幕間2「忠実な側近と、ある科学者の話」
「――リンネ」
ルリオーネは墓石に乗った花瓶に花を入れ、話しかける。
「お前はいつだって私の傍にいてくれた……それは、どんな時でも」
ルリオーネは悲しげな表情をしながら、そう言う。
すると、雨が降ってきた。
潸々と雨が降り注ぐ中、ルリオーネは声を震わせる。
「このままだと、髪が傷んでしまうな……リンネ」
彼女は、そう言いながら下を向く。
すると、一人の男が墓石へと近付いてきた。
「お前は……!?」
「俺は朋友の墓参りに来ただけだ」
「そう、なのか……すまない」
男は黒髪を雨で濡らしながら、一輪の花を花瓶へと入れる。
それを隣で見つめながら、ルリオーネは目元を手で拭う。
「俺はリンネに何もしてやれなかった……本当にすまない」
男は墓石に向かってそう声をかける。
すると、ルリオーネの方をちらりと振り返った。
「貴様、名を何と言う」
「私はルリオーネだ。お前こそ、名を何と言う」
「ガレル」
男はそう言うと微笑み、
「俺は勇者学院に通っている者だ」
「勇者学院……?」
「そうか、この国では勇者育成施設とか言われていたな」
「それか。一つ聞きたいのだが、そちらの施設へと魔王ガレアが潜入していると言われているのだが、それは本当なのだろうか?」
「ああ。彼は本当に通っているとも」
男とそんな会話をしていると、傘を差した少女がこちらへと走ってきた。
「ガレル様っ!」
「マキナか。ていうか、その傘どうした」
「近場にあった民家から借りてきました!」
「それって盗みじゃないのか……?」
「貰ってきました!」
「いや、罪は変わってないぞ」
そんな会話を繰り広げている黒髪の少女――マキナが、ふとルリオーネの方を向いた。
「この方はガレル様の知り合いですか?」
「そうだな。さっき知り合った」
「ええっ!? そうなんですか……?」
「ま、まあな……」
マキナの勢いに苦笑いしたルリオーネ。
「このお墓は……リンネさんのでしたか」
マキナは暗い表情をして、墓石を見つめる。
すると、緋色の髪をした少女がこちらへと向かってきた。
その少女を目にしたルリオーネは目を見開いた。
「ゆ、勇者メナス……!?」
「ええっ、ルリオーネ将軍!?」
緋色の髪の少女――メナスは、ルリオーネを見て驚いていた。
勇者メナスとは、世界最強の勇者のことである。
その少女が今、目の前にいた。
「あのルリオーネ将軍なのっ!?」
「あの勇者メナスなのかっ!?」
二人は互いに似た反応をして驚愕を声に出す。
それを見ていた男がふっと笑った。
「メナスは俺と同じ学院に通う生徒だ。リンネとも仲良くしていた」
「そうか……リンネ、たくさんの友達がいたんだ……」
ルリオーネは嬉笑を浮かべる。
すると、雨が止んだ。
「雨、止んだみたいだな」
「そうですね……」
マキナと男が空を見上げて言った。
そしてメナスが墓に花を添え、何かを祈る。
「リンネ、実は勇者学院に通っていたんだぞ」
「えっ、それは本当なのか……?」
「ああ」
ルリオーネは男の言葉に目を見開く。
「リンネは確かに勇者学院へと通っていた。しかし最近になって学院へと来なくなり、今日の昼頃に訃報の報せが来た」
「だから、私達はお墓参りに来たんです」
「そうだったのか」
二人の言葉に、ルリオーネは悲しげに笑った。
「――私に話してくれなかったんだな」
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「――そういうわけだ」
「なるほどですね……」
ソフィアは貴族の少女からの頼みに、頭を悩ませる。
「頼む、妾は急がなければならんのだ」
「いいですよ」
ソフィアは少女にそう返事をした。
実はと言うと、少女から『庭に生えた花が何故か枯れてしまうのでどうにかしてほしい』と頼まれたのだ。
しかし、それとは別に何かの意図があると――ソフィアは察していた。
どうも、焼き鮭です。今回登場した男の正体を、勘が鋭い人は分かったかもしれませんね。
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「面白い!!」「ソフィアがどうなるのか早く書いてほしい」「勇者メナスって誰?」
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