6「お楽しみ」
不思議と緊張を滾らせていた僕は、ベッドの上に座り、その時を待っていた。
時計の針の音が耳に騒音として轟くほどに寝静まった屋敷の中で、僕はベッドの布団を強く握ると、突然と静かに開いたドアに視線を集中させた。
「やっほー」
「ナツナさん……」
「敬語じゃなくていいよね? もう素がばれたし」
「うん……いいよ」
色っぽく銀の髪を揺らし、可憐な顔面でこちらを見据えるのは、今朝僕がいるこの部屋に訪れていたナツナという少女であった。
彼女は隣に腰かけると、指でスーッと僕の頬に触れる。
妙なもどかしさがするも、情報収集のためだと思いそれを押し殺した。
「ナツナさんは、ここに住んでるの?」
「うん。普段はお館様のメイドとして勤めてるんだけど、トウマ君の監視員になったんだよ」
「お館様……」
お館様か。なるほど。
つまり、この屋敷にはどこかの貴族か王族かでも住んでいるのであろう。しかし、よりにもよって何故僕が。
「あの、僕以外にももう一人金髪の女の子がいると思うんだけど」
「ああ、吸血鬼の子ね。あの子は地下牢にいるよ」
「そうなんだ……っ、地下牢?」
この女はモラルが欠如しているのかとでも突っ込みを入れては、僕は下を向く。
すると、ナツナが色っぽい吐息をつくと――
「――ねぇ、しようよ」
「えっ――はい」
何故か体が反射的にそう答え、僕は目を見開いた。
すると、ナツナが優しく笑い――
「じゃあ、服脱がせてあげる」
「や、やめっ……」
「痛くなんてないからね? 全部アタシに任せていいよ」
「そういうことじゃ……」
ナツナは僕の体へと太腿に手を置き、艶笑を浮かべた。
「トウマ君、嫌じゃないよね?」
「あ――はい」
「おっけー。なら合意だし、いいよね」
「はい、構いません」
体が勝手に返答したのを最後に、僕は意識が遠退いていった。
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「許さない……絶対に許さない!!」
赫怒のあまり、形相を鬼のようにした赤髪の少女がフラフラと歩き――ある部屋へと入ってきた。
そこには二人の男女と、小さな背丈の少女の三人がいた。
「お主がリリエルで間違いないかのう」
「はい……! 間違いありません」
「ミア、エルマー、挨拶を」
「はっ」「御意」
二人の男女が赤髪の少女に歩み寄ると、頭を軽く下げて挨拶をした。
「私はミア、よろしく」「俺はエルマー」
「よ、よろしく」
二人の態度に気圧されては、赤髪の少女は苦笑いをした。
そして、眼帯をかけた男は刹那、拳を振るった。
「ほう、止めたか」
「これでもあたしは天使なんだからね」
「流石はリリエル殿、恐縮だ」
エルマーという男が感服したかのように一歩引き下がると、ミアと共に小さな少女の元へと戻って行った。
「お願いします、ラスキア様。どうか、リキア大将軍が率いる愚連隊に制裁をくだしていただければと」
「よかろう。わしとて人の子じゃからな」
ラスキアは赤髪の少女の手を握ると、ふっと優しく笑った。
そして離すと笑顔を崩し、真剣な面付きをした。
「――非道な行いを続けるリキア大将軍を、必ずしも断罪する」
どうも、焼き鮭です。
もし
「面白い!」「リリエル、生きとったんかワレェエエエ!!」「自分もラスキアに手を握られたい」
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