2「捕」
微睡みと覚醒の狭間で、意識が四方八方に揺蕩うかのような錯覚に襲われつつも、トウマは無事に目を覚ました。
まだ真夏ではないはずなのにどっと嫌な汗を掻いた体を見渡し、トウマは体を起こす。
静かな部屋の中に、衣擦れの音が生じては静寂を狩る。
そしてトウマは額の汗を掌で拭うと、溜め息を吐いた。
「一体あの夢は……」
白い髪の少年が語りかけてくる夢を見たのだ。
トウマはその夢の不気味さと不可解さに顎を引くと、再び嘆息を吐いた。
「まだ夜なんだ。変な時間に目が覚めちゃったな」
カーテンを払っては窓の外に広がる、薄暗い空を見上げてはそう零す。
華美な模様の壁へと目をやり、下を向いて頭を掻くと、トウマは部屋の扉へと向かう。
戸へ手をかけ、扉を押す。
そして廊下の方へと出て、絨毯の上を歩いていく。
すると、
「トウマ、助けてほしいのじゃ!」
息を切らしたエルヴィットが姿を現し、トウマの手を引いた。
トウマは振り返り、
「どうしたの、エルヴィットさん」
「と、とにかく余の部屋に来てほしいのじゃ!」
「――? 分かったけど」
トウマはエルヴィットに手を引かれ、彼女の部屋へと向かった。
「む、虫が……部屋に入ってきたのじゃ!!」
「虫が入ってきたの?」
エルヴィットは窓の近くを指差し、その方へとトウマが進む。
すると、
「――虫、いたでしょ?」
「え」
トウマは首筋に何かを刺され、そのまま倒れた。
後ろで立っていたエルヴィットは笑い、そして顔の皮を剥いだ。
中にいた少女はニヤリと笑い、窓の外へと手を振った。
すると、一人の男が現れた。
「――こいつがトウマか」
「そうみたいだね。やっぱり凄いね……本当にラスキア様が言ってた『龍の末裔』かもしれないね」
「ついでにあの金髪の吸血鬼も捕えたのか?」
「うん……それに、さっき身に着けてた顔の皮はその子から剥いだんだよ」
「酷いことをするなぁ……」
そんな歪な会話をしながら、二人の男女はトウマを抱える。
そして窓の外へと飛び、姿を消した。
「――何の音だ」
扉が開かれ、向こうからリキアが現れた。
「まさか……!!」
開かれた窓へと目をやり、リキアは目を見開いた。
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――少し前。
「――リキア大将軍も中々、狡猾になったものじゃな」
ラスキアはそう口にし、数枚の資料を手にする。
その資料は『トウマ』『ウテナ』『レイラ』『エルヴィット』『ユダ』と題されていた。
更に『ミア』『エルマー』『ザギンク』とも記されている。
後述した三名は全員、帝国騎士団に所属している者である。
ラスキアは顔をしかめながら、リキアの纏めた資料を眺める。
「――秘密組織『白銀の豺虎』に、『龍の末裔』『妖魔の双子』『グランシェア一族の娘』『堕天使』か」
ラスキアは言いながら、近くにいた配下の男女達に目を向けた。
どうも、焼き鮭です。
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