27 終わりのその先へ
(うーん。ここは?)
眠い目をこすりながら周りを見渡した。
テントか?
負傷者がたくさんいるから仮設テントってとこか。
知らない天井だ!(n回目)「起きたの?起きた!」
隣にはヒナがいた。
「よかった、生きてて。」
顔がクシャっとなっているが、笑っていることは伝わる。
「イグサはどこにいる?」
「え、誰それ?」
(なんで説明の必要があるんだ?)
「年齢が俺ぐらいで、薄い金髪の女の子なんですけど。」
「分からない。ごめん。」
「そうですか、じゃあ自分で探しに行きます。」
「いや、怪我しているし、やめた方がいいよ。」
(体に異常はないと思うが。)
外の状況も知りたい。
それに『吸収するもの』がどうなったのかも。
「大丈夫です。」
「そう、気をつけてね。」
俺は気にせずテントから出た。
出たはいいものの状況は思ったよりもひどかった。
俺みたいにテントの中で休んでいるものは少なく基本は布のようなものを敷いて寝かされている状態だった。
(痛そうだな。)
みんなボロボロだ。
「おい、あいつ!リングで戦っていたやつじゃないか。」
(ん?)
すでに意識を取り戻したケガ人たちが俺に視線を集中させた。
(おいおい、人気者はつらいな。)
いや睨んでいた。すると一人の???が近づいて俺の胸倉をつかんだ。
「やめてください。」
「あなたのせいよ!あなたのせいで私の息子が。」
「は?」
意味が分からなかった。
「あなたが、あなたがあのよくわからない化け物を召還したんでしょ!」
「ああ。」
「ああってなによ!あなたが全部悪いのよ!」
(なんで、俺が命を懸けて助けた相手にこんなことを言われなくちゃならないんだ。)
間接的要因は俺にあるかもしれない。
でも俺だって頑張った。
考えた。
その結果、俺が悪いのか。
「俺の努力は何だったんだよ。」
「あなたに被害者ぶる権利はない!」
「離せ。」
「何よ!逃げるっていうの!」
いつだってそうだ。
他責しかできない。
俺だってそうだった。
俺が死んだとき、周りのせいにした。
俺の気持ちが晴れると思った。
でも現実は違った。
だから前を向こうと思ったんだ。
「それなのに!誰が助けてやったと思っているんだ?」
「っ!」
「誰が、だれのおかげで今ここにいられると思っているんだ!」
「そ、なんで、っ!」
(そうだよ、おこがましい。俺のおかげだ。俺が、俺単体のおかげだ。口出しする権利はない。)
「邪魔だ、離せ。」
俺の低い声に、胸倉を掴んでいたクズはビクリと震えて手を離した
「お前らは、俺がキリにやられそうになった時、助けたか?」
「それは。」
「お前たちが被害者ぶる権利はない。」
「でも、その。」
「人を助ける価値がないと。助けた後に残っているのは他責だと。そうお前たちが思わせたんだ。」
一人のクズが俺に向かって拳を振り上げた。
「痛いな。」
「それでも!お前のせいであの化け物が現れたんだろ!」
スキル発動『龍・衝撃波』
「ぐあ゛」
「少なくとも、お前たちが俺に責任を問う権利はない。」
(やってしまった。戦うためにこれを使ってしまった。)
でももう遅い。
罪?
贖罪?
笑わせるな。
そんなものはない。
そう、そんなものは。
俺は『吸収するもの』の様子を見るために闘技場に入った。
しかしそのには争った痕跡しかなかった。
虫食いのような穴の開いた石の床。
原型をとどめていない観客席。
ほかには何もない。
(サポートがうまくやったか。)
用もなくなったので、そこを去った。
戻るとイグサが変なおばさんに声を掛けられていた。
とても困った表情をしながら。
「おい、何をしている。」
「あ、こんにちは。私、この学園の学園長を務めておりまして。」
「それで?」
「先ほどの闘技場の戦闘を拝見して、ぜひこの学園でその業を磨いでほしいと思った所存です。」
「......ユー。」
(いい社会経験だ。)
それにいい機会だ。
「自立すると思って、入学すればいいんじゃないか。」
「ほんとですか!ではさっそく入学手続きへ。イグサさん。」
でもイグサの表情は明るくない。
「私、分からない。」
「自分をそこで見つければいいんじゃないか。」
笑顔で吐き捨てた。
俺はそれだけ残して、そこを去った。
「ユー!やだ、置いていかないで。」
わめく声が耳に入った。
イグサにしては珍しい。
もうこの国に用はない。
当初の目的である、獣人のところへ向かうか。
「ねぇ待って。」
女が俺の腕をつかんだ。
「■■、あれでいいの?」
「邪魔だ。」
「え?」
鳩に豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「俺はさ、中二病なんだ。」
「ちょっと、意味わかんないよ。」
意味が分からないって。
理解しなくていい。
「■■は今度はどこに行っちゃったの?精神崩壊の次は自暴自棄にでもなったの?」
「お前には関係ない。」
「ははwダメみたい。私にはこの方法しか。」
スキル発動『ホーリー・シャイン・レーザー』
殺人光線が俺の頬を掠める。
「分かってくれた?」
スキル発動『龍・弾』
「きゃっ!」
「需要無いんだよ。」
倒れた女を見もせずにそこを去った。
何も考ず、ただぶらぶらと街道を歩く。
目的は、ああ、獣人か。
ずいぶん遠回りをしたものだ。
そこに行くまでにどれだけ費やしたのだろうか。
もう覚えていない。
突然森の奥から咆哮が聞こえた。
「害獣が。」
それは最初に森であった害獣だった。
赤い眼光が俺をとらえる。
「ははw来いよ。」
合図と共に害獣がかぎづめを振り上げながら突進してきた。
突風が髪をなびく。
「引き裂け。」
スキル発動『龍・斬』
目先が真っ赤になる。
体全身が赤い血で染まる。
害獣は五等分に切り分けられていた。
「これが苦戦した相手か。」
懐かしい記憶だ。
魔石もきれいに割れていた。
もう使うことのないものだが。
(ついに無双できるようになったか。)
俺TUEEEEができるようなったと考えればいいことだ。
本来捨てるべきでないものまで捨てたのを考慮したら。
(勇気を持てか、その結果があれだったんだ。)
血塗られた右手を見ながら、道を歩く。
それは果たして未来へ向かっているのだろうか。
あれ、闇落ちしてない?
大丈夫主人公?
修正できるかな。




