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23 前兆

登録する場所は生徒たちで溢れかえっていた。


「おい、そんなにすごいものなのか?」

「俺もここまでとは。」


さすがの野郎もここまでの規模だとは想定しておらず驚いていた。


「出場する方はこちらに、観戦の方はこちらに。」


誘導をする先生方も大変そうだ。


「おい、こっちだぞ。

「ああ、おいイグサ、いくよ。」

「うん。」


男物の服を着ていて、なんか、かっこいいね。


登録をするカウンター的なのころに連れてこられた。


「こんにちは。」

「こんにちは、出場する方々ですか。」

「はい、あ、昨日話した人数合わせの。」

「あ~、わかりました。こんにちは、えっと二名?」


(人数合わせって、もっと言い方があるだろ。)


「彼、実は右腕は負傷していて。その補填として彼女を。」

「負傷?すぐに治療班を向かわせますが。」

「あ、いやそういうわけでなくて。」


野郎がずっと渋っている。


(なんでこう、きっぱりと言わないんだ?)


「いいよ、俺が話す。俺実は右腕がなくて。」

「あ、そうなんですか。りょ、う、かい、です。」


(まぁセンシティブな話題だよな。)


あんま言わない方がいいのかな。


「では、まず男性の方から。お名前を。」

「えっと、名前、■■です。」

「どのような身分ですか?大雑把でかまいません。」

「彼と同じ転移者です。」

「次にクラスを、あ、スキルは結構です。」

「クラスはノーマルです。」

「あ、了解です。では女性の方。」


(俺、絶対馬鹿にされたよな。)


他国でも変わらないのか。やっぱスキル至上主義だな。


(しかも封印ってなんだよ。何もできないじゃねぇか。もうちょっと異世界を味わいたかったな。)


一応スキルを使ったけどよくわからなかった。


「ありがとうございます。では10時に待機場所に来てください。」

「はい。」


登録を済ませた俺たちは訓練場に向かう。


「俺が訓練をしてやる。」

「いや、俺に一度も勝っていないよね。」

「それは、ちょっとレアケースなだけだ。」


なんか、すごい微妙な顔をしている。


(何が引っかかっているんだ?)


「短剣とかある?」

「一個二個パクッてもバレんだろう。」


最悪な思考だった。


訓練場内にはすでに何人か練習をしていた。

こちらに一瞬気づいたがすぐに再開した。


「こんなところに剣を放置していて大丈夫なのか?」


無造作に剣が散らばっていた。


(今は銃の時代か?)


射撃音もたびたび聞こえる。


「ほら、来いよ。」


疑問の解消に臨んでいたところ、すでに野郎がセットをしていた。


「遊んでやる。」


俺が手で野郎を誘う。

イグサはボケっと座っていた。


俺は野郎に向かって走りだした。

走り出したはいいものの、地面を蹴るほど姿勢が左にずれていく。


(さっきは、興奮していたからか?)


俺は野郎の目の前で左手を振りかざす。

しか~し、野郎が右手を上げてガードした瞬間、俺は体を右に捻り。


「あ゛っ、ぐふ。」


しかし俺の視界はどんどん下降していく。

そして体勢を崩して俺も倒れてしまった。

頭を打ったせいで視界が白くなり、一瞬思考が停止する。


(ま、ずい。)


俺が起き上がる間もなく野郎が体を蹴り飛ばした。


(あ゛っつ、くそが。)


横腹が痛む。

体が思うように動かない。


「隙ありだな。」


止めを刺す如くこぶしを俺の頭に、寸止めした。


「あっけなかったな。」

「たまたまだ。」

「今思えばずっとお前は道具に頼っていたな。もう少し自分の力を磨けよ。そっか~お前はゴミ&ゴミだったわー。忘れていたー」

「覚えてろ。」


(そうか、俺はずっと周りを利用して戦っていたのか。)


意外と頭脳タイプだったことに気づく。

俺ってあったまイイ~


「どうする?もう一度やるか?」

「いや、怪我をしたら試合に支障が出る。」

「そうか、わかった。」


(いや、本気を出せば一発だけどね。)


むなしい言い訳が心の中で響く。


「休憩室で寝ているよ。」


俺は訓練場を後にした。

しかし、休憩室がどこにあるのか、ましては存在しているのか、わからない。


(聞けばよかった。)


だが、都合がいいことに案内板があった。

案内によると訓練場の隣にあるらしい。


疲れたらすぐに休憩したいよな。


休憩室に入ると先客がいた。

優雅に紅茶を飲んでいる。


(場所間違っていないか?)


「あ、どうも。」

「あら、あなたは出場する方ですか?」


そこにはいかにも生徒会長!、みたいな黒髪の女性が座っていた。


(ソファーあるな。)


寝れる。


「えっと、一応。」

「そんな貧弱そうな体で戦えるの?」

「まぁ、ハンデで一人追加でやることに。」

「そう。」


そっけない回答で終わる。


(興味ないなら聞くなよ。)


実力を測り終わったのか紅茶タイムに戻っている。

なんか受けの姿勢にも見える。


(一応、話聞こうかな。)


「あの、.......あなたも?」

「ええ、そうよ。」

「あ、そうですか。」


俺もそっけない回答で終わる。

そしてソファーに向かい始める。


「ちょっと、せっかく質問したんだからもっとないの?」


意外と寂しがり屋だった。


「いや、興味ないんで。」

「対戦相手とか知りたくないの?」

「どうせ、負けるし。」


(イグサの戦闘能力がどれだけ長けているかにもよるが。)


なんか頬を膨らませてこちらを見ている。


(キャラ崩壊か?)


