13 お話、聞かせてくれますか?
目の前に立っていたのは、比較的落ち着いた人物だった。
見た目は40代ぐらいのおっさん。
(誰?)
「失礼、このような結果になって済まない。」
「はぁ。」
「うちの老骨どもが見つけたと躍起になってつい。」
ふと体に違和感を覚えた。
(俺の腹部と右腕あたりが気持ち悪い。)
普段とは感覚が少し違って思えた。
「...手術をしたのは?」
「老骨たちだ。」
「なぜ?」
「あまりにも状態がひどくて、我々には手がつけられなかった。」
(ジジイに手術やらせんなよ。)
「心配なんですけど。」
「安心してくれ、なんせ我々よりもはるかに長く生きているから。」
(なおさら心配なんですけど。)
しかし残念ながら???は俺の表情を察してくれない。
(そろそろ出ていこうかな。)
「では失礼します。」
「ちょちょっと待ってくれ、悪かった。」
(悪いも何も早く獣人のところに向かいたいんですけど!)
「君は我々にとって救世主だ。」
「だから救世主って何なんですか?」
「我々は世界の滅亡を何度も見てきた。それを止める鍵となるのが君だ。」
(世界の滅亡?イかれすぎだろ。)
今まで世紀末らしいところはなく、個人的によく理解できなかった。
「しかしどういうわけか君は滅亡を止める元凶を倒せそうにない。」
「再度、失礼します。」
「だから待ってくれ。調べたいことがある。」
「任意ですよね?」
「残念ながら、強制だ。」
「逃げると言ったら?」
「君が十分理解しているはずだ。」
(了解です。ボス。 言ってみたかった。)
言えていないけど。
結局一人で病室らしきところに待たさせることになった。
外を見ると今まで見た景色とは一風変わっていた。
王都と違ってより近代的な建物の造りをしていた。
レンガ造りの家がメインで立っている。
いくつか古い建物があるが気にはならなかった。
(王都よりは発展しているな。銃火器とかどれくらいのものになっているんだろう?)
不思議に思っていると外から足音が聞こえてきた。
当然そのまま待っている気はなかった。
(馬鹿め、大人しく待機しているとでも思ったか。)
俺は病人ということを忘れていた。
銃をとり相手が入ってくるであろうドアから死角になる位置に待機した。
ドアをノックする音が聞こえる
「失礼する。」
「...」
声からして女性だった。
「おや、化粧室か?」
(今時化粧室なんて言わねーよ。)
ここは異世界である。
ん?いや異世界だったらなおさらおかしい。
「では失礼する。」
???が部屋を出ていくそのタイミングで襲い掛かった。
(先手必勝!)
それで何回負けただろう。
「手を挙げろ。武器を下ろせ。」
???は俺と同じく銃を携帯していた。
落下の鈍い音が聞こえた。
「何の真似だ。」
「もう、ここから出たいんでね。」
「そうか、ただ我々にも果たさなければいけないことがある。」
「俺を巻き込まないでください。」
「忠告する。銃を下ろせ。そもなくば痛い目にあわせるぞ。」
「かわいいことを言いますね。」
しかし相手の態度は堂々たるものだった。
「分からないのか、お前は今圧倒的に不利な状況だ。」
「遺言かな?」
「軽い口を閉ざしてやる。」
突如???は後ろに振り返り銃を叩き落とそうとした。
しかしそれを読んで姿勢を低くし腰に銃で叩き込んだ。
「うっ」
「馬鹿だな。」
相手は姿勢を崩したが、持ち直しそのまま左手で拳を振るってきた。
だが俺は再度それを読んでいてブロックした。
(お前の攻撃は読みやすい。)
したが。
ガードをした瞬間に右手が飛んできた。
「馬鹿なのはお前だ。」
鈍い音が頭を交差する。
(あ、やべ。)
頭を思いっきり殴られたせいでまともに立つこともできない。
「戦闘経験が浅いな。同じ手を何度も使うと思うなよ。」
(死ね。)
思考が回らず単調な言葉しか出てこなかった。
そのまま足を引っ張られながらどこかへ引きずられていた。
(ん?おっさん?)
