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9「瘴拳殺と吸血鬼とサイボーグ」

 「そろそろ余も血が使えなくなってきたのじゃ……」

 

 余は自身の体内にある使用可能な血液の量が減少してきたことに、焦燥する。

 ザギンクもリンネもやられてしまった。せめて余はこの男を殺してから逝きたいものである。

 

 「どうした、吸血鬼よ。まさか――もうスタミナ切れか?」

 「それはちょっと違うのじゃがな!!」

 

 余は跳躍し、血の楔を飛ばした。

 男は右腕でそれを受け止める。

 

 「何度も同じ手を……効かないってことが分からないのか!!」

 「ぐはぁっ……!!」

 

 余は思いきり殴り飛ばされる。

 ギルドの床へと叩きつけられ、余は口の端から零れる血を硬化させる。

 

 「『血尖弾雨けっせんだんう』」

 

 血の楔を大量に浮遊させ、そして男へと飛ばす。

 男も流石にこれを防ぐことはできず、体の節々に突き刺さる。

 

 「硬化解除!」

 

 余は効果を解除し、男の体内に余の血液を流し込む。

 しかし――、

 

 「吸血鬼、もしかして俺に血があるなんて勘違いしてねぇか?」

 「まさか……体が病原菌でできてるって言ったのはそれで」

 「雑魚め。普通に考えて、俺が腕や上半身を引き裂かれても血が出てこなかった時点でおかしいだろ?」

 

 男は余を見て笑い、

 

 「――勝ったと思ったからお前は死ぬんだ」

 「――っ!!!」

 

 男は両手に瘴気を纏わせ、そして余の体を殴打しようと――

 

 「エルヴィットさん!!」

 「ザギンク……生きておったのか」

 

 男の魔の手から、一人の青年がエルヴィットを救った。

 エルヴィットは青年――ザギンクの壊れかけの腕の中に抱えられ、思わず両頬が火照ってしまった。

 

 「大丈夫ですか? 怪我とかはありませんか」

 「ないけど……そ、其方こそ大丈夫なのじゃ?」

 「はい、ご心配なく」

 

 ザギンクは優しく余の体を下ろすと、男の方を向いた。

 男は威嚇でもしているのか拳の骨をぽきぽきと鳴らしている。

 

 「お前はこの俺が裁く」

 「はっ、やってみろよ」

 

 ザギンクは両腕と両足から火花を散らし――、

 

 「械瑩術式『謳禍慊斬おうかけんざん』」

 「瘴拳殺――弐式『鏖怒殺囓おうどさつげつ』!!!」

 

 男は両手に大量の瘴気を纏わせた。

 次の瞬間、両者は目にも留まらぬ速さで衝突した。

 

 「な――っ!?」

 

 しかし、男は全身を切断され――おまけに腹に巨大な風穴を開けられていた。

 男は口から大量の瘴気を吐き出す。

 

 「最後に言い残すことはないか?」

 「――サイボーグ、貴様は強ぇな」

 「そうか……なるべく、サイボーグではなく『ザギンク』と、そう呼んでくれると嬉しいのだがな」

 「はっ、覚えとくぜ――俺はハスクだ」

 「ああ。俺もお前の名前は覚えておく」

 

 ザギンクは拳を作り――嬉笑を浮かべる男の頭を殴った。

 その瞬間に拳から衝撃波が現れ、男の頭部を破壊した。

 

 頭部を失った男の体はそのまま倒れる。

 ザギンクはその死体を一瞥いちべつした後、余の方へと戻ってきた。

 

 「終わったのか……?」

 「はい。何とか」

 「これからどうすればよいのじゃろうな……」

 「そうですね……リンネ様は残念ながら、生きていませんし。トウマさんとルリオーネ様とは別々になったんですから」

 

 ザギンクは考える素振りをする。

 

 「一まずリキア様のところに戻った方がいいかもしれません」

 

 そう言い、ザギンクはギルドのドアを引いた。

 余もその後を追う。

 

 「その、じゃな……」

 「どうしましたか?」

 「さっきは余を助けてくれて、ありがと……」

 

 すると、ザギンクは微笑み、

  

 「どういたしまして」

 

 それだけ言った。

どうも、焼き鳥です。今回ではエルヴィットとザギンクの中が深まりましたね(これを知ったリキアはどう思うことやら)


もし

「面白い!!」「続きが気になって夜も眠れん」「エルヴィットかわぇえ!」

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