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8「分からない」

 ――あれ、今何時だ?

 ぐったりと重い体を起こし、僕は辺りを見渡す。

 もう日が昇っているではないか。

 

 「ふぅ……起きるか――って、うわあっ!?」

 

 隣で寝転んでいた裸の少女を目に、僕は反射的にそう叫んでしまった。

 すると、少女は眉をピクリと動かして寝返りを打った。

 

 「良かった、起きてない……」

 

 そういえば僕はあの後何をされたのだろうか。

 ていうか、僕も裸だし。

 

 「いかがわしいことに決まってる!!」

 

 僕は途端に恥ずかしくなり、急いで近くにあった自分の服を着た。

 しかし、視線が少女の方へと吸い寄せられるように向かってしまう。

 

 駄目だ。僕って女性の体に興味あったっけ。

 

 「――しっかし、なんで覚えてないんだろう」

 

 僕は頭を捻って記憶の中を捜索するも、昨夜の光景が浮かばない。

 もしや、記憶を消されたのかもしれない。

 

 「だとすれば、ナツナさんが」

 

 ナツナの声を聴いていたら、何故かぼーっとしてしまう作用があった。

 つまり、この声に何らかの原因があるのだろう。

 そうすれば、この屋敷に来てからウテナ達のことを少しの間思い出せなかったのは、この少女が記憶を抹消したからか。

 

 「でも……僕は前から昔の記憶なんて覚えてなかったし」

 

 オリビア、エヴァと共に過ごしてきた日々の片鱗ですら思い出せない。

 夢で何か見たりするが、すぐに忘却してしまう。

 

 「ん、起きてたの……?」

 「あ、うん……」

 

 すると、ナツナが起き上がり大きく伸びをした。

 思わず裸体が見えそうになり、僕は慌てて目を逸らす。

 

 「何恥ずかしがってんの? もう見せあった仲じゃん」

 「いや、でも、流石にまずいんじゃ」

 「ふふっ、初心だねぇ……やっぱり好き」

 

 ナツナがそう言うと、服を取りにロッカーの戸を開けた。

 そしてメイドの服を丁寧な手捌きで着ると、こちらを振り向いて悪戯な笑みを浮かべた。

 

 「トウマ君ってメイド服好き?」

 「まあ、可愛いとは思うかな……」

 「つれないなぁ……本当のこと、言ってみて。ね?」

 「好き」

 「ふふ、やっぱり!」

 

 なんでだろう、体が無意識にそう答えた。

 まあぶっちゃけメイド服は可愛いと思うから別にいいか。

 

 「可愛い、か……」

 

 すると、脳裡に一人の少女のことが浮かんできた。

 頭痛と共にそれは鮮明になっていき、そして僕は目を見開いた。

 

 違う。違う。僕が好きなのはウテナだ。ウテナしかいない。

 それに、昨日はあのナツナとかいう正体不明の女と体を重ねてしまった。

 どうしてそんなことをしてしまったのだろうか。

 

 そんな罪悪感が心の中で絶叫し、僕は思わずその場に倒れ込んでしまう。

 

 「え、ちょっ、大丈夫!?」

 

 慌てて駆け寄ってくるナツナ。

 彼女は僕の方へと手を差し伸べるが――、

 

 「来るなっ!!!!!」

 

 僕は叫び返してしまった。

 

 すると、ナツナは手を引っ込め、悲しそうな顔をして離れた。

 僕は今しがた自分がやってしまったことに後悔する。

 

 なんで拒絶するような真似をした。あれは大切な情報源なんだぞ。

 昨日はお館様が何とか聞き出せたじゃないか。

 

 「ごめん、今のは言い過ぎた」

 「――別に」

 「え、もしかして拗ねてる?」

 「うぜえし、近寄んなし」

 「ごめん」

 

 ナツナはそっぽを向きながら、そう言った。

 僕は下を向き、彼女の後ろ姿を何とも言えない感情で凝視していた。

どうも、焼き鮭です。

もし

「面白い!」「ナツナって一体何者?」「銀髪少女は最高」

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