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10 わたしとあなた

人は色で表せると思う。


一人ひとり、個性的な色を持っている。十人十色っていうだろ。

それぞれがそれぞれの色を持っているからいいんだ。


でもある日、黒が混じったら?

赤、青、黄、緑、そんなものはなくなり黒一色で埋まる。

今まで個性的な色だったのが空っぽになる。


元に戻すにはどうすればいいか、一度色を落としもう一度色を作り治すことだ。

失敗をし何度か作り治すかもしれない。

しかし同じ色は二度とできない。

似たような色でも全く違う。


心情を一度無くしてしまえば、もう一度作るとき決して同じ性格になるとは限らない。


俺は他人の死というものが混じってしまった。

初めての経験だった。

それゆえに一色で染まってしまった。

だから元に戻すために一度洗い流し、自分色を取り戻した。

限りなく近く、限りなく遠い色。

でも一つだけ変わらないものはある

信念だ。

俺は旅を続ける。


彼女を救えなかった贖罪。


(美術が得意でよかったわ。我ながら言い例え。)


精神がイかれていた時、意識が曖昧だった。


(誰かに記憶を覗かれたような。)


気づいたら歩き出していたし、気づいたらヒナと一緒にいた。

記憶も曖昧で、アネモネが死んだあたりからよく覚えていない。


(他人の死ほど思い出したくないものはない。)


寮の扉開くとそこからは相変わらずの熱気がこっちにまで飛んできた。

先ほどまで意識が曖昧だったためか新鮮に感じている。


(うっかり鉢合わせしないといいが。)



もう何日も飯を食べていない気がしたので、適当な屋台で買った。


(肉が固い。)


肉汁なんてものは出てこなかった。


(野菜の次は肉!と思っていたがまだあっちの方がましだった。)


店主に唾を吐いてそこを去った。


(野菜を食べる理由が少しわかったかも。)


一刻も王都を去るために馬車に乗れる場所へ向かった。夜便があるかわからないが。

道中はまるで別の場所に来たみたいで、家も新築同然のようで驚いた。


(俺がいない間に何があったんだ?)


疑問を返答してくれる人物はもういない。


騒がしい中心を離れて静かなところに来た。

そのすきを見計らったのか胸糞悪い集団が来た。

俺は無視してそこを通り損ねた。


「おいおい、ついさっきまでボロボロだった奴が闊歩しているぜ。」

「本当だ、もしかして女の子に介抱されたくてあんな真似をw?」


(マジで何なんだよお前たち。さすがにチンピラすぎるって。個性がなくなったの?)


奴らの中心にはいつも、、、ん、うん、が、いた。誰だっけ?


「もう行っていいですか?」

「待てよ、俺のスキルを試すのにちょうどいい。」


(こういう時は普通、俺がやり返せるはずなんだけど。)


俺は迷わず銃を構えた。


「銃ごときでビビるとでも。」


そして迷わずに相手に銃を、投げつけた。

さすがの相手も投げてくるとは思わなかったのか、動きが止まった。

その隙を見逃さず距離を詰め近接戦に持ち込んだ。


「...うっ」


容赦のない腹パンをかまし、疼く待っているところに、足蹴りをかました。

鈍い音と共に相手が吹っ飛んでいった。いや、???が吹っ飛んでいった。


(近接戦では銃は不利とゲームで習ったからな。)


なんてかっこつけている俺だが、一か八かの手だった。

もし???がスキルを発動していたら負けていたと思う。


「くっそ、覚えていろ。」


胸糞悪い集団はどっかに行った。

人目がないおかげで目立たずに済んだが。


(チンピラだったな。でも二度と同じ手は通用しないと思う。)


残念だ。


そんなくだらないトラブルを乗り越えて門の近くにきた。

良かったことに夜便があり、安心した。

悪かったことにヒナがいた。


(マジかよ、ばれるの早くね。)


暗くて顔があまり見えなかったが、なんというか、その、申し訳ない気持ちになった。


「ど、ど、どうして?」


さすがに想定外すぎてめちゃくちゃ動揺してしまった。


「一言ぐらいさ、言ってくれてもいいんじゃない?」

「いや~、街をぶらぶら歩いていただけですよ。クラスメイトにも聞いてみてください。」


(ミッション、ヒナをはぐらかせ。)


「どうして部屋に置いてあった銃を持ち歩いているの。」

「護身用ですよ、護身用。」

「どうしてここに来たの。」

「たまたまですよ。」


(ミッションただいま難航中、どうすれば遂行できる?)


