終章「罰」
「――リキア」
「トウマか。どうした?」
「ウテナ達を拷問すること、やめてくれないか?」
「それは何故だ? さっきエルヴィットと共に話をしてやっただろう」
私は既にエルヴィットとトウマに話を終えていた。
その内容が、世界征服の件と三人に罰を与えるということだった。
「拷問などと物騒な呼び方をするな……私は今後のために、ウテナ、レイラ、ユダの三人へ罰を与えて反省してもらうだけだ」
「でも、リキアはあの三人に何をするか分からない……だから、僕は反対する」
「余も反対じゃ! 仲間に暴行を加えるなど、あってはならんことなのじゃ」
トウマの隣にエルヴィットが現れ、そう言った。
「何故そこまでして反対する……」
「仲間だからだ」「仲間だからなのじゃ!」
二人は交互に言った。
私は溜め息を吐き、
「仕方ない……二人がそこまで言うのなら、罰を与えるのはやめておこう」
「最初からそうしてくれれば良かったんだけどね」
「最初から、だと……?」
私はトウマの一言に怒りが湧出した。
「――トウマ、貴様は言葉を選んだ方がいいぞ?」
「わ、分かっ――りました」
「そ、そこまでしなくてもよいじゃろう!!」
「黙れ。私の意見に口出しするな」
「――っ、悪かったのじゃ」
二人に私はそう言うと、ふっと笑みを浮かべた。
「では二人共、おやすみ」
「「お、おやすみ……」」
そう挨拶をし、私はザギンクの方へと向かった。
「ザギンク、ソフィアはいたか?」
「いませんでした……一体どこへ行ってしまったのでしょうか」
「さっきまでいたくせに……何をしてるんだ、あいつは」
私は頭を掻き、溜め息を吐いた。
そして、魔法陣を展開し、
「ザギンク、これから私は王城へと行ってくる。トウマとエルヴィットを頼んだぞ」
「はい、畏まりました」
一礼するザギンクを最後に、私は王城へと移動した。
そして王城にある私の部屋で大人しく正座をしている三人を見て、微笑んだ。
「三人共、無事だったか?」
「うん……私は無事」
「オレは左腕と肋骨がやられちまったけど命はなんとか」
「ユダはよくそれだけの傷で済んだな。流石は堕天使ルシファーの力を持った男だ」
私はそう言いながら、ふと、何も言わないレイラが気になった。
彼女は項垂れたまま、沈黙している。
「レイラ、お前は大丈夫だっ――大丈夫じゃなさそうだな」
すると、レイラは涙を浮かべて私に抱き着いてきた。
「怖かった……! 体がぐちゃぐちゃにされて、それで……」
「ああ、怖かったな……」
私はレイラを慰めるように、頭を撫でてやる。
「ごめん、リキア……アタシ……」
「レイラが凄く怖い思いをしたのは分かった。でももう安心しろ、私がいるぞ」
「うん……」
レイラは私に抱き着いたまま瞑目する。
そういえば、妖魔は体を再生するのに魔力を大量に消費するという話があったな。
昔読んだ資料に載っていた。
「三人に伝えておくが、これから私達『白銀の豺虎』は精霊界へと向かう。皆、心して臨め」
そう言って、私は魔法陣を展開する。
「何か久しぶりに帰って来れたって気がするな……」
「確かに……」
ウテナとユダがそう零し、アジト内を走っていった。
私はユダを呼び止める。
「ユダ、左腕は義手を付けたのか?」
「そうだぜ。まさかオレが体の一部を失うとは……こりゃ大将軍様の右腕を斬り落とした罰か」
「ふふっ、そうかもしれんな」
ユダとそんな会話をしながら、私は抱き着いたまま離れないレイラへと目をやる。
「レイラ、大丈夫か?」
「うん……もう落ち着いた」
「何かあったら言ってくれて構わないぞ」
「うん……ありがと!」
そう言い、活力を取り戻したレイラはウテナの後を追っていった。
すると、ユダが後頭部を掻き、
「ヘルディア市街と、そこにいた敵はどうなったんだ? オレは眠っちまってて分かんねぇ」
「ヘルディア市街に蔓延っていた病原菌と敵は全て剿滅した。病気に感染してしまった者のためにも、今は帝国の医療班が新薬を作ってくれたはずだ」
「なら安心だ」
「そうだな」
私はユダとそんな会話をしていた。
どうも、焼き鮭です。ついに第2章も終了ですね。
もし
「面白い!」「第3章では精霊界に行くのかー」「自分もリキアに怒られたい」
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