21「警戒」
それから一日が経ち、今日はと言うと精霊騎士達が総動員で森の木々を植え直していた。
この村にベガべド教団の直接的な脅威が及ばなくて良かったなと思うばかりである。
「本当にありがとうございます!!」
村の人々が私の元へと集まり、そう感謝の言葉を口にした。
「礼など要らない」
私はそれだけ言い残し、宿の前で蹲っているレイラのことが目に入った。
彼女はユダの死んでからずっとこのままだ。
これだと道具として遊べないではないか。
「レイラ、早く立ち直れるといいね……」
「お前は他人事だな……暴れてザギンクを攻撃してたと言うのに」
「そ、それは……ゴメンナサイ」
「片言になってる」
隣からトウマが声をかけてきたと思えば、彼はすぐさま片言になり、近くにいたウテナに指摘された。
私は再びレイラの方へと視線を戻す。
レイラとユダが親しげに話をしている光景を見たことはあるが、一体どのような関係だったのだろうか。
やはり、恋人的な関係だったのだろう。でないとここまで落ち込むはずがない。
喪失感など徐々に薄れていく。だからこそ、その後はレイラにユダの分まで頑張ってもらうとするか。
そして白銀の豺虎のユダを除いた全員が集まり――、
「リキアさん、そして『白銀の豺虎』の皆さん、村を救ってくださってありがとうございます!!」
村長の老爺と精霊神であるメリアが頭を下げる。
それを見た私は微笑み、魔車へと乗り込む。
「手配通り魔車を用意してくれて助かる。それに、精霊騎士団まで」
「戦争が起きるとか言ってたからね! リキアさんのためなら幾らでもお貸ししますよ!」
「そうかそうか。ありがとな」
私はメリアの無邪気な笑みにそう言い返す。
まあ、近くで戦争が起きるのは本当だが――私が起こすものなのだがな。
悪いが、この精霊騎士達にはソフィアの薬を密かに服用させて洗脳でもしておくか。
そうすれば帝国でクーデターを起こすことも容易い。
「精霊騎士……そして私を心酔している者どもを味方につけ、必ずしや帝国を支配し――私は世界征服を成し遂げて見せる……!」
私はニヤリと笑い、そう言った。
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「――ほう、精霊界を手玉に取ったか」
一人の男は、水晶玉に映る白銀の髪の少女を見てはそう呟いた。
すると、
「――魔王様、これはまずいかもですね」
「そうだな……人間という生き物は、どうも狡猾らしい」
男――魔王ガレアは不敵に笑い、隣にちょこんと座っている黒髪の少女――マキナの頭を撫でた。
「えへへっ、魔王様……」
「顔がにへってなってるぞ、にへって」
「すみません……魔王様に頭を撫でられたことが嬉しくて」
「頭ぐらいいつだって撫でてやるよ」
「やりました!! 来ましたこれ、私得ですね」
嬉しそうに口の端をにへと蕩けさせているマキナを隣に、ガレアは「さて」と言いながら立ち上がる。
「――奴らが魔界に攻めてきたときのためにでも、魔王軍の配置を変えておくか」
彼は水晶を磨きながら、そう言った。
どうも、焼き鮭です。
もし
「面白い!」「魔王が出てきやがった!!」「自分もリキアに礼を言われたい」
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