5「黒と藍の双子」
――こちらへと手を振ってきたトウマを見て、私は嬉々とした感情で哄笑した。
「これだ……そうだ、これでやっとトウマの強さが知れた」
世界征服に、これでやっと一歩近づいた気がする。
戻ってきた血塗れのトウマに私は手を振り返し、
「十分に強いじゃないか」
「そ、そうかな……」
「私はその実力を、誇りに思っていいと思うぞ」
どこか嬉しそうな顔をするトウマ。
私はそんなトウマと共に、移動魔法を行使し王城にある私の部屋へと向かった。
「体が血で汚れただろう? シャワーでも浴びてくればどうだ?」
「そうだね……じゃあ浴びてくるよ」
トウマはそう言って脱衣所の方へと向かった。
彼の後背を見送り、そして私は机の方へと目を移す。
机の上には様々な資料が散らばっていた。
その中から二つの文書を手に取り、
「――まずはこの二人へと会いに行くか」
その文書には『レイラ』と『ウテナ』と記されていた。
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――エルヴェル帝国辺境の地。
私は移動魔法を使用し、ある一つの村へと訪れていた。
「おお、あれが噂の『戮殺姫』か……」
「確かに美しいな……人を殺しそうな感じはしないんだがな」
村人達が私を見ては、そう口にする。
私はそんな村人に笑顔を向け、
「この村に『レイラ』という少女と『ウテナ』という少女はいるか?」
「ああ、おりますとも……なんなら呼んできましょうか?」
「ああ。そうしてくれると私としては助かる」
村の長老らしき人物が杖を突きながら、一つの民家へと入っていった。
すると、黒と藍の髪色をした二人の少女が姿を現した。
とは言っても、ドアの隙間から顔を少しだけ出しているだけだが。
「誰……?」
「ウテナ、あれは帝国の大将軍様だよ」
「そうなの……?」
「うん。確かね……『戮殺姫』とか呼ばれてる怖い人だったはず」
「怖い人……」
二人はじーっと私の顔を見つめてくる。
このままじゃ二人は出てきてくれないと思い、私は直接二人の方へと足を運んだ。
「二人は、レイラとウテナって子で間違いないな?」
「うん……私はウテナ」
「アタシはレイラだよ!!」
二人の内、レイラと名乗る藍色の髪をした少女がドアの向こうから出てきた。
それに続き、ウテナと名乗る黒髪の少女もドアの向こうから出てくる(しかし、レイラの後ろに隠れているが)。
「レイラとウテナは顔が酷似しているが……まさか双子なのか?」
「そうじゃ……この村では唯一の双子なんですぞ」
長老が二人の代わりに答えた。
私の所持していた文書には双子とは記載されていなかったが、まあいい。
それに、この双子はとても可愛らしい外見をしているが中身はかなり凶悪な性格をしている。
だからこそ、私がこの二人を『白銀の豺虎』へと誘いに来たのだ。
「突然だが、二人は私の運営する組織――『白銀の豺虎』に入るつもりはないか?」
「はくぎんの、さいこ……?」
「ウテナ、白銀の豺虎だよ!! 平仮名じゃないよ!」
「そうなんだ……初耳」
ウテナは少しだけ表情を明るくさせた(とはいっても傍から見れば真顔)。
そしてレイラは私を訝しむように見つめ、
「で、アタシ達をその『白銀の豺虎』とやらへ変な理由で勧誘しに来たんだね?」
「そういうことだ。呑み込みが早くてたすかる」
二人はそっくりな顔を見合わせて、悩む素振りをする。
「どうする、レイラ……?」
「どうしようかな、ウテナ?」
すると、何か思いついたのかレイラが私の方へ向き直った。
「アタシ達は入るけど……代わりに一つ条件があるけど、いい?」
「ああ、構わないとも」
「――アタシとウテナを誘った、本当の目的を教えて?」
レイラは真剣な眼差しで、私を見つめてきた。
私はと言うと、二人の言動がとても愉快で仕方がなかった。
「面白いことを聞くな……いいだろう、教えてやる」
私はレイラの耳元へ口を近付け、
「――世界を征服するためだ」
そう囁いた。
すると、レイラは驚いたような表情をしてウテナに私の発言を伝えた。
「私は、退屈だから入る……」
「面白そうだから、アタシは入る!」
二人は無表情と笑顔でそう言った。
どうも、焼き鮭です。
もし
「面白い!」「レイラとウテナ最高っ!」「自分もリキアに囁かれたい」
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