「わかりました。ほかにはどんな人がいるんですか?俺、今日何戦するかも知らないですし。」

「ふふん♪ えっとね計5戦するよ。」


すごくうれしそうに話し始めた。


(5?多くね。自分の出番が終わったら帰ろう。)


「私のほかに、4年生が3人とあと1年生が。」

「1年。」

「そう、今年入学した子にすごい強い子がいて!」


(楽しそうだな。)


「スキルとスキルを混ぜる面白い子で。」

「言っていいんですか?」

「あ、うーん。」


(よっぽど人と話したいんだろう。)


まだ少ししか会話をしていないが。


「公平のためにもこれぐらいにしとくね。そういえば最近この国全体で地震が多いんだ。気を付けてね。」


ルンルンな足取りで休憩室を去っていった。


(地震か。一応日本人だから慣れているが。)


面白い人だった。


(それにしても1年か。)


そういえばこの国に転移者または転生者はいるのだろうか?

まだクラスメイト以外の転移者的存在と接触していないから不確定である。


(寝よ。)


俺は深い眠りについた。









突如暗闇から解放されて、視界はまさかの逆転していた。。


(は?地震か、それとも天変地異?)


残念ながら体が転げ落ちただけだった。

個人的には寝相が悪いタイプではないはずだが。


(ん?招集時間っていつだっけ?)


時計を見ると9時半を回っていた。

野郎に聞こうと思い訓練場に向かった。


案の定まだ何人か練習をしていた。

いいことに野郎もいた。


「なぁ招集っていつだ?」

「もういい時間だ、行こう。」


(気づかなかったのか?)


夢中になれるってすごいね。


「それよりいいのか?イグサちゃん寝ちゃっているぞ。」


そういえばほったらかしにしていた。


「そういえばさっき地震がなかったか?」

「ちょっと揺れたな。まぁそんな気にすることじゃない。」


(いいのかな。)


そんな不安を抱えつつ、イグサを起こし招集場所に向かう。


「対戦相手に1年坊主がいるってさ。」

「珍しいな。」

「ちなみに戦う順番って?」

「お前が最初だ。」

「え?」


(シンガリってことですか?)


「最初にお前がやられて油断を誘う作戦だ。下手に抵抗するなよ。」


(やっぱ思想は終わっている。)


内心愚痴を吐いていると招集場所についた。


「これでアリセイン国の6人がそろいましたね。」


(全然知らないか顔ばっかだ。)


全員チート級のスキルだかクラスを持っているんだろうけど。


「ゾルバン国側の確認が取れ次第始めます。準備をしといてください。」


(短剣拾った、デザートイーグルを持っている。よし。)


野郎が俺の肩に手を置いた。

応援してくれるのか?


「緊張するなよ。始まったらすぐに"降参!"って叫べばいいからな。」

「馬鹿にするなよくそ野郎。」


表情がむかつく。


はぁ~


「それでは第1戦を始めます!初戦を飾るのは、ゾルバン、キリ・ツウォーダー! 対してアリセイン、■■&イグサ!」


会場にどよめきが走る。

だって1対2だよ。


「ええ、アリセインの一人の選手が重症を負っているためこのような形をとらせていただきます。」


(言い方に問題があるな。それだとケガした状態で出るみたいじゃないか。)


まぁケガよりひどいけど。


「行くよイグサ。」

「うん。」


目が覚めていて気分は好調のようだ。


リングっていうのかな、戦闘場に出ると怒号が聞こえた。


「どこがケガしているって言うんだ!」「ズルよ!ズル!」


(うるせーよ。)


黙らせるために、()()()()()ローブを脱いだ。


会場はさっきとは違うどよめきに包まれた。

そんなのはどうでもよくて、イグサに戦闘に関しての質問を。


「イグサはさ、どれぐらい戦える?」

「私、けっこう、いける。」

「そうか、じゃあ俺が合図をしたら攻撃をしてくれ。」

「うん。」


(さて、力試しと逝こうか。)


マジで逝くかもしれないが。


「せっかくのハンデなのにいいんですか?」


彼は、キリは何とも言えない絶妙な顔面で、歳は同じくらいかな。

何とも馬鹿にした感じでニヤニヤと話しかけてくる。

 

「まぁハンデのハンデってやつかな。君が噂の1年だろ。」


(今の自分の実力を知りたいしな。)


「バカにしないでください。その言葉覚えといてくださいよ。」


勝ちを誇ったかのように話している。


(さて、負けにいくか。)


俺の中でも負けは確定している。


「では両者位置について、始めぇぇぇぇ!」


試合のホイッスルが鳴らされた。



小学生時代サッカーをしていたのですが、よく前線にいましたね。

レギュラーではなかったんですが。

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