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18 未来へ

殺人


他者の死を経験はしたが、自ら他者を殺すという経験は当然なかった。


「人を、殺した?」


警報が俺を責めるかの如く喚いている。

手には見えないはずの赤い血が目に映る。


「とりあえず今のことだけを考えろ。とにかく脱出をするんだ。」


時には元気づけることがマイナスになる時だってある。


「今、未来、過去。」

「なんだ?」

「俺は、彼らに対してどう謝罪すればいいかわからない。」

「謝罪する必要はない。過去を振り返るな。」


(そんなことを言われても。)


俺は一度過去を捨てた。

他人との友好関係を捨てた。

それでよかったのか?


「止まれ!」


???達、おそらく守衛たちだろう。

銃を所持していて、こちらに構えている。。


「手を上げ座れ。」


俺はおとなしく地面に座ろうとするが、リンドウに腕を引っ張られる。


「何するんですか。」

「まだ、答えは見つかっていないだろう。」

「答えのない問いにどうすればいいですか。」

「それでも見つけるんだよ。」


(無理だよ。)


不可能は不可能だ。


「立て、行くぞ。」


スキル発動『エナジー・バレット』


「撃て!」


リンドウと守衛たちによる壮大な銃撃戦が始まった。

警報をかき消すほどの銃声が俺の耳を貫く。


「俺は、どうすればいいんだ。」


答えを求めるもリンドウは守衛と戦闘をしていてヒントをくれそうにない。


(命の価値は計測できない。)


ただ、同等の価値のものを俺は持っている。

自分の命。


「...自殺。」

「やめろ!それは贖罪じゃない。誰のためにもならない。」

「はは、そうですよね。」


(結局答えを見つけられそうにないな。)


悩んでいるとすでに銃撃戦が終わっていた。


「殺したんですか?」

「ああ、だが早くここを離れるぞ。」

「え?」


(人を軽々と殺しておいて何を言っているんだ。)


「罪悪感がないんですか?」

「今説明している時間はない。行くぞ。」


流れるままに付いていくしかなかった。

警報が鳴り響くか中、俺はひたすらに突っ走っいく。


(命、罪。)


一番の難問だと思う。

人間は言葉という素晴らしいものを持っているのにもかかわらず武力行使をしている。

それが戦争だ。

戦争になれば人殺しをしてもいいことになる。

答えは出ない。解決もできない。

ならどうする。


立ち向かうんだ。


争いは何があっても無くならない。

悲しみは乗り越えてはだめだ。

人の死を忘れてはいけない。

だからこそ常に立ち向かいながら生きていくしかない。


「答えは出たか?」

「いえ、まだです。」

「顔色はよくなったな。」


鏡がないからよくわからない。


自分が今どこを走っているのかよくわからなかったが、何とか城から脱出はできた。

しかし町中に警報が鳴り響いている。


「これからどうするんですか?」

「逃げるぞ。」


(そんな、無謀なことを。)


スピーカーからは、俺たちを捕まえろと、指令が出ている。

守衛に見つかるのも時間の問題だろう。


「門を突破できるかどうかだな。」

「守備は固そうですが。」

「そういえばお前、変なスキルを使えたよな。それでいけ。」

「力加減がよくわかっていなくて。」

「そんなこと気にしている場合か。」


(いろいろあるんだよ、こっちには。)


ただこの力を行使しなければ突破できない。

やるしかない。


「行きますよ。捕まっててください。」

「今度はお前がエスコートをしてくれるのか?」

「フッ、任せてください。」


スキル発動『龍・加速』


右腕が燃えるように熱くなる。

ひたすらに前へ進む。

今できることをやろう。


ずっと住民が不思議と苛立ちの混じった顔で見てきている。

そういえばいま深夜だった。

建物の中にいたから気付かなかった。


(ごめん。)


そのまま前に進んでいると人にぶつかった。


「痛っ。」


(どこみて歩いてんだ!)


危険運転をしたのは俺である。


「お、おい、こいつじゃないか。救世主ってやつ。」


???のせいで周りからどんどん人が集まってくる。


(くそが、大声で言うんじゃない。)


「捕まえる?」「捕まえたほうがいいんじゃない?」「どうなんだ?」


(なぜこいつらが疑問に思っているんだ?)


