13「悪」
静まり返ったアジトの中で、膝を付いたままレイラは項垂れていた。
もう見えなくなってしまったウテナを想起しては、涙を目の端から零す。
「どうして、そこまで……」
レイラは震える声音でそう呟くと、顔を押さえて泣き顔を隠した。
すると、後方からコツコツと足音が聞こえた。
「レイラさん、追いかけなくていいんですか?」
「ほっといて」
「すみません」
声だけでザギンクだと判断したレイラは、言葉でそう突き放し、遠ざかっていく足音に耳を研ぎ澄ませた。
「アタシって、本当に馬鹿だ……」
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「ザギンク君、新しい腕の調子はどう?」
「はい。完璧です」
アジトの大広間でザギンクを待っていたのは、白衣を身に纏ったソフィアだった。
ザギンクは機械の腕に目をやっては、カチカチと動かす。
「なら良かった。これで戦闘も心配ないね」
「はい、確かに心配ないです」
その瞬間、ザギンクはニヤリと笑った。
すると、先ほどまで胴と繋がっていたはずのソフィアの頭部が、ザギンクの掌に乗っていた。
血も流れずに、一瞬にしてソフィアを殺したザギンクは、彼女の頭部を思いきり床に叩きつけた。
ぐちゃりと頭部が砕け散り、その場に体液と脳を晒した。
「これも、リキア様のためですから」
ザギンクはそう言うと、この場を去ろうとした。
すると、死んだはずのソフィアが目の前に出現し――、
「いったいなぁ……ザギンク君、どうして殺したの?」
「ちっ、邪魔者が!!」
ザギンクは人が変わったかのような、荒々しい口調でそう叫ぶと、両腕に閃光を宿らせた。
「械瑩術式――『鑿壁涛攻』!!」
「それは、禁忌魔法……お前ごときが使うとは、身のほどをしれ」
すると、ソフィアは不意に笑い出し――同じく魔法陣を展開した。
「終焉術式――『栖栖雨齧』」
「そう言いながら、禁忌魔法を使うんですね」
ザギンクはソフィアを嘲笑し、互いに唱えた術式と術式が衝突し合い、軈ては轟音と呼ぶに相応しい爆発音を鳴らして砕け散った。
「これじゃあレイラさんに気付かれてしまいますよ、魔人」
「――っ、ザギンク君はあまり人付き合いが得意じゃなさそうだね」
「ほぼ正解です」
ザギンクはぱっぱっと、制服についたゴミをはたき落とすと、眼前で嫌悪を示すソフィアを睨んだ。
「械瑩術式――『時間滞溘』」
「どうして、神の御業を……!?!?」
ソフィアは目を見開き、そう言ったまま硬直した。
しかし、硬直したのは彼女だけではなかった。
この世界が凍り付いてしまったのだ。
「――惨めだな、魔人」
ザギンクはそう言い、再び魔法陣を展開してはニヤリと笑った。
どうも、焼き鮭です。
もし
「面白い!」「魔人とか神の御業ってなんだよ」「自分もザギンクに襲われたい」
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