17「殺人衝動の暴走」
硝煙が立ち込め、その中に立ち尽くした二体の鬼と教祖。
奴らは教徒ごと辺り一帯を魔法によって更地としていた。
「流石に死んだのか」
教祖は残念そうに言うと、踵を返した。
ひひっと、歪んだ笑みを浮かべては愉快そうに目を細める。
しかし――、
「械瑩術式『謳禍慊斬』!!」
「なに――!?」
煙幕の中から突如として現れた一人の青年により、緑色の体色をした鬼が八つ裂きにされた。
それを見た教祖は慌てて魔法陣を展開するも、青年の腕に開いた穴へと魔力を全て吸い取られてしまう。
「あなた、何者か……?」
「俺はしがない帝国騎士だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「嘘を吐くなっ! あなたは私の『禁忌魔法』を近くで直撃しても尚、生きており――それに、狡猾鬼を瞬殺するほどの実力を持っている。本当であれば、あの場にいた者ども全員を殺すことさえ容易かったはずなのに何故それをやらなかった!!」
饒舌に捲し立てる教祖を見て、青年――ザギンクは笑った。
「俺には計画がある。だからこそ、それを阻害するような行動はなるべく控えている」
「あなたの正体は、一体……?」
「だから言っただろ? 俺はただの帝国騎士だと」
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「――殺さ、ないと……」
僕は立ち上がり、千鳥足で煙の中を進む。
思考を尋常じゃないほど強大な殺人衝動が支配し、その欲求に従って体が操作されているのだ。
僕は龍神剣を手に、無表情で歩んでいく。
すると、数名の教徒が武器を掲げて現れた。
「教祖様のために死にやがれ!!!」
一人の男がそう言うも、次の瞬間には口から上の頭を切断されていた。
しかし、狂信者たちはこれだけでは抵抗をやめない。続けて二人の男達が僕に向かって襲いかかってきた。
「「おおおおおおおっ!!!」」
「うるさいんだよ」
僕は龍神剣で男達の喉笛を切り裂き、ひゅうひゅうと音を鳴らして崩れ落ちるのを見届けた。
そして全員を片付けた僕は不意に駆け出し、煙幕を切り裂いた。
すると煙が消え、眼前に一人の青年と教祖と鬼が現れた。
それを目にした僕はニヤリと笑う。
「殺さないと!!!」
跳躍して、青色の体色をした鬼に斬りかかった。
「なに!?」
「オオオオオオ!!!」
驚愕した表情をする教祖と、唸り声を上げる簒奪鬼。
その内の簒奪鬼を標的に、僕は龍神剣に瘴気を纏わせた。
「『龍鬼殄戴』!!!」
「オオオオオオオオ!!!!!」
金棒を構え、それで僕の攻撃を防ごうとする簒奪鬼。
しかし、その防御も虚しく――金棒ごと僕は簒奪鬼の体を真っ二つに切断した。
青い色をした体液がその場に飛び散り、僕が身に着けていた白い制服を青く染め上げていく。
「トウマさん、無事だったんですね!」
「殺さないとだよ……そうだ、殺さないとなんだ」
「トウマさん……?」
困惑した表情のザギンクに、顔面を青く濡らした僕はニヤリと笑いかけた。
ああ、そうだ。やっぱり生物を斬り殺すのは楽しい。
「あははははははっ!!!!!!! 死ねよ!!! おいおい!!」
「それはこっちの台詞だ!!!!」
教祖が青筋を額に浮かべながら怒号を飛ばし、巨大な魔法陣を展開する。
すると、そこから黝然とした体毛の狼が二頭もの数で出現した。
「『龍鬼耀戴』!!!」
しかし、二頭の狼は斬撃によって体をばらばらに斬り裂かれて死んだ。
続けて僕は大きく跳躍し、再び龍神剣に瘴気を纏わせる。
「クソぉっ!!! どうして私の術が、全て……!!」
「お前もあの世に送ってやるよ!!! 僕の手でなぁ……!」
僕は教祖の体を頭から切り裂いた。
血飛沫が雨のように撒き散り、周囲を赤く濁していく。
僕は教祖の断末魔を見届けると嬉笑し、龍神剣を消失させる。
「あはははははははははははははははははははっ!!!!!!!!」
どうも、焼き鮭です。今回はトウマが暴走してますね。やばい。
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「面白い!」「トウマの暴走ってやばくね!?」「トウマの人柄が変わりすぎだろ」
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