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15 自由という名の拘束

(1、2,3、4!)


声に出す勇気はなかった。


のんきに体操をしていると外から足音が聞こえた。

すぐさま俺は椅子に座り本を読み始めた。


「おい、出ろ。」

「失礼、今本を...出ていいんですか?」

「許可が出た。上からの慈悲だ。」


(慈悲って仮にも俺は救世主だぞ。)


俺は彼らになんの迷惑をかけたのだろう。

よく分からない。


「再度危険行為に及んだ場合、分かっているよな?」

「はは、面白い冗談ですね。」

「冗談で済むといいな。」


(もう結構です。)


いつも自分から戦いに突っ込んでいる。

やめられない、とまれない。


「ついてこい。」


(はい。)


委縮してしまい声が出なかった。


(もう殴られるのは勘弁だ。)


牢屋から出てリンドウについていった。

しばらく進むと光が差し込んできた。

楽しそうな声が聞こえてくる。


(久々の外の世界ワクワクしそうだ)


今彼女に同行している状況はワクワクしないけど。


(ワンチャン死ぬかも。)


そして階段を上りドアを開けると町が広がっていた。


(なんで外から見つからないんだ?)


「結界を張って外部から遮断しているからだ。」

「あ、すみません。心の声読まないでもらっていいですか。」

「顔に出ている。」

「そうですか。」


(そんな顔に出やすいタイプだったか?)


鏡がないのでわからない。


「あとは自由にしろ、でも真ん中にはいくなよ。面倒なことが起きる。」


(忠告ありがとう。さて町を歩くか。)


「では。」


早速思い浮かんだのはどうやって町を脱出するか。


(ん?)


後ろから妙な気配が。

振り返るとリンドウがいた。


「あの、大変恐縮ではございますがどうしてついてきていらっしゃるのですか。」

「監視に決まっているだろう。お前はいま重要監視対象だ。」

「は?」

「逃げようとでも思ったのか、残念ながらまだここに滞在してもらう。」


(俺の自由を奪うな。)


怒りで手が出そうになってしまった。

銃がないからね。


「自由とは?」

「真の自由は孤独だぞ。」


(やめてくれ、哲学めいたことは頭が痛くなる。)


そもそも哲学を知らないが。


残念なことにずっとついてくるようだ。鬱陶しい。


「せっかくの観光だ、ほら観光好きだろう。楽しめ。」

「はは、ありがとうございます。」


(よくわからない女性と観光って、観光ってなんだよ。)


美人の隣にいると心臓がはちきれそうになるのは内緒である。

今までもそうだったけどね。


(とりあえず、ご飯。何食っていないんだ?)


一日は食っていないな、二日ぐらい?


「とりあえず食事を...。」

「いいだろう、おすすめの場所を教えてやる。」

「あ、どうも。」


言われるがままについていくと、なんか定食屋っぽかった。


(はぁ、マジで何なんだここ。)


理解できるはずもない。

だってずっと牢屋にいたんだから。


「ここは定食屋だ。」


(なんとなく見ればわかる。)


「入るぞ。」

「ここはなんの定食屋でしょうか。」

「入ってみればわかる。」


中に入ると奥からいい匂いがこちらに漂ってきた。

まるで、まるで、何だろう。


(久々の食事すぎて腹が。)


空腹で頭が回らない。


「こっちだ。」


(あ、エスココートしてくれるんですね。)


席に座りメニュー表を見ているとよだれが出てしまいそうだった。


(トンカツ定食があるのか)


故郷を懐かしんでこれを選んだ。


「お前はトンカツか、私は何を選ぼう。」


(昼食をとるのはいいんですが一緒はやめてほしい。)


さっきから周りがじろじろこちらを見ている。

おそらく彼女は位が上でしかもよくわからん男と飯を食っているからだろうな。


「自分の立場をわきまえてほしいですね。」

「お前もだ、救世主という立場でありながら。」

「存じ上げないです。」


救世主何それ?

利用するときだけ利用する。


「注文が来るまで暇だから、会話をしないか。」

「尋問ですか?」

「これは個人的な話だ。」


(尋問だな。)


「なぁ、お前がいた世界はどんな場所だったんだ?」


(思ったよりも個人的であった。)


「僕がいた世界は、面白く退屈な世界でした。」

「は?」

「変化する日常、でも一日のスケジュールは変わらない。」

「何をしていたんだ?」

「毎日学校へ行って、毎日勉強をして、でも周りの話題は絶えず変化している。」

「...周り?」

「休み時間の休眠、自力で努力をする。とても素晴らしい毎日ですよ。」

「...。」

「誰も俺を引き留めるものは...いない。」


(さっきから自虐ばっかだな。)


「悪かった。私がこの質問をしたのが馬鹿だった。」

「ひどいですね。」

「ひどいのはお前の人生じゃないか。」


(仕方ないだろ、人生に華なんてない。そんな都合よく人生を過ごせてたまるか。)


人生山あり谷あり。


「その、面白かったのか?」

「もういいじゃないですか。」

「すまん。」


その気まずい空気のまま静かに食事を待った。

なかなか来ない。

リンドウも気まずそうにこちらを見ている。


(早くしろ、店員。)


人生都合よくいかない。


その沈黙を破るかのような質問が飛び込んできた。


「その、女性関係はあったのか?」


破るというか俺の心を粉々に砕いてきた。


「...まぁ、そういうこともあります。」

「私もそういう関係を持ったことはない。」

「そうなんですか、とてもきれいなのに信じられません。」


(どーせあなたはいくらでも男をひっかけられるんだよ。)


by悲しき男。


「そうか...、今まで自分の容姿を誇りに思ったことはないが。」


(え、自慢?)


今度は砕け散った心をさらにすりつぶしてきた。


「自信持ってください。いけますよ。」

「そうか、がんばってみよう。」

「こちら注文の~」


(やっとキタ。キタ~。)


さっきの会話が吹き飛んでしまった。


(ご飯だ、肉だ。やった~。)


顔から笑みがこぼれ落ちている。


「そ、そんなにうれしかったのか。ありがとう。」


相手の顔は見えない。

そんなことはどうでもいい。


「いただきます。」

「いただきます。」


どうやら「いただきます」の文化はあるようだ。


(ますますよくわからない、この町は。)


本当に攻撃するべきではなかった。

もっと早く情報収集を心掛けるべきだ。


「おいしい。」


ソースの味がよく作られている。

ご飯が進む。

キャベツも忘れずに一緒に食べる。


リンドウはというと、落ち着いてちゃんと噛んで食べている。


(俺にマナーなんてものはない。)


コミュ力も、なーい


無事きれいに食べ終わり店を、勘定だ。


「あの、お金って。」

「おや、払ってくれるんじゃないのか?」


(こっちは金を没収されたのを忘れたか?)


「そうだったな今のお前は一文無しだったな。」


(馬鹿にするなよ。)


馬鹿な行動をしたのは誰であろうか?


「これで。」


この町の物価はよくわからないが高いことは少しわかった。


「さ、次はどこに行くんだ?」


(そんなに一緒に観光したいんですか?照れるな~もう。)


もう二度と豚小屋には戻りたくない。


「そうですね、とりあえず宿にいって寝ます。」


だって今日よく寝れなかったからね。

ちなみに彼女はついてこなかった。


(添い寝できると思っていたのに。)


残念だ。


トンカツおいしいですよね。

最近の昼飯は牛丼だけど。

安いし、おいしい。


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