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2「精霊神」

 精霊の男達に案内され、私達『白銀の豺虎』の一行は獣道を歩いていた。

 ブーツで地面を踏めば、じゃりじゃりと砂や石が擦れる音がする。

 先ほどまで、四方から獣達の鳴き声が聞こえていたが――歩き進めば進んでいくほど聞こえなくなっていく。

 

 「すみません……まさかあなたがシャロン様と、同じ国の大将軍様だとは知りもせず……」

 「気にするな。私だって急に押しかけて悪かった」

 

 精霊達とそんな会話を交わしながら、私は進んでいく。

 すると、眼前に門が見えてきた。

 

 「ここが村です」

 「ほう……」

 

 私は門を潜り、辺りを見渡した。

 

 「ここが精霊の住む村なのか……」

 

 そんな風に呟いていると、一人の少女がこちらへと駆けてきた。

 

 「こんにちはーっ!!!」

 「ん、この子は?」

 「我が村の守り神様です」 

 「守り神……!?」

 

 私はもう一度少女の方を見た。

 長くて艶やかな髪に、明るい笑みを浮かべた可愛らしい顔立ち。

 

 本当にこの少女が守り神なのだろうか。

 

 「初めましてっ! わたしは精霊神メリアです……あなたは?」

 「私はリキアだ」

 「リキアさん、か……じゃあ後ろの子達は?」


 続いてメリアはトウマ達の方を見た。

 すると、トウマの顔を見た瞬間に彼女の顔色が豹変ひょうへんした。

 だが、それには誰も気づいていないようだった。一瞬だけしか、メリアがその表情をしなかったというのもある。

 

 「――!?」

 

 しかし、私は彼女の豹変を見逃さなかった。

 

 「僕はトウマ」「私は、ウテナ……」

 

 トウマは笑顔で言い、ウテナはトウマの後ろに隠れて名乗った。

 

 「アタシはレイラっ!」「余はエルヴィっとぞ!!」「俺はザギンクです」「オレぁユダって言う」

 

 四人はそれぞれ名乗り終わった後、メリアが微笑んで私に手を差し出してきた。

 私は先ほどの彼女の表情を見ていたので、その手を取ることにかなりの抵抗があった。

 

 この女は何を考えている。トウマの何かを知っているのか?

 

 渋々と手を取り、私は上っ面の笑みを作った。

 

 「これから宜しくね、リキアさん」

 「ああ。こちらこそよろしく、メリア」

 

 彼女は精霊神だと言うのに、敬語が喉の奥に閊えたのは何故だろうか。

 やっぱり、さっきの表情のせいか。

 

 すると、レイラが私の体をつついてきた。

 

 「さっきから変だけど、どうしたのリキア?」

 「変……? そうか?」

 「そうだぜ、大将軍様よぉ。さては、精霊神の神の座を狙おうとか……」

 「えええっ!? そうなのぉ!! リキアさん、流石にそんなことは」

 「してるわけないだろ」

 「なら良かった」

 

 ユダの発言により、一時期凍ってしまっていた空気が解けた。

 もしかしたら、ユダは気を遣ってくれたのかもしてない。

 

 あるいは、彼もメリアの異変に気が付いていたのかもしれない。

 詳しくは後で聞くとしよう。

 

 「それにしても……」

 

 私は誰にも聞こえない大きさで、そう呟く。

 

 あのメリアとかいう精霊神の表情。

 トウマを見ては、途轍とてつもない表情をしていた。

 

 

 ――憎悪と、敵愾心てきがいしんが立ち込めた、明朗な笑顔からはとても想像ができない歪んだ表情だった。

どうも、焼き鮭です。どうやら精霊神であるメリアは闇が深いですね。

もし

「面白い!」「精霊界で可愛い女の子が出てくるかと思ったらヤバい奴だった」「自分もリキアの手を握りたい」

と思った方はブックマーク、↓の☆を押して評価をしていただけると励みになります!!

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