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1「精霊の森」

 「ここが精霊の住む森か……初めて来たな」

 

 私はガタンゴトンと揺れ動く車内の中、車窓の外に広がる森々とした景色を眺める。

 虫や鳥の音がけたたましく鳴り響き、まさしく大自然と言うべき空間である。

 

 すると、車内の壁に寄りかかってエルヴィットがウトウトと眠りかけていた。

 私はそれを見て微笑ましくなり、ついつい耳元に口を寄せていた。

 

 「エルヴィット、眠いのか?」

 「――ひぇっ!?」

 「ふっ、眠そうにしてたぞ……昨晩はぐっすりと寝れなかったのか?」

 「ま、まあな……」

 

 エルヴィットは苦笑交じりにそう言った。

 

 ふむ、どうやら本当にあまり眠れていなかったようだな。

 

 私はエルヴィットを見つめながら、彼女の頬に手を伸ばしていた。

 柔らかでひんやりとした心地の良い感触が手を伝い、思わず匂いを嗅ぎたくなってしまう。

 

 「て、手を離してほしいのじゃ……」

 「す、すまない……嫌だったか?」

 「別に嫌ではないが……」

 「ふふっ、じゃあ抱きしめていいか?」

 「それは遠慮します」

 

 ジト目をしたエルヴィットが私から離れる。

 

 「なんでだ……? こんなにも私は――」

 「お、落ち着くのじゃ! 余は其方のことを好いてなどおらんわ!!」

 「ならば今から惚れさせてやろう」

 「うぎゃあああああああ!!!!!」

 

 エルヴィットを揶揄いながら、私は微笑む。

 

 それにしても本当にエルヴィットは可愛いな。見ていて癒される。

 ふふっ、可愛いなぁ……。

 

 思わず脳が蕩け落ちそうになっていた時――、

 

 「リキア様っ、何か来ます!!」

 「なに――!?」

 

 車両の前方に、フードを被った者達が現れた。

 白いローブを風に靡かせ、こちらに向かって駆けてくる。

 それを見た私は窓の外へと身を乗り出し、口に手を置いた。

 

 「私達は敵ではない!!」

 

 そう叫ぶも、一つの返答もない。

 私は舌打ちし、車内に戻る。

 

 すると、ユダが頭を乱暴に掻き――、

 

 「あんな奴ら殺そうぜ? どうせオレ達の敵なんだしよぉ」

 「それはやめておけ。きっとあやつらは精霊に違いない……それに、殺したところで精霊の住む村へと辿り着くことができんだろ?」

 「――っ、分かったよ」

 

 ユダはそう言うと、腕を組んで貧乏ゆすりをする。

 苛立っている彼を見た私は、溜め息を吐く。

 

 しかし、どうやってあやつらと話をするか。私達を敵として判断し、こうやって襲いかかってきているのだ。

 それに、ここであやつらを殺してしまえば、後々精霊神との交渉が上手く捗らない可能性がある。

 

 「面倒だな……せめて生け捕りにして情報を吐いてもらうか」

 「それだと精霊達から悪く思われるかもだけど?」

 

 そんなレイラの問いかけに、私はニヤリと笑った。

 

 「安心しろ、そうはならない。何故なら――あやつらが先に手を出しているからな」

 

 私は車両から降り、漆黒の球をローブの者へ飛ばす。

 ローブを着た者達はそれぞれ球体と直撃し、爆発した。

 

 そして素顔を晒した精霊の男達へと駆け寄り、私は縄を巻き付ける。

 

 「取り敢えず魔車を止めるか」

 

 トカゲが牽引する車両を止めた私は、中にいたトウマ達を呼び出す。

 精霊の男達へと彼らは駆け寄り、そしてそれぞれが口を開いた。

 

 「これが、精霊……」

 「精霊……」

 「精霊は初めて見ました」

 「精霊ってやっぱり耳が長いね!」

 「ちっ、雑魚のくせにオレらに戦いを挑むんじゃねぇよ」

 「凄いのじゃ……」

 

 すると、精霊の男達が何か呻き出した。

 それに気付いた私は男の胸倉を掴んで、

 

 「男、精霊の村の場所を教えてくれ」

 「誰だよあんた! 何者だ!!」

 「知らないか? 私はリキア大将軍と言う」

 「リキア……大将軍って」

 

 すると、男達がとても驚いた表情をした。

 それを見た私は、突然の男の反応に困惑する。

 

 何か驚くようなことでもあったのだろうか。

 

 「村を救ってくれたシャロン大将軍と同じ帝国の人ではないか!!」

 「えっ、シャロン……?」

 

 男の両目がキラキラと輝くのを見て、私は久しぶりに聞いた名前に内心驚愕した。

 

 何故ここでシャロンの名が……。

 そういえば前に飲みに行った時『俺は精霊界で暴動を繰り返す、数名の犯罪者による組織を処刑しないといけなくなったから――』とか言っていたな。※1話参照

 もしやあれで……。

 

 「是非とも村へと案内しましょう!! お仲間さん達も是非村へっ!!」

 「あ、ああ。皆、精霊の男達へと着いて行くぞ!」

 

 $ $ $ $ $ $ $ $ $ $

 

 「――久しぶりじゃなぁ」

 

 一人の小さな少女は、王城を見上げてそう言った。

 帝国中に威厳を示すかのように高く聳え立つ王城へと、隊長の男数名と共に少女は中へと入っていく。

 

 「帝王様、無事、悪魔界の暴徒を鎮圧して参りました」

 「よくやった流石は――ラスキア大将軍だ」

 

 帝王の前に跪いている一人の少女――ラスキア。

 彼女は悪魔界から、遂に人間界へと戻って来たのだった。

 

 この少女が――目的の妨げとなる、かなりの障害となることをリキアはまだ知らない。

どうも、焼き鮭です。

もし

「面白い!!」「遂に精霊界来たぁぁぁぁああああ!!」「自分もリキアに胸倉を掴まれたい」

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