4「初陣」
――寝室へと戻っていくトウマを見送り、私は報告書の執筆を再開した。
報告書にはトウマという少年を帝国の軍へ所属させることの要請と、『白銀の豺虎』という秘密組織を結成することを書き綴った。
「明日は必ず帝国西側の町で反乱が起こる。そうすればトウマの殺人衝動も満たされ、私は彼を戦争へと出向かせることで鍛錬させることもできる」
トウマと私にとって、互いにメリットのあることだ。
実際、私は戦争をただ単に繰り返すだけでは退屈してきた。だからこそ、トウマと言う玩具を使用して存分に楽しむというわけだ。
「さて……送ることにするか」
魔法陣を展開し、そこに手紙を投げ入れた。
これで帝王の元へと私の報告書が届くはずだ。
「私とトウマだけでは数が少ない――今後、帝国中に散らばる翹楚を集めるとするか」
ああ、明日が楽しみだ。
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「――ほら見てみろ」
「凄い人の数だ……」
馬に乗ったトウマが、眼前に迫りくる大勢の人々を見て唖然としていた。
「今から私とトウマだけであの一万人もの反乱軍と、大規模な戦争を行うのだ。この戦争では主にトウマの殺人衝動を満たすために私は敵に一切の危害を加えない」
「え、僕一人であの人数を倒すの……?」
「何を、私は一秒であの人数を殺害することができる。だからこそ、私と同レベルに鍛えるためにトウマを戦わせるんだ」
「わ、分かった……」
トウマは少し戸惑った様子だったが、大群の中へと馬を走らせていった。
「さてと……私はトウマを観察するとしよう」
もし仮にでもトウマがこの戦争で力尽きれば、私は即座にこの反乱軍を殺害し、また新たな玩具を探すとする。
それに、これくらいの敵にやられているようでは世界を征服するなんて不可能だ。
私は水筒に入ったお茶を飲み、そして馬の体を撫でてやる。
「そういえば、トウマにはまだ『白銀の豺虎』のことを話してなかったな」
エルヴェル帝国に存在する優秀な人材を集め、世界征服を達成させるためにざっとだが、あと四~五人ほど最低でも欲しい。
『白銀の豺虎』に所属させる候補は、概ね既に決めている。
「おや、トウマが暴れているみたいだ」
双眼鏡を使い、私は遠くで行われている血祭りを目にしてニヤリと笑った。
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「ひっ……」
ナハドメレクを振り回し、僕は反乱軍の兵士を殺戮していた。
ああ、楽しくて仕方がない。
血だ、血だ、血だ……!!!
「こんなの、勝てるわけねぇよ……」
次々と兵士達が戦意喪失し、逃げていく。
しかし、僕はそんな兵士達も追いかけては惨殺した。
「人殺しだ……そうだよ、僕は人殺しだ!!」
ナハドメレクが、僕の昂る殺人衝動に共鳴するように次々と兵士達を斬り殺していく。
すると、一人の兵士が僕の背中に矢を放った。
鏃が背中から心臓を貫き、僕の意識を蹂躙する。
「痛い……痛い痛い痛い!!!!!」
傷口が光に呑まれ、そして治癒する。矢が消え、代わりに煙が上がった。
僕はもう止まらない。
今まで抑えていた殺人衝動が暴走している。
だってこれだけの人を殺すことができるのだ。嬉しくて仕方がない。
「消え去れ『龍鬼耀戴』……!!!」
僕はナハドメレクを振るい、周囲に金色の斬撃を発生させた。
斬撃は一万人いたはずの反乱軍の兵士達全てを切り刻み、それにより兵士達は周囲に血痕だけを残して消え去った。
「あははははははははははははははははははははは!!!!!!」
まるで天にも昇る気持ちだ。
僕は今、最高に満たされている気がする。
遠くにいるリキアに手を振って、僕は馬には乗らずに彼女の元へと歩いていった。
どうも、焼き鮭です。
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「面白い!!」「この作品の登場人物は狂ってやがる」「自分もリキアが口を付けた水筒を舐めたい」
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