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閑話「大将軍」

 ――三年前。

 

 「――父上、母上。私は大将軍になることができました」

 

 墓石の前に跪き、私はそう言った。

 

 「では、戦争へ行ってきます」

 

 そう言いながら私は立ち上がり、墓場を去っていった。

 すると、一人の男が私を待っていた。

 

 「よっ」

 「シャロンか」

 「反応薄いな……まあ墓参り中に来て悪かったな」

 「気にするな」

 

 シャロンは明るい笑みを浮かべながら私に謝る。

 それを見た私は安心したのか、ふっと微笑む。

 

 「ていうか、リキア。お前、明日から荒野に住んでいる異民族達と戦争をするんだろ?」

 「そうだな……あそこの荒野はエルヴェル帝国の領地だからな。帝王としては取り返しに行きたいところだろう」

 「一つ聞きたいんだが……」

 「どうした?」

 

 私を見てきまずそうな表情をするシャロン。

 

 「リキアは戦争が嫌じゃないのか?」

 「――? 特に何とも思わないが」

 「そうか……やっぱりそう言うと思った」

 「ん……私のことを蔑んでいるのか?」

 「んなわけねぇよ」

 

 シャロンは大きく欠伸をすると、

 

 「取り敢えず飲み行こうぜ」

 「まだ昼だぞ?」

 「別にいいだろ。どうせ暇なんだし」

 「いや、私は明日から戦争に行かねばならんのだが……」

 「そうだったな」

 「そうだったなって……」

 

 私はシャロンに呆れながら歩く。

 シャロンは私の隣を歩き、「そうだな」と呟く。

 

 「戦争終わったら一緒に飲み行こうぜ」

 「何だかフラグみたいだな」

 「何だよ、そういうとこは気にしなくていいだろ?」

 「お前にだけは言われたくはないな」

 「ははっ、そうか」

 

 隣で笑い出すシャロンと、目を細める私。

 すると、目の前に私とシャロンと同じ大将軍の制服を着た者がいた。

 

 「げっ、ロリババアじゃねぇか」

 「何だその酷い渾名あだな

 「誰じゃっ! わしを貶す者は!!」

 「ほら、面倒なことになったよ」

 

 背の小さな少女が私の方へと駆け寄ってくる。

 そしてシャロンを見やると、べーっと舌を出した。

 

 「お主、またわしの喋り方と容姿のことを馬鹿にしたじゃろ!!」

 「してませーん! 俺はそこまで暇じゃないんですよ……やれやれ」

 「むぎゃあああああ!!!」

 「ああもう、二人共落ち着け」

 

 口争いを始めた二人を私はなだめる。

 

 「ぐすん、リキア殿……あの男がわしを虐めてくるのじゃ」

 「ぐすん、リキア殿……あのガキが俺を虐めてくるんだ」

 「真似するなあぁあああああああ!!!!」

 「俺の台詞じゃああああああ!!!」

 「いい加減落ち着こう、な……?」

 

 私は苦笑いしながらそう言った。

 

 「――ラスキア大将軍、ところで貴女が何故ここに」

 「わしは散歩をしようと思っての」

 「やっぱりじじば――痛っ、あの、、リキアさん……?」

 「少し黙れ」

 「はい……」

 

 騒ぎ立てるシャロンを黙らせ、私はラスキアの頭を撫でる。

 すると、ラスキアが心地良さそうに目を細める。

 

 「亜人の住む辺境の大陸へと任務で行っていたのでは……?」

 「何を、任務などとっくの間に済ませておる。だからこそ、こうやってわしはのんびりと陽の光にあたることができているのじゃ」

 

 ラスキアは微笑みながらそう言った。

 

 「そういえば、リキア殿は明日から戦争へと出向くのじゃろ? 早めに戦争へ行く準備と、兵の指揮をしないと大変じゃぞ?」

 「心配要りませんよ、それらはもう済ませております」

 「そうなのか……なら安心じゃな」

 「あの」

 「お主は黙っとれ!」

 「何だとこのガキャアアアアアア!!」

 「だから落ち着けって」

 

 また暴れ出した二人を宥め、私は溜め息を吐く。

 

 本当にこの二人は犬猿の仲だな。

 

 「ラスキア大将軍も、これから三年間もの期間で悪魔界の方へと出向かれるんですよね」

 「そうじゃ……かなり大変な任務じゃの」

 「そうですよね……」

 

 三年間、彼女はこれから悪魔の住む魔境の地へと出向くのだ。

 それは明日ではなく一週間後かららしいが。

 

 「そもそも何故悪魔界へ……?」

 「悪魔王からの依頼だそうじゃ。それも、内容が悪魔達の暴動を止めるのを手伝ってほしいとの要請じゃ」

 「悪魔は強いですからね……私も苦戦しますし」

 「そうじゃな。だからこそ――帝国で二番目に強いわしが行くのじゃ。一番はリキア殿が行ったほうが良いのかもしれんがの」

 

 そう言いながらラスキアはにっこりと笑った。

 

 この可愛らしい笑顔の半面、彼女は私と匹敵するほどの実力を持っている。

 ずっと昔から帝国に仕えているらしいが、あまりにも幼い容姿から年齢が判断できない。

 

 「三年間、気を付けてくださいね」

 「勿論じゃ!」

 

 $ $ $ $ $ $ $ $ $ $ 

 

 「そういえばそんなことがあったな」

 

 私はラスキア大将軍のことを思い出し、そう呟いた。

 

 今思えば口調がエルヴィットと酷似しているな。

 

 「早く、あの三人に罰を下しに行かないとな」

 

 私は自身の部屋から出て、ウテナ、レイラ、ユダが呼び出されているであろう王城へと向かった。

どうも、焼き鮭です。今回は、あのリキアも敬語を使う実力者であるラスキア大将軍が登場しました。

もし、

「面白い!」「ロリババア最高っ!!!」「自分もリキアに頭を撫でられたい」

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