顔に尋常じゃないほどの汗が出てきている。

運動していないはずなんだけどな。

さっきクラスメイトを滅多打ちしたような。


「ねぇ、■■は何がしたいの?」

「しばらくは王都にいますって。」

「どうして危険に身を投じるの?」

「危険じゃないですよ。」

「そうやって自分を犠牲にして、他人の気持ちを考えたことあるの?」


(俺がどうなろうと関係ないだろ。誰も気にしやしない。)


しかしどんな言い訳をしようがヒナの顔は曇ったまま。


「ヒナさんは魔王討伐に意識を向けてください。」

「どうして、自分を客観視してよ。」


(?)


「■■は自分のことを理解していない!」

「俺が弱いって?」

「...っ、そうあなたは弱い。だから今度は私が守る番。」


(守った記憶はさらさらないんだが)


「あなたをこれ以上危険な目に合わせない。」


スキル発動:『ホーリー・シャイン・レーザー』


(ミッション失敗)


顔すれっすれに光り輝く光線が飛んできた。


(聖女が攻撃スキルを持っていいわけないだろ!)


当たっていたら死んでたと思う。


「あなたは私に勝てない。」

「どうかな。」


内心マジくそ焦っている俺。


(おい、マジで勝てないぞ。殺す勢いでかかってきてるんですけど。守りたいんじゃないの?)


俺の心を落ち着かせる暇もなく光線がどんどん飛んでくる。

命中精度が悪いのか当たっていないが、当たれば死ぬと思う。


「おい、殺す気か。」

「それぐらいしないと、■■はやめてくれないでしょ。」


(くそ、小学校の仲だろ。手加減しろよ。)


俺は建物を陰にしながら逃げていた。

建物なんて気にせずに貫通して飛んでくるが。


(このまま持久戦に持ち込まれるとまずい。病み上がりなんだから。)


なぜさっきクラスメイトをボコボコにできたか、それは怒りで乗り切った。

しかし今回はわけが違う。

そして俺が考え付いた作戦は、


(プランB、人を盾にして逃げよう。)


そう最低だった。

俺は全速力で人混みの多い街の中央までもどっている。


「逃げても無駄だよ。」


スキル発動:『ホーリー・チェイス・レーザー』


先ほどとはあり得ないほど正確に俺の方に突っ込んできた。


(なんでもホーリーってつければいいってもんじゃねぇぞ。)


まだ使い慣れてないせいか皮膚をかすめる程度で済んでいる。


(いってぇぇぇ!)


本人がどう思うかは別だが。


スキル発動:『マルチ・チェイス・レーザー』


ついには『ホーリー』が消え殺人光線が飛んできた。


(おいおい、本当に聖女か?)


軽口もたたく暇もなく吹く複数の光線が俺に向かってくる。

ただ数が増えたせいか、さらに精度が落ちていた。


(へへ、量より質だな。)


遠くから人々の声が聞こえてくる。


(頼む、あと少しなんだ。)


スキル発動:『エンドレス・チェイス・レーザー』


そう都合よく世の中はいかない。

ついに暴挙に出やがった。

数えきれないほどの光線が俺を目掛けて飛んでくる。


(おいおい、人混みに逃げられるからってそれはないんじゃないか。)


そして命を懸けたレースが今始まる。

おそらく相手の魔力がなくなるまで飛んでくる。


(いたい、いたい、いっっったい。)


いな、そんなはずもなかった。

空から、壁から、地中から飛び込んでくる光線はまさに絶望であった。

ただ精度が低かったのが不幸中の幸いだった。


見渡せば人ごみに戻ってきた。

バカ騒ぎしていたせいかこっちの音は聞こえなかったみたいだ。


(な、何とか逃げ切れるのに成功した。)


「ま、待って、お願い。」


別れの挨拶はいらない。

そもそも出会ってすらいない。


「あなたを、危険な目に、合わせたくないだけなのに。」


冗談かマジかよくわからないが、矛盾していることだけはわかる。


(過去の行動を振り返れ。)


そして俺は人だかりに姿を消した。

こんな予定にするはずでは。

もうちょっと可愛げのある感じにしたかった。

マジで過保護すぎんだろ!


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