10「終焉を欲して」
「――」
肉塊が、鼓動をうつかのように蠢く。
すると、その肉塊へ大量の瘴気が集まり――吸収されていく。
「――あ」
肉塊は人の形へとなり、やがて人の形を模した。
その後少女の体を形成し、少女は声を上げる。
「ああ」
再び、少女は声を上げる。
そして、近くにあった布切れを手に取った。
それを体に巻き――少女は外へと出ていった。
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「か、んな……!?」
少女の姿を目にした少年は驚きの声を上げた。
少年は全身の傷を一斉に再生させ、少女へと歩み寄る。
「ボクだよ! お兄ちゃんだよ!!」
「お、にいちゃん」
「そうだよ――がはっ……! か、んな?」
すると突然、少女は少年の腹へ指を突き刺して肉塊を抉った。
それに驚きつつも笑みを浮かべた少年は何かを理解したように、彼女を抱きしめた。
「ボクを食べたいんだね……いいよ」
「ん」
少女はその瞬間、少年の肩へかぶりついた。
しかし、少年は痛がる素振りも嫌がる素振りもせずに少女を受け入れた。
そのまま少年は少女に捕食され続けた。
「んん」
少女は少年の骨を噛み砕き、そう唸る。
そして全てを喰らい尽くした後――少女は口元を拭い、不意に目に留まった男の方を向いた。
家の窓からカーテンを開け、こちらを怯えた両目で見ている男。
男を見つけた少女は軽やかに跳躍し、窓を叩き割った。
その中にいた一人の男を、少女は感情の籠っていない瞳で見つめる。
「ひっ……な、なんなんだお前は!」
「あ」
少女は男の両頬に手を触れ、そして口元だけで笑った。
「おに、いちゃん……」
その直後、男の首を引き千切った。
少女は首元から滴る鮮血に舌を這わせ、次に首筋に噛みついた。
「あなた、ごはんよ――って、ひっ!!!」
ドアを開けて男のいる部屋へと入ってきた女が、声にもならない悲鳴を上げた。
その女に目をやる少女。
女は背を向けて逃げ出そうとした。
「ごはん」
「ああっ!!」
女は後ろから首を絞められ、必死に藻掻く。
しかしそのまま首の骨を折られ、息を引き取る。
少女はその女の項に噛みつき、人肉を食いちぎる。
「ごはん……おにいちゃん」
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「リキア様!!」
「ザギンクとエルヴィットか。ルリオーネ将軍とトウマはどうした?」
「二人は凶賊との戦闘時に空間を転移させられて消えてしまったのじゃ」
「なに……?」
私はエルヴィットの言葉を聞き、目を見開いた。
しかし、その驚愕もすぐに潰えた。
その理由は――、
「リキア大将軍、私ならここだ」
「ルリオーネ将軍か……それにトウマも」
ルリオーネとトウマが空間を裂いて現れたからだ。
それに私は二人の顔を見て安堵した。
「ウテナ達はどこに……?」
「ウテナとレイラ、ユダなら帝国軍の騎士が回収した。今はアジトにいるだろうな」
不安げな表情をするトウマを横目に、ふと私はある少女が目に入った。
全身に血を浴びた、謎の少女。
無感情な面付きで私を見ると、彼女は口元に笑みを浮かべた。
「誰だ……」
ルリオーネが剣を抜く。
その少女は異質な雰囲気を漂わせていた。
どうも、焼き鮭です。
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