さっさと捕まえたほうがお得である。


「おい、どけ!」


お得意様の守衛がわらわら寄ってきた。


「冗談じゃない。」

「確保しろ!」


(どうすればいいんだ。)


「確保ぉぉぉ!」

「考える時間を寄こせよ!」


スキル発動『龍・衝撃波』


守衛、一般人関係なく吹っ飛ばす。


「あ。」


運がいいことに全員軽傷で済んだようだ。


しかしこのままいても増援が来るだけ。


「おい、私を置いて逃げろ。」

「え?」

「いいから、早く。」


(俺は誓ったんだ。)


「いいえ、俺が残ります。あなたが逃げてください。」

「は?」

「もう二度と、大切な命を失わせたりしない。」

「なら私も。」

「けが人を守りながら戦えない。さぁ、早く。」

「...すまない。」


リンドウが集団をかき分けて走っていった。


「一人逃げたぞ!追え!」

「そうはさせるかよ。」


スキル発動『龍・斬』


刃が空を切る。

いや、人を切断した。


(こういう時、俺が残るんだ。)


自分の選択肢を少し後悔していた。


(かかって来いよ!)


口には出せない小心者。


(ごめん、殺してしまって。でも謝ってすむ話じゃない。)


「民衆を気にするな。撃て!」

「チッ。」


俺守衛たちに突っ込んでいった。

右腕を軸にしながら戦う。

奴らはどんどん俺に向かって発砲してくるがそれを爪で薙ぎ払う。


「化け物か、あいつは。」

「いえ、ただの一般高校生です。」


今度は体術にシフトしてきたが、かまわず薙ぎ払う。


(右、左。)


左の銃を叩き落し、腹に蹴りを入れた。

右は右手で相手の銃を握りつぶしそのまま投げつけた。


(つっ!胸が、撃たれた。)


後ろから銃撃されたがスキルで応戦する。


スキル発動『龍・弾』


守衛のうめき声が聞こえるが今に始まったことじゃない。

永遠に守衛どもがわいてくる。


「邪魔なんだよ!どけ!」

「そうはさせるか!」


スキル発動『エナジー・バレット』


全方位から一斉に放たれた。


「来いよ。」


スキル発動『龍・衝撃波』


そのまま衝撃波ではじき返した。


「ざまぁみろ。」

「くそぉ。」


その兵士の体を踏みつけるが如く守衛がこっちに向かってくる。


「もっと労われよ。」

「軽口をたたいている場合か!」


スキル発動『エナジー・ブースト』


今度は戦略を変え一斉に突っ込んできた。


「ghふぁぁ!」


さすがに対処ができずもろに食らってしまった。

体中が痛い。


「邪魔、だ。」


スキル発動『龍・斬』


近くに来たすべての守衛の体を真っ二つにした。

俺の体に血が降り注ぐ。


(ごめん、ごめん。)


「この攻撃に弱いぞ!もう一度だ!」

「もう、いいだろう。」


そろそろリンドウが逃げ切った時間だ。


「ごめん、必ず、弔う。」


スキル発動『龍・加速』


守衛たちを押しのけそのままリンドウが逃げたほうへ走っていった。


「逃げたぞ!追え!」


走っている最中、追手をつぶすためにスキルを連発した。


スキル発動『龍・弾』


次々と倒れていく守衛。

脳裏に彼らの顔が焼き付く。


(ごめん、本当にごめん。)


追手が見えなくなったところ、出口の門についた。


「あぁ。」


あとは歩いて合流するだけ。

全身が痛みでおおわれているが知ったことではない。


門に人影が見える。


「リン、ドウ、さん。」


重い足を引きずって歩く。

夜で顔がよく見えないが。


「初めまして、いや二度目かな。我が救世主。」

「おっさん。」

「ひどいね、私はまだ三十代後半だよ。あの老骨たちと比べたらまだまだ若者。いやもう君が殺しちゃったんだったかな。」


目の前に立っていたのはあの病室で会ったおっさんだった。

やっと主人公がまともに戦ってくれた。

まだ人殺しの罪悪感が残っているけど。

これからどうするんですかね。

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