14「狂気との再会」
ウテナは息を切らし、森の中を駆けていた。
リキアが向かったのはこの森の先にある屋敷だ。
そこにはきっと、トウマとエルヴィットがいるわけであって――、
「待ってて」
ウテナは心を焦燥で急かしながら口にする。
木々の枝が、ウテナの頬を切り付けた。傷口から血が迸り、しかしそれでも尚、ウテナは足を止めない。
意識が完全に屋敷へ向かうことだけに集中しているからだ。
「必ず、必ず助け出してみせるから……」
するとその瞬間、ウテナ目掛けて一つの針が飛んできた。
それは小さく、細かった。
ウテナは針の飛んできた方を向いた。
その直後、針の飛んできた方角から鋭い触手のようなものが飛んできた。
「うぐっ……急に何?」
ウテナは身構えながら、そう呟く。
不意に、触手が飛んできた奥から、一人の少女が現れた。
彼女は哄笑を浮かべ、今にも獲物がかかるのを狙っていたかのようだ。
「やっと、会えた……『白銀の豺虎』!!!!」
少女はぼさぼさの赤髪をくしゃくしゃと掻き上げ、右目から巨大な触手を突き出した。
触手の先には眼球が生えており、更にその体から夥しい数の棘をこちらへと飛ばしてきた。
「『魔斬』!」
ウテナは急いで妖術を唱え、棘を斬撃で薙ぎ払った。
しかし、全て薙ぎ払えたというわけでもなく、体の各所に棘が突き刺さった。
ウテナは歯を食いしばり、再び斬撃を放った。
「喰天使――『悪喰』」
だが、その斬撃は忽然と消滅した。
否、“喰われた”のだ。
「あれは……」
少女の体から出でた巨大な禍々しい口を目に、ウテナは瞠目した。
そう、あの口が斬撃を喰らったのだ。
ウテナは慌てて距離を取り、再び魔法陣を開いた。
「ああああっ!!」
しかし、ウテナは触手に体を絡めとられ、上空へと持ち上げられてしまった。
そして地面に思いきり叩きつけられ、ウテナは血を吐く。
「ぎゃはははっ!!! さっさと死ねぇ!!!!」
少女は眼球が飛び出しそうなほど大きく目を見開き、狂気と呼ぶに相応しい表情でそう叫ぶ。
そして、何度もウテナを上空に攫っては地面に叩き付け――辺りにはウテナの全身の骨が砕けていく音が響いた。
「きゃははははははははははははは!!!!!!」
甲高い歪な笑い声を上げる少女と、倒れたまま身動きの一つも取らないウテナ。
少女はウテナの近くへと歩み寄り、そしてニヤリと笑った。
「――死ねよ」
少女は触手を生やし、それを鋭利にした。
そしてウテナの心臓目掛けて放った。
しかし、次の瞬間――氷の刃が少女の頭部を貫いた。
「な、にが……」
少女はその場に血を垂れ流して倒れた。
すると、向こうに藍の髪をした少女が、怒りと憎悪の籠った両目で少女――リリエルを睨み付けていた。
どうも、焼き鮭です。
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「面白い!」「ウテナ大丈夫!?」「リリエルざまぁ」
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