5「気まずい」
「おいっ! 部屋に一つしかベッドねぇってどういうことだよぉ!!」
「しっ、もう夜中だよ!」
「うるせっ! てか、てめえこそ叫んでんじゃねぇかよ!」
深夜、一つの部屋で二人の男女が叫んでいた。
苦情が殺到しそうなほどの声量だが、果たして大丈夫なのだろうか。
「そもそもこの宿主は三つしか部屋貸してくれないってどういうことなんだ!! 七つ用意してくれてもいいじゃねえかよ!」
「流石に他にも泊まっている人がいるかもしれないじゃん」
「人なんざここに来るわけねぇだろ!」
「確かにそうだけど、実際に今私達が来てるじゃん!!」
すると、部屋の扉を誰かがノックした。
それに気付いたレイラが急いで扉を開ける。
「すまないが、静かにしてくれないか?」
向こうにいたのは、寝間着姿のリキアだった。
魔犬の絵柄が何個も描かれた、モコモコとした寝間着である。
性格や言動とのギャップに萌えたいところだが、そんな余裕など今はない。
「壁が薄いからお前達の声が聞こえるんだよ。言っておくが、私は隣の部屋じゃないからな?」
「ご、ごめん……取り乱してて」
レイラはそう苦笑いして謝る。
「お前達、深夜ってことを忘れるなよ――おやすみ」
「うん……おやすみ」
去っていくリキアに小さく手を振り、レイラは扉を閉める。
そしてユダの方を振り返ると、頬を膨らました。
「静かにしてよね! 注意されたんだけど」
「うるせっ! オレに命令すんな」
「あ~もう!!」
口喧嘩を再び始め出した両者は、隣の部屋から壁ドンをされた。
それに気が付いた二人は気まずくなり、
「もうやめよっか……」
「そうだな……」
先ほどとは打って変わり、小声でそう言った。
すると、レイラがベッドへと飛び込む。
「ユダも来れば?」
「言われなくても行ってるつの」
それだけ言い終え、ユダは顔を背けたままベッドへと行く。
「やっぱオレは床で寝るわ」
「え、いいの?」
「気にすんな」
ユダは床に転がる。
それを見たレイラは考え込む素振りをした。
「床で寝ると体痛くなるよ?」
「慣れてんだよ」
会話は上手く続かず、レイラはこれ以上の言葉をかけることができなかった。
ユダが大きく溜め息を吐いたのが聞こえた。
それにレイラは心配な表情をしたが、やはり声をかけられなかった。
暫くして静かになり、まだ眠れていなかったレイラは起き上がる。
「ユダ……?」
「――ソリティア、もう食えねぇよ」
ユダが寝言を発しているのを聞き、レイラはふっと微笑んだ。
どうも、焼き鮭です。実は部屋割りに大事な意味があります。
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