視界の端におっさんが見えた。
「ちょっ、なにしてるの?病み上がりだよ。」
「リハビリに付き合ってやっただけだ。」
「は?」
「体にけがはない。安心してくれ。」
「いやいやいや。ちょっと待って。」
「これからこいつを尋問する。邪魔しないでくれ。」
「うぅ、分かった。」
(じ、尋問?)
この先どうなってしまうんだ~
(次回俺...マジで生きて帰れるかな。)
意識が途絶えた。
(ん?)
「起きたか。」
そこは鉄くさい牢屋みたいな場所だった。
あたりは石で囲われて逃げれそうにない。
(知らない天井だ)
残念ながら今回もさっきボコボコにされた女性が座っていた。
胸が、その、とても、おぉ!
「今から尋問を始める。」
「黙秘権は行使できますか?」
「ここは日本じゃない。」
(そうっすか、じゃあどこなんですかここ?)
異世界。
手足はロープで縛られ動けそうにない。
しかしそんな状況下でも容赦なく質問してくる。
「お前の名前は?」
「名前を聞きたいなら先に名乗るべきでは?」
「なめた口を、まぁいいだろう。私はマーシャル・リンドウ。」
「はぁマーシャルさん。こんにちは。」
「違う、リンドウが名前だ。」
「そうっすか。はい。了解です。」
(この国は日本っぽいんだな。でも和風建築なんて一個もなかったぞ。)
残念ながら疑問を解決してくれる人はいない。
「それでお前は?」
「名前とメアドと電話番号は人に教えちゃダメって親に教育されたんで。」
「メア...?ふざけたことを言って。早くしろ、名前ぐらい。」
「譲るつもりはない。」
「ふざけるなよ。こっちは武力行使だってできるんだぞ。」
(いきなり席を立つなよ。揺れているんだよ。)
とても目のやり場に困る。
「...次の質問をする。お前のクラス、そしてスキルは?」
「ノーマル、封印、以上。」
「...やはりか。」
「聞く必要あったのか?」
「リストに載っている。」
(誰かに命令されてんのか。ドンマイ。)
口に出して煽るとまたキれるので仕方なく心の中で罵る。
とても小心者である。
「次だ、お前はなぜ封印を解かなかった?」
「解き方を知らん。」
「しかし、文献には手にした時点で解くことが可能だと。」
「歴史ってのは改変の塊だよ。」
「違う、そんなはずは。」
「美化されやすいんだよ。知らんけど。」
「...」
(てか、過去にも俺と同じスキルを持った奴がいるとは。)
世の中広い。
でも俺の視野は狭い。残念だ。
「この質問は後回しだ。次、お前は今まで何をしていた。」
「ぶらぶらと、観光かな。」
「は?自分を鍛えるためではなく、観光?」
「はい。」
(正直自分を鍛えても意味ないだろ。だってさっきの戦闘も負けたし。)
「自分が救世主だと理解してもなおやる気は起きないか?」
「起きない。」
「そうか。期待した私が馬鹿だったかもしれん。」
「てか救世主って何ですか?」
(おっさんの説明だけじゃようわからなかった。)
「世界を破壊しようとする悪がいる。それを倒すのがお前だ。」
「そんな物語みたいな。おこちゃまですか?」
「嘘ではない。」
「証明しろよ、証明。」
「後で文献をいくつか見せてやる。」
(それは証明になるのか?)
この世界の文献を信じていないがために意味を成すのかはわからない。
「今日の質問は終わりだ。」
「はい、あの拘束解いてもらえませんか?」
「無理だ。また逃げ出す可能性があるだろう。」
「あの、どうやって寝れば。」
「私が運んでやる。」
すると俺の足をつかんで引きずり出した。
(痛い痛い、もうやめて。)
とても容赦ない。
攻撃なんてするもんじゃない。
「ここだ。」
「はい。」
簡素な部屋で四方が石で囲われていた。。
ベットに横たわらせられた
「それではまた明日。」
「はい。」
(どうせならお姫様抱っこがよかった。)
お姫様?誰が?
俺に決まってんだろ。俺にとってのヒロインいないし。
お姫様抱っこはとても怖かったです。
あと個人的に胸の大きさは気にしたことはないです。




