21「負けるわけがない」
土埃と剣呑な空気が立ち込める戦場。
その中で、私は制帽を正しては前方で不吉な笑みを湛える少女――ミアを睨み付けた。
「ねぇ、どうしたの? もう戦わないの?」
戦いを厭わず、さも児戯とでも捉えているかのごとくそう零し、ミアは首を傾げた。
それに共感も拒絶もせず、私はただ不敵な笑みを返しただけであった。
「『雷戦霆獄』!!」
地面を這いずり回る電流の猛威がミアへと迫る。
「――っ、まずい!」
「ふっ、やはりか」
目を見開き、焦った様子のミアを目にし、私は不敵な笑みを嘲りの笑みへと変えた。
「ミア、貴様は目に見えるほどの大きさの物、特に単体か。それを睨み付けることで消却することができるようだったが、無数の電流ともなれば話は変わるだろう。実際にそうだろう?」
私の指摘に、ミアは歯を食いしばったまま苛ただしげにこちらを睨みつけてきた。
だが、私の体も電流は消えることはなく――、
「目に見えないほど、小さな物質は消し去ることができないということか。残念な能力だ。貴様の『消滅の神眼』というものは」
最初は厄介だと思ったが、やはり“調べの通り”そこまで大した能力ではなかったようだ。
「死に晒せ」
私はそれだけ告げると、目をすっと閉じた。
「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
ミアの悲鳴が鼓膜に殴りかかってきては、長くも続かず、すぐに途絶えてしまった。
電流に呑まれた挙句、その断末魔すら早急に途絶してしまったのか。
私は目を開き、変わり果てたミアを見てはニヤリと笑った。
$ $ $ $ $ $ $ $ $ $
「――っ、こいつ強い!!」
息を切らしたレイラは、目の前で佇むナツナを見つめていた。
毒蛇の鎧に覆われた彼女は、右手に携えた矛を用いてレイラの攻撃を全て打ち砕いた。
それのお蔭でレイラは徐々に魔力と体力が逓減していき、次第には息切れを招く事態へと陥ってしまった。
「妹に向かって、任せるとか言ったくせに」
レイラはそう言いながら、残る力を振り絞って魔法陣を展開する。
「それじゃ、姉として情けないよ」
すると次の瞬間、夥しい数の氷の武器達が姿を現した。
その内には槍や剣、矛や刀があった。
それらが全て、氷としての姿でナツナを襲った。
「――無駄なのに」
ナツナはそう零すと、地面を蹴り、凄まじい速度で飛翔する武器達を打ち砕いていく。
「無駄だったのはそっちの方だよ!!」
「なに!?」
レイラとナツナの距離が近くなった瞬間、突如として地面から氷の塊が現れた。
それはまさに氷山とも呼ぶべきほど巨大で、鋭利であった。
「ぐうわっ!!!」
ナツナは思いきり突き上げられ、天高く吹き飛ばされていった。
続けて、レイラは氷山の頂上へ手を翳すようにして、魔力を注ぎ込んだ。
すると、上空に投げ飛ばされたナツナを飲み込むように、氷の塊が彼女の体に纏わり着いた。
そしてそれは球体となり、レイラが手を握ると共に砕け散った。
氷の欠片が地上へと落ちてくる最中、レイラは目を見開いた。
「――やってくれるじゃない」
「まだ生きてるの……!?」
頭から血を流し、鎧を脱いだ元の姿のナツナが地上へと静かに着地した。
「あれだけやったのに、どうして……」
レイラにはもう、戦えるだけの魔力が十分に残存していない。
だからこそ、先ほどの攻撃で片を付けたつもりだった。
だが、ナツナは生きていた。
レイラは現状に嘆き、悔しげに歯を食いしばった。
「血が……」
ナツナは頭に触れ、手に付いた真っ赤な血に目を見開いた。
「これじゃトウマ君に顔見せできないじゃない……!!! アンタ、よくもやってくれたわね……!!!!」
彼女は憤激し、レイラを瞋視する。
「神装纏騎:終焉ノ女神」
次の瞬間、彼女は光に包まれた。
その眩しさにレイラは目を細めた。
軈て光が治まっていき、レイラは目を大きく見開いた。
なんと、目の前にはナツナが見たことのない姿で存在していた。
夜色のドレスが下半身を覆い、胸元には白銀の神の紋章が縫い付けられており、彼女の装備が『終焉の女神』によるものであると判別できる。
「終焉神剣ラストノード、現れよ」
すると、巨大な魔法陣から一つの神剣が出現した。
それは刀身を白銀色に包み、夜色のドレスと対をなす印象を植え付けられる。
ナツナは神剣を振り、そして妖艶に笑った。
どうも、焼き鮭です。
もし
「面白い!」「レイラはどうなるの?」「やっとリキアのシーンが来たわ」
と思った方はブックマーク、↓の☆を押して評価をしていただけると励みになります!




