11 存在しない記憶
俺はどこに向かっているんだ?
夜便はもう出発してしまっただろう。
しかし、明日まで待っていたらまたばれるかもしれない。
(歩いていけるのか?)
特に目的もなかったので、近くのところに行ければどこでもよかった。
しかしお祭り騒ぎの中誰か話を聞いてくれるとは思えない。
ふと誰かを思い浮かんだ。
(王だ!)
そう、なんでもやってくれそうな王様が思いついた。
だんだん俺の中で扱いが悪くなっている気がするが、気のせいだろう。
そうと決めた俺はさっそく王城に向かった。
城の入り口には機嫌の悪そうな守衛がいた。
おそらくどんちゃん騒ぎをしたかったんだろう。
「チッ、何の用ですか?」
何とそいつは金を握らせた守衛だった。
「通してもらえませんか?」
「今は無理です。」
「ではこれをw」
当然賄賂を渡した。
しかし相手の反応は意外だった。
「はぁ、賄賂を渡せばいいってもんじゃない。もう王は寝てる。」
都合が悪いことに寝ていた。
(残念。)
落胆すると同時にあることを思いついた。
(こいつに聞けばよくね。)
質問相手みっけ。
だんだん人の扱いが雑になっている。
「あの、ここから歩いて行ける別の種族の場所はありますか?」
「あー、それだったら、獣人に会いに行けば?」
(獣人、そういえばまだ見ていなかったな。)
採算回収のためどんどん質問していくことにした。
「この数日の間に何があったんですか?町が新しくなっているし。」
「しらん。俺に聞くな。」
(つかえねぇ)
当然といえば当然である。
こいつはずっと城の入り口にいるのだから。
「ほかにどんな種族がいるんですか?」
「エルフ、小人族、巨人族、人魚に、いろいろ。」
「あれ、ドワーフはいないのか?」
「あ?どわーふ?何それ」
(常識だろ。なんでドワーフがいないんだよ。全滅でもしたのか?)
残念ながらこの世界にはドワーフはいないようだ。
そしたら一つ疑問が浮かんでくる。
「じゃあ武器は誰が作っているんだ?」
「あ~、武器はいろんなとこが作っているよ。一つ一つ話すとめんどい。」
「つまりそれぞれのところに武器工場があるってことか?」
「そうそう、はいはい。」
(珍しい世界だな、一つに依存することなくバラバラにするなんて。)
世界のシステムに感動していると、まだ話したいのか横やりを入れてきた。
「遠くなるが別の国ってのもあるぞ。」
そういえば当初の目的はどこか別のところに行くことである。
近くがいいって言ったんだけど。
(話聞いてなかったのか?まぁ一応聞いとくか。)
「はぁ、後学のために聞くよ。」
「おっ、いいねぇ。ゾルバン、ラプシカ、ヴェルドナ 、サルゴニアにノルディカ。」
「...ちなみにこの国は?」
「アリセイン。王の名前に入っているだろ。」
「そういえば。いろいろよく知っていたな。」
「そうだろ。勉強が得意なんだ。」
(さっさとやめちまえよ)
褒めているのか馬鹿にしているのか自分でもわからない。
「いろいろ、ありがとう。」
「ああ、こっちも話し相手ができてよかったよ。」
「ちなみに獣人のところにはどうやって行くんだ?」
「南門から歩いて行ける。街道沿いに行けばつくと思う。たぶん。」
(たぶん?)
前回は馬車だったので安心だが、今回は一人で歩く。
間違ったらどうすんだよ。
「半日ぐらいで行けると思うぞ」
「長いな。」
「食料買ってけよ。あと途中カルト教団に会うかもしれないけど気にするなよ。」
「カルト?」
「よくわからん宗教だ。気にするな。」
「わかった、ありがとう。」
「じゃあな。」
(王、あいつを首にしろ。)
金を握らせた張本人だが。
彼も賄賂を時点でダメな気もするが。
(助けにはなったし、報告は後回しにしてやろう。)
だんだんと砕けてため口になっていた気もするが、が、気のせいだろう。
(気のせいにすること多いな。)
俺はさっきのところで長期保存可能な食料を買って南門に向かった。
相変わらずうるさく、特に酒に酔った大人たちがひどかった。
(いつまでやるんだ?もうそろ日が回るだろ。)
俺は日が回るころに旅を始めようとしているのでどっちもどっちである。
棒になっている足を何とか引きずって南門に来た。
途中途中不審者のように見られたが気のせいだろう。
ちなみに今のファッションは全身黒でフーヅをかぶっており、顔が完全に見えない。
銃を携帯している。
(普通の歩行者だ。)
そんな異常者の二度目の旅が今始まっ...
「ごめん、あんなことしちゃって。」
「もう、心配されることはないです。」
「帰ってきたら、教えて。けがを診るよ。どうせ■■のことだからけがをして帰ってくるでしょ。」
「ありがたいですね。」
内心いい加減にしろと言いたいとこだが、言葉を飲み込む。
(死亡フラグ立てんなよ。)
多分帰ってこれると思う。多分ね
「ではおやすみなさい。」
「いってらっしゃい。」
今度はあまり、、、言葉を選んでいる。
(そんなに引き止められなくてよかった。彼女なりに反省したのだろう。)
あれで反省してなかったらおかしい。
みんな異世界にきて強い力を手に入れておかしくなったのだろう。
(俺は?)
自虐ネタをいっても笑ってくれる人はいなかった。
だって一人だから。
(笑えよ。)
ボッチはつらい。
とにかく距離を稼ぐため歩いているが、聖女との戦闘でかなりの体力が持っていかれたのであまり速度が出なかった。
(もう無理、やだ、歩きたくない。)
体力の限界が早かった。
日ごろから運動をしていない弊害が今出た。
幸い夜はそこまで寒くないので固い地面に寝転がって寝た。
(疲れ、とれるかな?)
そんなわかりきった質問を答えてくれる人はいない。
ぼっちだかr
焚火をつけないかって?火を扱えるスキルなんてねぇんだよ。
またしても自虐である。
まぁ聖女はがんばって理想の性格に戻します。
主人公にもっとサバイバル力があれば描写できたんだけどね。




