28 未来はすでに決定している
人影の感じられない街道。
獣人のところへ向かおうとしたが、案内の看板が一本もない。
いや道すらない。
「どういうことだ。」
理解ができない。
つい何日前にはあったはずだ。
「もう、分からない。どうすればいいんだよ。」
イグサを置いてきた。
ヒナのことも、結局突き放した。
自分の落とし前は自分がつけるんじゃなかったのか。
助けを求めてきた奴らを、全部切り捨てた
あの時、助ける意味の結論を出すのは早かったのかもしれない。
「なんなんだよ。結局俺はどこに向かって歩けばいいんだよ。」
嘆いても出てくるのは後悔だけだ。
「誰でもいい。俺を、俺を助けてくれ。」
そんな闇から救ってくれる都合のいい人は、いない。
「はwはははw」
掠れた笑いが漏れる。
後悔後に立たず。
全部、全部俺がやったからなのか?
喉の奥から黒いものがこみ上げ、吐き気を催す。
「世界にとって、俺は何なんだ?」
そんなたいそうな存在じゃないことはわかっている。
爪が地面に食い込む。
俺は、この道を行く。
前が見なくても、それでも前を行にいくんだ。
一人で成し遂げて見せる。
何を?
(目的か。)
自分を見つける。
『封印』の謎にたどり着く。
サポートから何も説明を受けていない。
目的があってそうしたんだろう。
俺はまだ16のガキだ。
大人じゃない。
成長期だ。
背後には何もない、前にもない。
手探りで探し出す。
「やるしか、ないんだな。」
俺は未来を見つけるために歩き出した。
情報を集めるためにアリセインへ戻った。
もちろんあの守衛だ。
相変わらず暇そうに門を守っている。
「おい!」
「ん?ああ久しぶり。何の用?」
これで会うのも三回目だ。
「なぁ獣人って知っているか?」
「いや、なんだそれ?」
「獣に人って書くんだけど。」
「ははw人間以外の人型の生物なんかいないよ。あ、猿はいたわ。」
(やはり何かが起きている。世界が変化している?)
最初はこの世界に似合わない銃
そしてドワーフがいなくなり
最終的には人間以外の種族が。
世界が絶えず変化している?
(この異世界の仕組みがよくわからないな。)
三途の川でサポートが嘆いていた気がしたが気のせいだろう。
「おい、ほかの国について教えろ。」
「おいおい、いきなりなんだ?まぁしゃべり相手にいいけど。」
(あとで金を払おう。)
「ゾルバンは、」
「もう行った。次。」
「はいはい、えっと。」
ラプシカ:氷の国
アリセインより北に存在する。
氷系統のスキルを使える奴が多い。
一年中極寒
ヴェルドナ:悪魔の国
魔王がそこにいる(誰も討伐したことがない)
世界の中心
踏み入ってはいったら最後
転移者御一行の最終目的
サルゴニア:海の国
ここは島国だ
アリセインより東に存在する
水系統のスキルを使えるやつが多い。
ノルディカ:炎の国
アリセインの南に存在する
炎と謳っておきながらほとんどが砂漠だ。
炎系統のスキルを使えるやつが多い
オアシスも少しあるけど
「おい、アリセインって世界の中心なのか?」
「うーん、まぁヴェルドナの近くにあるかな。」
(つまり世界の中心か。)
「そもそも国ってなんだ?この世界に国とかあるのか?」
「国の概念は少し難しいが、そうだな。一応国境はあるし、その国の特産物だってある。でもナショナリズムがあるかと言えば、わからん。」
守衛は肩をすくめた。
「戦争は?」
「知らないのか?アリセインの国王が、いまゾルバンの国王と同盟を結ぼうとしているんだよ。その護衛で転移者も行ったようだけど。」
(ああ、だからいたのか。)
嘘ではなかったか。
「いまアリセインはサルゴニアと緊張状態にあるんだ。いつ戦争が起きてもおかしくない。」
「その時は誰が戦うんだ?」
(ナショナリズムがないから戦う国民は少なそうだけど。)
「一応徴兵制度があるから、国内の冒険者たちを集めて戦争をすると思う。」
「そうか。ありがとう。」
(戦争はどの世界でも絶えないんだな。)
「なぁスキルについて詳しく知るならどこがいいと思うか?」
「一番は、まぁヴェルドナだけど。二番目に行くとしたらサルゴニアかな。」
(わざわざ戦地に飛び込めっていうのか。)
「どうしてだ?」
「サルゴニアは島国だから誰かに攻め込まれたことがなく、独自に発展していて、技術開発に専念していると思うから、かな。」
(It is Japan!)
「なるほど。行ってみるよ。」
「ああ、死ぬなよ。」
「任せろ。」
(フラグを立てるな。)
俺は新たなスキルの情報を求めるためにサルゴニアへ向かうことにした。
「行くか。」
未来をつかみに。
でも、本当に掴めるものがあるのか。
俺の胸の奥で、そんな小さな声がずっと消えなかった。
金は渡したよ。
機嫌を取るためにね。
これでいいんかな?
一人になりたい時期は誰にでもあると思うけど。
スピンオフを読んでくれましたか?
個人的にはよくできた作品なんで、はい、マジで。




