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13「形骸化」

 ――その頃、アジトで留守を任されていたソフィアは。

 

 「――この宮殿の中でじっとしてるのもワタシの性に合わないし、買い物でも行こうかな」

 

 ソフィアは大きく伸びをし、その後白衣を身に着ける。

 そして宮殿から外へと出ては、太陽を見上げて微笑む。

 

 「うわあ、今日も眩しいなぁ……」

 

 手で庇を作り、ソフィアはそう零す。

 

 「さて、帝国の都市へと行こうかな」

 

 ソフィアは呟きながら、暫く歩く。

 すると近くを通りかかった馬車を呼び止め、それに乗せてもらった。

 

 「お嬢ちゃん、どちらへ?」

 「エルヴェル大都市へ」

 「了解」

 

 馬の手綱を引いた男へとそう言い、ソフィアは車両から見える街並みを眺める。

 宮殿近くの道には人数は少ないが、花壇があり、そこに色とりどりの花が咲き乱れていた。

 

 「お、あれは……」

 

 魔獣が牽引けんいんする豪奢ごうしゃな車が、ソフィアの乗る馬車を横切った。

 

 「貴族が乗ってるやつだね。誰だろ」

 

 ソフィアは窓から身を乗り出し、去っていく車を見送る。

 すると、突然とそれが停車した。

 

 「汝、ソフィアという科学者で間違いないな」

 「――はい、そうですが……」

 

 馬車に乗り込んできた一人の少女はそれに微笑み、

 

 「少し頼みがある」

 

 $ $ $ $ $ $ $ $ $ $

 

 「――ごはん」

 

 少女は瘴気を使って体を再生させる。

 そして自身の頬を引き千切り、それを喰らう。

 

 「お兄ちゃん、うるさい……」

 

 瘴気が頬に集まり、抉れた頬を修正する。

 

 「カンナ……今度こそあの帝国軍を倒しに行こうな」

 「嫌だ」

 「え……」

 

 頬に現れた口が、口角を下げる。

 

 「お兄ちゃんなんて、いらない」

 「どうしてそんなこと……」

 「邪魔。うるさい。消えて」

 

 少女は口から瘴気を吐瀉としゃした。

 その瘴気が少年の体を形成し、

 

 「カンナ……ボクはカンナのお兄ちゃんだよ? 家族なんだ」

 「家族でも、結局は他人」

 

 少女は瘴気を両手に纏わせ、少年を思いきり殴った。

 殴られた少年は悶絶し、瘴気ではなく()()()()

 

 「この体は……どういうことだ?」

 「この町に蔓延する病原菌は全て食べた。そして――お兄ちゃんの能力も」

 「――っ!?」

 

 少年は瞠目し、その場に膝から崩れ落ちた。

 少女は無表情で彼を見下ろす。

 

 「――私が誰で、妾が誰なのか思い出したから。もうお兄ちゃんは必要なんてない」

 「そんなこと、言わないでよ……」

 「妾は妾。故に、お前を殺す」

 「カンナは一体何者なんだ……?」

 

 すると、少女は少年を馬鹿にする表情を浮かべた。

 

 「妾の名はカンナではない。――『黝雪姫ゆうせつき』と、そう呼べ」

 「――!?」

 

 そう言い終えると、少女は少年の首を絞めた。

 少年は少女のことを絶望した表情で見つめる。 

 

 「ボクが……お前をどれだけ守ってきたか分からないのか!!!」

 「そんなのは昔の話だ。今は関係ない」

 「無情な奴だ……」

 

 少年は首を絞められても尚、生命力を振り絞って少女を嘲笑する。

 少女は彼の足掻きを最期まで無表情で眺めていた。

 

 ついには大人しくなってしまった少年。

 彼を心底冷徹な感情を宿した瞳で睨むと、少女は彼を思いきり地面に叩き付ける。

 

 「邪魔者は消えた……妾は早速行くとしよう」

 

 すると、少女は自身の格好を見て、

 

 「しかし、この格好では酷く貧相に見られてしまう――即興で設えるか」

 

 少女は真っ黒なドレスを身に着けた姿へと変身し、髪色を白と黒に塗り替える。

 

 「それにしても、あの者達……」

 

 白銀の髪をした女と、金髪の女とその他男女数名。

 少女はその人物達を脳裡で思い浮かべ、

 

 「殺すのはまた後でにしておくか」

 

 少女は魔法陣を展開し、姿を消した。

 

 $ $ $ $ $ $ $ $ $ $

 

 「これが病原菌だ。一応、私の体内にできた抗体をこちらに入れてある――帝国の医療班に渡してきてくれ」

 

 私は遅れて駆け付けた帝国騎士団の者に鞄を渡した。

 

 「それにしても、ガイデス隊長の隊がやられたのか……」

 

 優秀な隊長だったのだがな。

 

 「リンネ……」

 

 ルリオーネは一つの布切れを手に、そう呟いた。

 私はそれを尻目に、トウマの方へと向かう。

 

 「トウマ、強くなったな」

 「まだまだだよ」

 

 笑みを浮かべるトウマは龍神剣を消失させ、そう言った。

 

 瘴気人形はトウマとエルヴィット、私とルリオーネによって殺害。町中に生き残っていた瘴気人形は帝国軍が全て殺害した。

 

 「しかし――」

 

 あの瘴気人形は中々に手強かったが、それを倒したトウマ達も帝国騎士団もよくやったものだ。

 

 「帝国も、順調に強くなっているな」

 

 私は帽子を被り直し、そう呟く。

 

 「――これで世界征服も簡単になるな」

 

 そうだ、そういえば私は世界征服までの道のりを決めていなかった。

 まずは帝国内でクーデターを起こそう。

 それで帝国の治安を乱し、帝王を殺害するのだ。そして私が新たな帝王を選択する。

 帝王の座に就いた幼い帝王を操り、私は帝国の騎士団を完全に従わせる。

 

 そして――

 

 「――まずは人間界の制圧だ!!」

 

 私は笑みを浮かべた。

どうも、焼き鮭です。今回はまた新たな登場人物と、リキアの計画が進行し始めます。

もし

「面白い!!」「黝雪姫ってなんだよ」「自分もリキアと戦いたい」

と思った方はブックマーク、そして↓の☆を押して作品の評価をしていただけると励みになります。

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