくないし。

よりによってここで借りたら暴利でやられそう。


あのガタイの良い男は店から去っていった。


「なぁ、サラン通りってわかるか?」

「うん、私の家があった場所。」

「__行こうか。」

「そうね。」


(こういう話題はあまり触れないほうがいい。)


俺たちは席を立ち店を後にした。

そして反抗組織がいると思われるサラン通りへ向かうことにした。



すみません、カジノとかよくわからなくて。

エアプでして。

文化祭でやった程度で。

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